モーターを作るメーカーの山本電気が空気清浄機事業に参入しました。香港科技大学が開発、国際特許取得した抗菌・除菌性能を持つフィルターを採用した「AirEat(エアイート)」は、古き良き生真面目さと最先端を併せ持つ好感度の高いモデルとなっています。今後注目のメーカーがまた一つ登場しました。
山本電気が空気清浄機事業に参入
山本電気は、福島県須賀川市に、本社・国内工場を持つメーカーです。何を作っているのかというとモーターですね。ミシンが、その形染めでしたが、今はクルマのモーターが多いと聞きます。一方、モーターへの依存度が高い家電で家電分野にも、1982年から参入。初めての家電は「精米器」でした。以降フードプロセッサーなど、調理家電に参入しました。
そして今、空調家電、空気清浄機にも参入。実際どんなものか、確認してみました。
山本電気の家電の特徴
さて、本題に入る前に、山本電気がどんな家電を出してきたのかちょっとみてみましょう。基本は小型モーターが使える調理家電です。ここでの白眉は、 2007年にはあの和の料理の鉄人として名高い道場六三郎氏プロデュースの「MICHIBA KITCHEN PRODUCT」シリーズでしょう。プロが監修するとどこが違ってくるかというと、確実さとつなぎです。つなぎと猪は時間のつなぎ、プロは短時間に多くの料理を作る必要があります。竿のためにはキッチンは常に片付けられた状態でなければなりません。このため、妙な小細工をしません。代わりに基本に忠実であることが要求されます。例えば、確実にすっぱり切れるとか、洗いやすいとかです。MICHIBA KITCHEN PRODUCTはそんな調理家電でした。
その後、2014年に当社オリジナルブランド「YAMAMOTO」を発表。 「YAMAMOTO」は妥協しない製品開発で、 使いやすく・安心・安全な製品をコンセプトとし、 目に見えない部分にもこだわった家電ブランドにしたい総意です。実際、YAMAMOTOの製品は、デザインは並ですが、使い勝手などはかなり手頃で、飾らない、朴訥さが滲むような製品が多いです。
空気清浄機「AirEat(エアイート)」
「AirEat フィルター」を採用
空気清浄機は、空気の濾過器です。目の細かいフィルターに空気を送り込み、花粉、微小浮遊粒子、ばい菌、ウイルスなどを漉します。このために必要な要素は「目の細かいフィルター」、「強靭かつ静かなモーター&ファン」です。
さて、山本電気はモーター屋さん、モーターは心配いりません。ファンもよほど特殊なものでない限り、モーターの伝手で手に入れることができるでしょう。しかし、フィルターは違います。ただ、フィルター(0.3μmの粒子を99%トラップ)も今はほぼ似た感じになります。それは、細かいサイズのモノをトラップするにはHEMSフィルターを、そして揮発性有機化学物質(分子なのでサイズがものすごく細かい)は、活性炭フィルターが吸着トラップします。この2つはゴールデンペア。現在のところ、最強です。
しかし、それでも問題があります。ばい菌などはトラップされただけで生きているのです。ばい菌とは、漢字で「黴菌」と書きます。カビの胞子と細菌の合成後です。有用な場合もありますが、多くの場合、生活に悪影響を及ぼすことが大いです。
そして空気清浄機は、これらをトラップすることはできるのですが、あいにく殺すシステムは持っていないのです。細菌の場合、水分があれば増殖します。
部屋スペースを有効に使うため、日本の一部のメーカーは加湿器を搭載していたりしますが、十分ケアしないと増殖します。必ずしもそうなるわけではありませんが、結露するところにカビが生えているの意を見るのは、割とよくあります。
空気清浄機のトップメーカー、スウェーデンのブルーエアなどは、空気清浄機に加湿器の機能を持たせることは絶対にしないと言っています。日本メーカーに加湿器搭載型が多いのは、あるメーカーが作ったところ、ユーザーからの評判が良かったからで、この時、ユーザーはカビが生える目線で空気清浄機をみていないですからね。結果、日本では、加湿器搭載型ありきとなってしまいました。その後、各メーカーともに、活性イオンでフィルター洗浄するなど、独自の対応策を展開してしています。
さて話が長くなりましたが、山本電気はトラップしたばい菌が繁殖しない手を模索しました。そして見つけたのが、香港科技大学が開発、国際特許取得した抗菌・除菌性能を持つフィルター。これと、HEPAフィルター、活性炭フィルターを合わせたものを使います。
使ってみると…
その生真面目さに圧倒された!
さて実物を触ってみると、2つの点で唸りました。
1つは、その重さです。27畳対応で、7.8kg。今の世の中、少しでも軽くします。コストが浮くように少しでも軽くします。材料をケチり、耐久性を設計ギリギリにします。このためパネルに力を入れようモノなら見事に曲がります。ひどいものになると、バキッという音がすることもあります。
しかし、本モデル、山本電気の「エアイート」は全くそんな心配はありません。古き良き時代の、よくできた家電みたいです。
さて、スィッチを入れると、毎回5分、全力運転します。スィッチを入れてすぐは、家電は安定して動いてくれません。このために、毎回きちんと試運転しているようなモノです。実に丁寧。しかし、ある意味融通の効かない頑固者とも言えます。
しかし自分の健康のために頑張っていることを思い出すと、どんなに心強いことでしょうか。本当に真面目です。
最先端の令和仕様
古き、良きという言葉を使ったので、ある意味ちょっと古いのでないかと思った人もいられるかもしれませんが、どうしてどうして、仕様はほぼ最先端。IoT用のWiFiも装備しています。そうスマホからの操作、データチェックも可能です。また履歴も一週間、保存することも可能です。
最後に
山本電気は今後期待のメーカー!
世界のトップブランドブルーエアの空気清浄機は筐体が金属でできているモデルもあります。これは耐久性とインテリア性を高めるためです。山本電気のエアイートは同質の雰囲気があります。それは性能に対して妥協しないところです。
デザインも、そこまでは洗練されていませんが、悪くはないです。今回のモデルも、全部「黒」樹脂で作っていたら、ほとんどの人からかっこいいと言われたでしょうね。
いいメーカーが、いいモデルで、参入。乞うご期待のメーカー、モデルです。
◆多賀一晃(生活家電.com主宰)
企画とユーザーをつなぐ商品企画コンサルティング、ポップ-アップ・プランニング・オフィス代表。また米・食味鑑定士の資格を所有。オーディオ・ビデオ関連の開発経験があり、理論的だけでなく、官能評価も得意。趣味は、東京歴史散策とラーメンの食べ歩き。