「ワンツーコーデ」とは、トップス一枚とボトム一枚で作る、究極にシンプルなスタイリングです。ワンツーコーデならではの着こなしが叶うのが、シルエット。重ね着コーデを作るより、ワンツーのほうがシルエットがわかりやすく際立ちます。体のラインを上手にカバーしてくれる「ゆるピタ」シルエットコーデについて、書籍『ただ着るだけでおしゃれになる ワンツーコーデ』著者の福田麻琴さんに解説していただきました。
解説者のプロフィール
福田麻琴(ふくだ・まこと)
1998年に文化服装学院を卒業後、アパレル会社勤務を経てスタイリスト森美幸氏に師事。2003年に独立。「LEE」や「Marisol」、「éclat」(ともに集英社)などの女性誌を中心に広告、CM、カタログ、タレントのスタイリストとして活躍。1児の母として30〜40代の女性に絶大な支持を得ている。著書に『38歳から着たい服 』や『コスパのいい服』(ともにすばる舎)がある。
本稿は『ただ着るだけでおしゃれになる ワンツーコーデ』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。
ワンツーコーデって?
ファッションの優先順位が高くない人でも素敵になれる簡単コーデ
「ワンツーコーデ」は、すべてのファッションの基本であり、あれやこれや頑張らなくても簡単におしゃれにみせてくれる忙しい女性のためのコーディネートです。
一日の時間はとても限られています。仕事に家事(ここに子育てや介護が加わる方も少なくないと思います)に大半の時間を割き、残ったわずかな時間が自分の時間。ほっとひと息お茶を飲んだり、お酒をたしなんだり。大好きなドラマや映画を見たり、本を読んだり。ヨガやランニングをしてリフレッシュしたり。そんな風にしていると、ファッションのことを考える時間なんて、そうそうありません。
自分の服のバランスを考えるよりも今日の夕ご飯を考えるほうが優先される。それが現実を生きているということなんですよね。
でも、服は毎日着ないといけない。でも時間はない。だからといって適当な格好でいいわけでもない。たかがファッション、されどファッション。いっそのこと何もかも投げ出してしまいたい。そんな気持ちになってしまったことのある方も多いのでは?
スタイリストという、ファッションに関わる仕事をしている、服が大好きな私でも、ときに忙しさが度を超すと自分の服装なんてもうどうでもいいという気持ちになることがあるのだから。忙しくてファッションの優先順位は高くないけれど、身なりには気をつけたい。そんな方のための簡単に素敵になれるのがワンツーコーデなのです。
“ワンツーコーデ”とは
“ワンツーコーデ”とは、トップス一枚、ボトム一枚の掛け合わせで完成するコーディネートのこと。実はこのワンツーは、それ以外のコーディネートの軸にもなっています。シャツとパンツのワンツーにジャケットを足す。ニットとスカートのワンツーにコートを足す。気がつけばいつもこのバランス。
ワンピースなら、一枚でももちろん着られるのですが、レギンスのようにデニムを合わせるワンツーにした方が断然今年らしい! 足元はショートブーツで足首をかくしてもいいし、ヌーディなサンダルで抜け感をだしてもいい。
余談ですが、なんでもショートブーツを履くとパリジェンヌ風になる気がします(笑)。夏でもショートブーツをはいているパリジェンヌをたくさん見かけたからかもしれないけど、デニムでもスカートでも、とにかくショートブーツを合わせると雰囲気がでる。季節を問わず履ける一足があると便利です!
ワンツーコーデバリエーション
そんな、プラスワンされたコーデのときも、元のワンツーコーデがきちんと成り立っていれば、プラスワンもとても簡単なのです。
そして、たった二枚で作るコーディネートなのに、実は意外にもバリエーションがあるがワンツーコーデのすごいところなのです。
シルエット別のワンツーコーデでは、シルエットの違いだけでも4パターンもあります。シルエット別は体型をカバーするのにとても有効なワンツーコーデ。色別のワンツーコーデには、ワントーンやモノトーン、きれいな色や柄を取り入れたワンツーコーデ、とバリエーションがさらに増えます。色別のコーデは、カジュアル、きちんと、モード、フェミニンなど、なりたいイメージを手軽に作ることのできる着こなしです。
でも、どれもワンツーなので、そのルールはとても簡単。そして出てくるアイテムも普通のものだけ。主張の強い個性的な服は出てきません。小物合わせもシンプルで真似しやすいことを心がけました。
知ってしまえば、毎日のコーディネートで悩まなくなり、朝の身支度がぐっとラクになります。ワンツーコーデができるようになれば、時短にもなるのです。
いろいろなワンツーコーデを紹介していますが、全部を着る必要はありません。むしろ自分が着ていて落ち着くワンツーコーデを知って、それをアイテムや素材を変えて着回していけばいいと思います(もちろん試したい方はぜひ!)。
似合わないもの、着ていて落ち着かないものを着ていても気持ちがハッピーでいられませんよね。
今はもう、むやみやたらと服を所有することが「いい」とされる時代ではなくなっていると思います。それよりも、自分に必要なものを必要な量だけ、そのほうがクローゼットも心もすっきりします。自分に合ったワンツーコーデを見つけることは、自分に必要な服、不要な服を見極めるいい機会になるかもしれません。
おしゃれというのは、特別な服を着ることでも、誰にもできない複雑なコーディネートをすることでもないと思っています。どこにでもあるようなベーシックな服を合わせ方で「あれ、あの人素敵じゃない?」って思わせる。
それが私の考えるおしゃれ。その究極がワンツーコーデなんです。
シルエット別ワンツー
体型カバーを得意とするのがシルエット別のワンツーコーデ
いちばんワンツーコーデならではの着こなしが叶うのが“シルエット”。いろいろ重ね着をしてコーデを作るよりも、ワンツーのほうがシルエットがわかりやすく際立ちます。
ゆったり大きめサイズのトップスに、細身のボトムを合わせた「ゆる×ピタ」。
フィット感のあるピタっとしたトップス(といっても大人の女性はピタピタすぎるのはNG。
ほどよいフィット感でOK)にフレアスカートやワイドパンツなどゆるっとしたボトムを合わせる「ピタ×ゆる」。上下ともにゆるっとしたアイテムを合わせる「ゆる×ゆる」。トップスもボトムもピタッとしたアイテムにする「ピタ×ピタ」。
シルエット別のワンツーの特徴は、どれも体型カバーが得意ということ。
「ゆる×ピタ」や「ピタ×ゆる」は、メリハリのあるシルエットで上手にカモフラージュしてくれますし、「ピタ×ピタ」は、その名の通りきゅっとコンパクトなシルエットなので、すっきりと見せてくれます(何度もいいますが、大人のピタはほどよいピタでOK。大事なポイントです)。「ゆる×ゆる」も体のラインを拾わないので、合わせ方によってはスタイルアップできます。
そして今は、どんなシルエットを着てもいい時代。ゆる×ゆるシルエットは、ちょっと前までは、あまり見かけることのないシルエットでした。
でも最近は、決めすぎないヘルシーなファッションが人気を集めている。そしてアイテム自体もバランスが取れるように工夫されたオーバーサイズのアイテムが増えていることもあり、「ゆる×ゆる」シルエットもよく見かけるようになりました。
ファッションのテイストもさまざまになっていますが、シルエットだってこれじゃなくてはだめ、ということはなく、自由に選ぶことができます。今はまさにシルエット別のワンツーコーデを始めるのに適したときなのです。
本稿は『ただ着るだけでおしゃれになる ワンツーコーデ』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。
大人の体型カバーに最適!ゆる×ピタシルエットコーデ
少しずつ丸みを帯びてくる女性の体のラインを上手にカバーしてくれるシルエット。トップスがオーバーサイズなので、二の腕、お尻、お腹を隠し、シルエットにメリハリがあるため、そのギャップで下半身はより細く見える。嬉しいことばかりのシルエットです。
シャツ:Traditional Weatherwear
パンツ:HYKE
スカーフ:destin
メガネ:KOMONO
イヤリング:No Brand
リング:Harpo
バッグ:VASIC
シューズ:ZARA
定番同士の組み合わせならシルエットの新鮮味を足す
白シャツにデニムパンツは、まさに王道の組み合わせ。だからこそ、どこかで今っぽさを出さないと古く見えてしまうことも。そんなときにシルエットで変化をつけることができると、一気にコーディネートの鮮度をあげることができます。
シャツ×デニムのコーデならゆる×ピタシルエットがおすすめ。
シャツはお尻が隠れるくらいのチュニック丈でゆったりとしたものに、ボトムはスキニーですっきりと。シャツもデニムもパリッとした素材ということもあり、アウトラインが直線的になり、とてもシャープな印象に。年齢を重ねて丸みを帯びてきた大人の女性の身体をすっきり見せてくれます。仕上げに小物も潔く黒でまとめれば、その雰囲気をさらに加速することができます。
バンドカラーと呼ばれる帯状の襟がついているシャツが人気。首回りがすっきりしているので、こんな風にスカーフをプラスした着こなしもしやすいんです。
シャツ:Traditional Weatherwear
パンツ:HYKE
スカーフ:destin
メガネ:KOMONO
イヤリング:No Brand
リング:Harpo
バッグ:VASIC
シューズ:ZARA
◇◇◇◇◇
なお、本稿は書籍『ただ着るだけでおしゃれになる ワンツーコーデ』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。ワンツーコーデとはトップス(ワン)一枚とボトム(ツー)一枚で作る、究極にシンプルなスタイリングのこと。たった2つのアイテムですがコーディネートは無限大! 数はたくさん持たなくてもおしゃれはできるという観点で、スタイリストとしてたくさんの服を見てきた著者が、やさしく丁寧に解説しています。