「にほんものストア」とは元サッカー選手中田英寿氏がプロデュースするオンラインストア。日本で作られるものを生物(なまもの)から工芸品まで広く扱っています。その中の目玉の一つが、お米のサブスク「農家さんのサブスク米」です。日本にはお米の種類は824銘柄ありますが、その違いを食べて比較する機会はなかなかないでしょう。「農家さんのサブスク米」は、お米マイスター秋沢毬衣さんがテーマに合わせて選んだお米が2種類届くサービスです。
お米のサブスクがスタート
この令和の時代、サブスク サービスが増えています。正式名称は「サブスプリクション」。サブスクはその略です。どんなサーブスかと言うと「一定料金を支払うことで、製品やサービスを一定期間利用することができる」サービスです。よく用いられているのは、音楽と映像。私も映像の方を使っています。コンテンツも豊富ですし、最新のものもどんどん追加されます。ニュースをネットで補完するなら、テレビ放送が全く不要な時代になったと言ってもいいでしょう。
しかし、そんな中、オンラインストア「にほんものストア」がお米のサブスクを始めました。一定期間お米が食べ放題なサービスでしょうか? 今回は、お米のサブスクをレポートします。
オンラインストア「にほんものストア」とは
元サッカー選手・中田英寿氏がプロデュース
オンラインストア「にほんものストア」は、読んで字の如く、日本で作られるものを生物(なまもの)から工芸品まで広く扱っています。こう書くと、そこかしこにありそうなストアに聞こえますが、実は、元サッカー選手の中田英寿氏がプロデュースしているのです。
中田英寿氏は、2006年に引退しました。そして世界約90カ国・150以上の都市に旅する中で、日本文化の価値が世界で高まってきていることを感じると同時に、「自分は、日本について何も知らないのでは」ということに気付いたと言います。
そして次に日本について「知る」旅を始めます。10年以上もの年月をかけ47都道府県すべてを巡ったのですが、それは多くの食の生産家、モノづくりの職人たちに出会い、日本を再発見することでもあります。
中田は、伝統、技術は、残すものではなく、残るものだと考えます。そのためには、今も支持されなければなりません。今に合わせるという進化が必要です。その時の風雪に耐えたものが、価値があると。そして、そう言うことをしている人を繋げたいと思います。それをユーザーに使ってもらい、また継承していく。そんな考えでできたのが、「にほんものストア」です。
そして、その中の目玉の一つが、お米のサブスク「農家さんのサブスク米」です。
日本のお米はもはや「文化」
日本の高級炊飯器が中国の富裕層に売れまくった話は有名です。では、どうやって食べているのか?私が知っている一番極端な人は、自分の田んぼで、無農薬の有機栽培で「ミルキークイーン」を作り、日本のように白米とおかずで食べています。ミルキークイーンはコシヒカリの突然変異からうまれた低アミロース米品種で、もっちりとやわらかめの食感が特徴。私も好きです。もう少し歯が弱くなったら、切り替えようと考えています。
しかし、ミルキークイーンって聞いたことありますか?
なくても当然です。今、お米の品種は、すごいことになっています。農林水産省のホームページには「こどもそうだん」というページがあり、その中に「日本で作付けされている稲の品種の数をおしえてください。」という質問が掲載されています。
答えは、「2019(平成31)年産の農産物検査を行う産地品種銘柄の合計は水稲うるち玄米で824銘柄、水稲もち玄米で132銘柄、醸造用玄米で223銘柄となっています。」ちょっとわかりにくですが、白米で食べられるのが「うるち米(水稲うるち玄米)」ですから、お米の種類は824銘柄あるというわけです。
そして作付け面積のトップ10は、ちょっと古いのですが、「コシヒカリ」「ひとめぼれ」「ヒノヒカリ」「あきたこまち」「ななつぼし」「はえぬき」「キヌヒカリ」「まっしぐら」「あさひの夢」「ゆめぴりか」(平成29年。米穀機構調べ)。コシヒカリが全体の35.6%、5位のななつぼしまでで、64.4%。10位までで74.8%。残り、25%を800種類がひしめいていることになります。
日本は、南方の穀物、稲を寒さに強く、美味しくと品種改良するうちに、とんでもない食糧文化遺産を残したわけです。こうなると、ワインと同じで容易に極めることはできません。音楽、映像のように、聞けばわかる、見ればわかるというものではありません。確かに食べたらわかりますが、そのためには炊かなければなりませんし、その日の料理によっても感じ方はずいぶん変わります。
案内人が必要です。
お米のサブスク「農家さんのサブスク米」
美味しいお米に巡り合える
「農家さんのサブスク米」の案内人は、米マスター 秋沢毬衣さんです。
毎月、テーマを決めます。「カレーにぴったりなお米」「卵かけご飯にぴったりなお米」「炊き込みご飯にぴったりなお米」などです。それにあったお米を2種類送り食べてもらおうというものです。
私も試してみました。お題はカレー。しかも念が入ったことに、「ビーフカレー」と「キーマカレー」の2種類のカレーです。ビーフカレーは日本で進化したカレー。日本米に合います。ただし、美味しく食べるためには、カレーという液体の中でも、お米の粒状感をキープするのがポイントです。カレーにはやや硬めのお米が合うというわけです。
一方、キーマカレーは、スパイスたっぷりのインドカレー。さっぱりとした後味を持つお米がいいです。
お米マイスターが選んだのは、ビーフカレー用には「特別栽培米高知県本山町産土佐天空の郷 にこまる(高知県本山町)」。ここのお米、二度の食味日本一を勝ち取ったことのある「霜降り米」。本山町は、石鎚山を西に、剣山を東に持つ四国山脈の盆地。寒暖の差が大きいため、多くのでんぷん質がお米に蓄積されます。同様な現象で美味しいと言われるのが、魚沼産コシヒカリ。寒暖の差が大きいエリアならではの旨味です。
キーマカレーには、「岩手県産 銀河のしずく(岩手県紫波町)」。こちらは、2015年に岩手県のために作られた銘柄です。宮沢賢治の「雨ニモ負ケズ」ではありませんが、岩手は稲作に向いていません。そんな中、あきたこまち(秋田)、つや姫(山形)、ひとめぼれ(宮城)、まっしぐら(青森)など、他の県は特産とも言えるお米があります。それに対抗するために、開発されたのが「 銀河のしずく」です。
正直、カレー云々より、米自体がめちゃ美味です。気温もありますが、水がいい。四国も、岩手も水がすこぶるきれいです。
どちらのカレーも美味しさ5割り増しって感じでした。
最後に
このように、日本にはいろいろなモノがあります。しかし案内人がいないとなかなかそこに辿り着けません。そんなところへ格安で案内してくれるのが、「農家さんのサブスク米」です。
また、このサブスク、白米だけでなく玄米、5分突きなど、供給の形も相談に乗ってくれます。
スーパーにあるお米よりは高いですが、この美味しさだとリーズナブルとも言えます。この春、気になるサブスクです。
◆多賀一晃(生活家電.com主宰)
企画とユーザーをつなぐ商品企画コンサルティング ポップ-アップ・プランニング・オフィス代表。また米・食味鑑定士の資格を所有。オーディオ・ビデオ関連の開発経験があり、理論的だけでなく、官能評価も得意。趣味は、東京歴史散歩とラーメンの食べ歩き。