Windows11では、多彩な情報をパネル形式でデスクトップ上に表示できる「ウィジェット」機能を新たに搭載。利用できるウィジェットには「天気予報」や「ニュース」など、さまざまな種類があり、パソコンを使いながら役立つ情報に手間なくアクセスできる。
ウィジェットは初期状態のままでも便利だが、自分好みにアレンジすれば利便性はさらにアップする。今回は、ウィジェットの使い勝手を上げる、使いこなしテクやカスタマイズ術を解説しよう。
Windows11で「ウィジェット」機能が復活!
かつてWindows Vista/7には「ガジェット」と呼ばれる機能が搭載されており、デスクトップ上に時計やカレンダーなどのアクセサリーを配置できるようになっていた。自分好みのデスクトップ作りに役立つ便利な機能ではあったが、8以降ではインターフェイスの大幅な刷新に伴い、惜しまれつつもガジェットは廃止に。この機を境に、Windowsは長らくガジェット不在の時を過ごすことになる。
しかし、そんなガジェットが「ウィジェット」と名を変え、Windows11で待望の復活。8で廃止されてから、なんと足掛け9年ぶり!の再デビューを果たしたところからも、ユーザーの支持がいかに根強かったかが伺い知れるところだ。
「ウィジェット」とは?
ウィジェット機能とは、デスクトップ上に天気やニュースなどの情報パネルを表示できる機能だ。
Vista/7のガジェットで利用できるのは、時計やカレンダー、CPUメーターなど、現実のアイテムを模したアクセサリーが中心だったが、11のウィジェットは天気予報やニュースなど、どちらかといえば情報系コンテンツが主軸だ。エンターテインメント性を重視していたガジェットに対し、どちらかといえばウィジェットは実用本位のツールに徹しているといえる。
ウィジェットの利用にはマイクロソフトアカウントが必須
現在、ウィジェットはアップデートにより、マイクロソフトアカウントが必須となっている。手持ちのアカウントがない場合は、Windows11の「設定」→「アカウント」などから作成しよう。
ウィジェットの表示方法
ウィジェットの表示方法は極めて簡単。タスクバーのウィジェットボタンにマウスカーソルを重ねるか、ボタンをクリックすれば、複数のウィジェットが並んだ「ウィジェットボード」が起動する。
従来、ウィジェットボタンはスタートボタンの右側に配置されていたが、現在はアップデートによりタスクバー左端へと移動。加えて、ボタン上に天気予報も表示されるようになっている。混乱しないように注意しよう。
マウス操作が面倒なら、キーボードの「Windowsキー」+「Wキー」のショートカット操作でもウィジェットは起動可能だ。
ウィジェットでさらに詳しい情報を開く
ウィジェットボードを見るだけでも、さまざまな情報を俯瞰できるが、さらに詳しい内容をチェックしたいときもあるだろう。ウィジェットによっては、Webブラウザーなどから詳細な情報にアクセスすることも可能だ。
詳細を開くには、基本的に目的のウィジェットをクリックするだけ。例えば、天気ウィジェットの場合ならWebブラウザーで「Microsoft天気」のページを開いてくれる。
ウィジェットの種類を把握しよう
ウィジェットボタンで開く「ウィジェットボード」は、厳密にいえば上部に「ウィジェット」、下部に「ニュースフィード」のスペースを配した二分構成となっている。
ウィジェットのスペースには、天気予報やスポーツの試合結果、写真などの情報を端的に示した情報パネルを配置可能。一方、ニュースフィードにはマイクロソフトが運営するニュースサイト「Microsoft Start」の最新記事が表示される仕組みだ。
ただし、ウィジェット、ニュースフィードのどちらにせよ、さまざまな情報が詰まっていることもあって、一見ではなかなか全貌はつかみにくい。そこで本章では、利用可能な全ウィジェットをまとめて紹介する。自分好みのウィジェットボードを作るのに役立てて欲しい。
天気
最大5日間の天気予報を表示できる。「…」メニューの「カスタマイズ」から天気予報を表示する現在地を自動的に検出できるほか、任意の地点も指定可能。ウィジェットをクリックすると、Webブラウザーで詳細な天気情報をチェックすることもできる。
写真
Windows標準のクラウドストレージ「OneDrive」に保存した過去写真を表示する。ウィジェットをクリックするとWebブラウザーでOneDriveのページが開き、写真の拡大表示や整理などを行える。
Outlookカレンダー
Windows標準の個人情報管理アプリ「Outlook」のカレンダーを表示。ウィジェットでは最大1週間ぶんの予定を表示できるほか、「イベントの作成」から新規のスケジュールも作成可能。ウィジェット上部の「Outlookカレンダー」のタイトルをクリックすると、Webブラウザー版の同名サービスに直ちにアクセスできる。
To Do
Windows標準の個人情報管理アプリ「Outlook」のToDo(タスク管理)を表示。ウィジェットを見るだけで、やるべき仕事や作業をひと目で把握できるほか、新たなタスクの作成や完了したタスクの消去も可能だ。ウィジェット上部の「ToDo」の部分をクリックすると、Webブラウザー版の同名サービスに直ちにアクセスできる。
スポーツ
サッカーなど、スポーツの試合結果をチェックできる。対戦カード部分をクリックすると、Webブラウザーで詳しい試合内容を参照可能。「…」メニューの「カスタマイズ」からウィジェットに表示するチームを指定することも可能だ。
ファミリーセーフティ
Windows標準のペアレンタルコントロール機能「Family Safety」と連動し、家族のパソコン使用時間を表示。なお、本ウィジェットを使用するには、マイクロソフトアカウントにメンバーになる家族を登録しておく必要がある。
ウォッチリスト
現在の株価を表示する。銘柄を指定して、好みのリストを作成することも可能。「ウォッチリストを表示」をクリックすると「MSNマネー」のサイトが開き、詳細な株価を閲覧したり、ウォッチリストを編集したりなどできる。
ヒント
Windowsの操作方法やアプリの機能など、Windows11を使用する上で便利な情報を示してくれる。表示中のヒントをクリックすると「Microsoftヒント」アプリが起動し、より詳細な情報を参照可能だ。
エンターテインメント
Microsoftストアで購入できる映画やテレビ番組、動画配信アプリなどから、おすすめの動画コンテンツをピックアップ。画面をクリックするとMicrosoftストアアプリが起動して、動画コンテンツの詳細ページが開く。
ゲーム
eスポーツの対戦カードを表示する。「もっと見る」をクリックすると、Webブラウザーでより詳しい対戦スケジュールや戦績などをチェックできる。
ニュースフィード
ウィジェットボード下部にある、最新ニュースを表示するスペース。最上段に話題のトップニュース枠を配するほか、国内や海外、政治、経済などといったビジネス寄りの報道や、映画やテレビ、アニメなどのエンタメ系トピックも用意している。
ウィジェットを使いやすくするカスタマイズテク9選
初期状態のままでウィジェットを使っても支障はないが、自分にとって不要な情報があったり、もう少し見やすい位置に整理したりしたい場合などもあるだろう。こうした不満点を改善すれば、よりストレスなくウィジェットを満喫できるはずだ。
幸いなことにウィジェットはカスタマイズにも対応しており、ウィジェットの追加&削除を始め、入れ替えやサイズ変更なども簡単に行うことが可能だ。本章では初心者向けのカスタマイズ術を9つ紹介するので、うまく活用して自分好みのウィジェット環境を作り上げて欲しい。
(1)ウィジェットの追加
ウィジェットの追加は、ウィジェットボードの「ウィジェットを追加」ボタンから行える。まずボタンをクリックしてウィジェットの一覧を表示し、追加したい項目の「+」をクリック。これで「+」が「✔」マークに切り替わり、ウィジェットボードにウィジェットが追加される。
(2)ウィジェットの削除
ウィジェットを削除するには、ウィジェットの右上にある「…」→「ウィジェットの削除」をクリックすればOK。削除したウィジェットはウィジェットボードの「ウィジェットを追加」ボタンからいつでも元に戻せる。
(3)ウィジェットのサイズ変更
ウィジェットの種類によってはサイズ変更にも対応。選択できるサイズはウィジェットによって異なるが、最大で「大・中・小」の3段階を利用可能だ。
設定方法は、ウィジェット右上の「…」をクリックして、メニューから好みのサイズを選べばOK。サイズを選択すると、ウィジェットが指定した大きさに即座に切り替わる。
(4)ウィジェットの並べ替え
優先したい情報がある場合などは、見やすい位置へウィジェットの配置を変更すると便利だ。並び順の変更方法は、ウィジェットをマウスでドラッグして好きな位置へと移動させればいい。
なお、並び順を変更できるのはウィジェットのみで、ニュースフィードの入れ替えは不可。また、ニュースフィードのスペースにウィジェットを移動させることもできない。
(5)ウィジェットの表示内容を変更
一部のウィジェットは、画面の表示内容をカスタマイズすることも可能だ。例えば、天気ウィジェットはカスタマイズにより「摂氏・華氏」の指定のほか、天気予報を取得する地域の選択も行える。
カスタマイズは、ウィジェット右上の「…」→「カスタマイズ」から表示可能。カスタマイズできる内容はウィジェットによって異なるので、色々と試してみよう。
(6)ニュースフィードの削除
興味のないニュースフィードは、別に削除してしまっても構わない。削除方法はまず目的のニュースフィードにマウスカーソルを重ね、右上に表示された「×」ボタンをクリックする。
「×」ボタンをクリック後、ウィジェット上に「フィードで改善すべき点をお聞かせください。」というメニューが表示される。単に今回の記事を消せればいい場合は「問題を報告する」をクリックして、次の画面で非表示にした理由を選んで「送信」ボタンを実行すればOKだ。
一方、当該記事を配信したネットメディア発のニュースを、今後は一切表示したくないときは「ソースからの記事を非表示にする」をクリック。これでそのニュースメディアの記事はニュースフィードには表示されなくなる。
(7)好みのニュースジャンルを指定
ニュースフィードに表示する記事のジャンルは、「Microsoft Start」のサイトからカスタマイズ可能だ。設定方法は、まずニュースフィード右下の「…」→「パーソナライズ設定」をクリック。
Microsoft Startで「気になるトピック」のページが開いたら、記事ジャンルのなかから好みの項目を選択する。これで、今後は選択したジャンルに関連したニュースフィードが配信されるようになる。
(8)興味のあるニュースを増やす
面白いニュースがあると似たような記事をもっと読みたいと思うだろうし、それとは逆に、関心のない記事はなるべく減らしたいと感じるのは至極もっともだ。そんなときは、ニュースの好みをこまめに保存して、今後の記事配信に反映させるといい。
例えば、気になる記事を見つけた場合はニュースフィード右下の「…」→「このような記事を増やす」を選択すれば、今後は類似の記事を増やしてくれる。一方、興味のない記事の場合は「…」→「このような記事を減らす」→「ソースからの記事を非表示にする」をクリック。これで当該記事を配信したネットメディアのニュースは一切表示されなくなる。
(9)ウィジェットのボタンを非表示にする
ウィジェット自体に関心がなかったり、ウィジェットの起動はキーボードのショートカット操作のみで十分だったりする場合は、タスクバーのウィジェットボタンは正直なところ無用の長物だろう。また、職場のパソコンなど、ウィジェットの利用があまり好ましく思われない環境ではウィジェットは無効化したほうがいいケースもある。
そんなときは「設定」→「個人用設定」→「タスクバー」→「ウィジェット」をオフにすれば、タスクバーからウィジェットボタンを消すことができる。ただし、あくまでボタンが消えただけであり、ショートカット操作ならウィジェットは起動できてしまうので注意。
まとめ
ウィジェットはWindows11が誇る目玉機能のひとつだけあって、うまく活用すれば日々のスケジュールから注目ニュースまで、最新情報を手間なく把握できる。ただし、初期設定のままだとやや情報過多の感もあり、つい持て余してしまっている人も多いかもしれない。
そこでまずオススメしたいのが、いったんすべてのウィジェットを非表示にするという方法だ。これで特に不便を感じないのなら、ウィジェットボードにはニュースフィードのみ表示されていれば十分ということになるし、もし不足を感じるのならその都度、天気やカレンダーなど必要なウィジェットを追加していけばいい。これで自分のパソコンスタイルに合ったウィジェット環境を構築できるはずだ。
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◆篠原義夫(フリーライター)
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