離乳食は、6カ月ごろから食事で栄養の一部を補えるようになればよく、最初はそのための準備を整えている時期と考えましょう。5~6カ月ごろ、赤ちゃんが元気で機嫌がよく、ママ・パパが離乳食を始める準備ができたときに始めるとよいでしょう。離乳食をどのように進めたらいいのか、また、食べさせたい食材や調理ポイントについて、書籍『まねしてラクラク迷わない! 365日のフリージング離乳食』著者で管理栄養士の川口由美子さんに解説していただきました。
解説者のプロフィール
川口由美子(かわぐち・ゆみこ)
管理栄養士。一般社団法人 母子栄養協会 代表理事。母子栄養指導士。女子栄養大学生涯学習講師。小児栄養学研究室にて離乳食の研究をし、育児用品メーカーで離乳食やベビーフード開発に携わる。管理栄養士として独立後は、テレビ、雑誌、WEBなどで離乳食や幼児食のレシピ提案、コラム執筆などを行う。主な著書に『1週間分作りおき! フリージング離乳食 5カ月~1歳半』(大泉書店)、『赤ちゃんのための補完食入門』(彩図社)など多数。
本稿は『まねしてラクラク迷わない! 365日のフリージング離乳食』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。
イラスト/ふじいふみか
ゴックンと飲み込んで食べるころ 離乳初期 5~6カ月ごろの進め方
離乳食の初めの一歩と、始めてから1カ月ぐらいの期間をどのように進めたらいいのか確認しておきましょう。
この時期のポイント
徐々に栄養が食事からもとれるように準備
離乳食は5カ月になったらすぐ始めるものと考えなくてもOK。6カ月ごろから食事で栄養の一部を補えるようになればよく、最初はそのための準備を整えている時期と考えましょう。
5~6カ月ごろ、赤ちゃんが元気で機嫌がよく、ママ・パパが離乳食を始める準備ができたときに始めるとよいでしょう。
▼離乳食開始の目安
子どもの発達には個人差があるので、月齢はあくまでも目安と考えましょう。修正月齢がある場合は、かかりつけ医に相談してください。
▼大人が食べているものに興味を持ち、口を動かすなどの様子がある
▼スプーンなどを唇に当てたり、口に入れても舌で押し出すことが少なくなる
▼首のすわりがしっかりして、5秒以上座れる
1回分の食事量
各食材を大さじ1~3ぐらい
最初は小さじ1(5ml)を目安に。
その後は食べる様子を確認しつつ少しずつ量や食材の種類を増やし、離乳初期の後半以降には、主食(つぶしがゆなど)は50gぐらい、主菜(たんぱく質食材+ビタミン・ミネラル食材)は20g+10gぐらいを目安に食べられる量に増やしていきます。
▼離乳食開始から1カ月後ぐらいの食事量
つぶしがゆ+とろとろ野菜豆腐
食べさせ方
大人が抱っこして、専用スプーンで食べさせる
最初のうちは、赤ちゃんを膝に抱っこして食べさせるといいですが、背中は起こします。
離乳食用のスプーンに食べ物を半分くらいのせて、赤ちゃんの唇にスプーンが触れる位置に置いてみましょう。
赤ちゃんがスプーンを口でくわえたら、ゆっくりスプーンを引き出します。
本稿は『まねしてラクラク迷わない! 365日のフリージング離乳食』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。
与える時間は?
授乳のタイミングにあわせる後半は2回食にしても
授乳のタイミングにあわせて午前中に1回、授乳後に食べさせるのがよいでしょう。
しばらくは1日1回でゆっくり進めてもよいですが、6カ月に入り、食べるのに慣れたら1日2回にしてみましょう。
午前に1回、午後1回、食べさせやすいタイミングでOKです。
▼1日のタイムスケジュール例
食材のかたさ
ヨーグルト状が目安
スプーンを傾けたらポタっと落ちるくらいのヨーグルト状が目安です。
お悩みQ&A
Q
1日2回の離乳食はいつからがいいですか?
A
基本は6カ月ごろから
1日2回の離乳食を開始する時期に特にきまりはないですが、6カ月ごろからは食事からも栄養をとりたい時期に入ってくるので、慣れてきていたら2回にするのがベター。
でも6カ月終わりごろまでは1日1回の離乳食でも大丈夫。
Q
おかゆは10倍がゆでなくてもよいのですか?
A
ヨーグルト状になれば何倍でもOK
「授乳・離乳の支援ガイド」では、離乳初期は「つぶしがゆ」から始めるとあり何倍かは定義されていません。
本記事では、赤ちゃんが食べやすいヨーグルト状になる7倍がゆにしていますが、鍋の種類や火力によって状態が変わるので水分量は5~10倍で調節するとよいでしょう。
Q
食材は混ぜてあげても大丈夫ですか?
A
赤ちゃんの好みに合わせて
混ぜるか混ぜないかは、赤ちゃんが食べるほうを優先してかまいません。
ただしアレルギーを起こしやすい卵・乳製品・小麦・大豆製品などを初めて与えるときだけは、アレルゲンを判別しやすいよう、他の食材とは混ぜずに与えたほうがいいでしょう。
Q
離乳食の1さじってどのくらい?
A
小さじ1ぐらいと考えて
離乳食でよく言われる「1さじ」には明確な決まりはなく「少しだけ」の意味です。目安としては、小さじ1くらいと考えるといいでしょう。
小さじ1は赤ちゃんに食べさせる離乳食用のスプーンでいうと、3杯ちょっとになります。
Q
毎日同じメニューでもいいですか?
A
定番に新食材を少し混ぜて
定番メニューができたら、それをくり返してもかまいません。
けれども食材にはいろいろな栄養が含まれていて、それぞれ利点があります。
好きなものに少し混ぜるのでもいいので、違う食材にもチャレンジできるといいですね。
Q
離乳食を食べてくれません
A
与えるタイミングを変えて
理由はたくさん考えられますが、1つにタイミングがあるかもしれません。
おなかがいっぱいなときだけでなく、おなかがすきすぎても食べないことがあります。離乳食を授乳前や授乳後にしてみましょう。
母乳やミルクをおかゆに加えてみるのも一案です。
本稿は『まねしてラクラク迷わない! 365日のフリージング離乳食』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。
離乳初期 5~6ヵ月ごろ 初めの1カ月のメニュー
1回の量が少ないこの時期は、フリージングはもちろん、ベビーフードを利用するのも手。
食べさせたい食材&調理ポイント
初めの1カ月は、母乳・ミルク以外の食べ物の存在を教えて、食べることに慣らすためのお試し期間。
日本人が食べ慣れている米やいも、野菜などをとろとろにしたものから始めます。
この時期のおすすめ食材
つぶしがゆや野菜、白身魚、豆腐に挑戦
初めてのひと口は、特別なものでなく家庭にあるお米で作ったつぶしがゆ、またはにんじんや白菜など野菜のペーストからでOK。
つぶしがゆや野菜に慣れたら、最初のたんぱく質食材をあげましょう。身がやわらかい白身魚や豆腐がおすすめ。
それらに十分慣れたら、卵黄を少量から試しましょう。
初めての卵黄の1さじ量はこのくらい
初めての卵は、ほかの食材よりやや少なめからが安心です。
離乳食用スプーン1/3ほどの卵黄そぼろを湯で適宜のばしてヨーグルト状にして与えます。
▼卵黄そぼろの作り方
卵…1個(黄身のみ)
※湯で適宜薄めてペースト状にします。
(1)卵と水(分量外)を鍋に入れ、沸騰してから20分加熱し、かたゆでにする。
(2)ゆであがったらすぐに卵黄と卵白に分け、卵黄のみを裏ごしする。
この時期の調理ポイント
野菜の加熱は炊飯器調理もおすすめ
野菜ペーストを作るとき、ゆでる代わりに野菜を炊飯器でむしても、簡単でおいしく仕上がります。
野菜はよく洗い丸ごと炊飯器に入れ、炊飯器の満水位の半分よりやや少なめの水を加えて早炊きモードでスイッチオン。
量が少ないときは、小さく切って不織布袋に入れ同様に加熱してもOK。
冷凍ブロックの加熱解凍時間の目安
600Wの電子レンジでの目安時間です。加熱後はよく混ぜて、中までしっかり加熱されているか確認してください。
冷凍ブロック数 | 時間 |
小1個(5g) | 約20秒 |
1個(10g) | 約30秒 |
2個(20g) | 約40秒 |
本稿は『まねしてラクラク迷わない! 365日のフリージング離乳食』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。
この時期に使う冷凍ブロック
この時期の冷凍ブロックは、炭水化物食材はブロック1個につき小さじ3〜4、ビタミン・ミネラル食材はブロック1個につき小さじ2〜3、たんぱく質食材はブロック1個につき小さじ1〜2で作るとわかりやすいでしょう。
▼炭水化物 つぶしがゆ
小さじ4ずつ小分け容器で冷凍
1個分の目安量…20g
材料
米…30g
水…210ml
湯…適量
作り方
(1)鍋に米と水を入れて30分ほど水にひたし加熱。沸騰したらふたをして弱火で30分ほど加熱し、火を止めて30分ほどむらす。
(2)なめらかにすりつぶして湯を加え、ヨーグルト状にする。
▼炭水化物 さつまいもペースト
大さじ1ずつ小分け容器で冷凍
1個分の目安量…15g
材料
さつまいも…70g(皮と芽を取り除いたもの)
湯…大さじ1
作り方
(1)さつまいもは、洗ってラップにつつみ、電子レンジで3分ほど加熱し、つぶす。
(2)なめらかに裏ごしし、湯を加えてヨーグルト状にする。
▼ビタミン・ミネラル ほうれん草ペースト
小さじ2ずつ小分け容器で冷凍
1個分の目安量…10g
材料
ほうれん草…40〜50g(葉先のみ)
湯…適量
作り方
(1)適当な大きさに切り分けて、やわらかくなるまでゆでる。
(2)なめらかに裏ごしし、湯を加えてヨーグルト状にする。
▼ビタミン・ミネラル にんじんペースト
大さじ1ずつ小分け容器で冷凍
1個分の目安量…15g
材料
にんじん…70g(皮をむいたもの)
ゆで汁…大さじ1
作り方
(1)にんじんは適当な大きさに切りわけ、やわらかくなるまで水からゆでる。
(2)なめらかに裏ごしし、ゆで汁を加えてヨーグルト状にする。
▼ビタミン・ミネラル 白菜ペースト
小さじ2ずつ小分け容器で冷凍
1個分の目安量…10g
材料
白菜…40g
湯…適量
作り方
(1)白菜は適当な大きさに切り分けて、やわらかくなるまでゆでる。
(2)なめらかに裏ごしし、湯を加えてヨーグルト状にする。
▼ビタミン・ミネラル かぼちゃペースト
大さじ1ずつ小分け容器で冷凍
1個分の目安量…15g
材料
かぼちゃ…70g
(わたや種を取り除いたもの)
湯…適量
作り方
(1)かぼちゃは適当な大きさに切り、やわらかくなるまでゆでる。
(2)皮を取り除いてなめらかに裏ごしし、湯を加えてヨーグルト状にする。
▼たんぱく質 しらすペースト
小さじ2ずつ小分け容器で冷凍
1個分の目安量…8g
材料
しらす…40g
湯…適量
作り方
(1)しらすは熱湯でゆでてざるにあげ、水けをきる。
(2)なめらかに裏ごしし、湯を加えてヨーグルト状にする。
▼たんぱく質 鯛ペースト
小さじ2ずつ小分け容器で冷凍
1個分の目安量…10g
材料
鯛…40〜50g(刺身4切れ)
湯…適量
作り方
(1)鯛は熱湯でゆでてざるにあげ、水けをきる。
(2)なめらかに裏ごしし、湯を加えてヨーグルト状にする。
本稿は『まねしてラクラク迷わない! 365日のフリージング離乳食』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。
離乳初期 5~6ヵ月ごろ 初めの1カ月 進め方のポイント
初めの1カ月は、母乳、ミルク以外の食べ物に慣らすためのお試し期間。
まだ母乳やミルクの栄養が大切な時期なので、「食べる」ことを少しずつ練習させるつもりで進めましょう。
「最初の進め方」大事なこと3
赤ちゃんのペースで進めることが大切
離乳食に慣れる時間は、赤ちゃんによって違います。
以下に進め方の一例をあげますが、その通りに進めなくても、下にあげた3項目だけ守ればアレンジしてOK。
赤ちゃんのペースでゆっくり進めても、途中戻っても、いったんお休みしてもかまいません。あせらず進めることが大切です。
▼(1)つぶしがゆを小さじ1を目安に始める
野菜やじゃがいものペーストから始めてもOKですが、つぶしがゆが一般的。
急いで量を増やさず、少しずつ増やして。
▼(2)おかゆに慣れたら野菜のペーストをプラス
野菜はいろいろな種類のペーストを少しずつ試してもいいですし、同じ野菜を連続して食べさせてもいいでしょう。
▼(3)野菜に慣れたらたんぱく質食材をプラス
初めてのたんぱく質食材は、初日はほかの食材と混ぜずに食べさせ、小さじ1杯以内にするのがいいでしょう。
はじめの1カ月進め方例
あくまでも一例です。日数は赤ちゃんの様子で増減可。うまく進まない日はお休みしてもOK。
ステップ0(1日目)
▼炭水化物
先生からのアドバイス
▼つぶしがゆ
小さじ1は目安なので、それ以上食べてもあまり食べられなくても大丈夫です。
ステップ1(2~5日目ぐらい)
▼炭水化物
先生からのアドバイス
▼つぶしがゆ
食べにくそうなときは湯でのばしてとろみを調整してみまましょう。
ステップ2(6~14日目ぐらい)
▼炭水化物
▼ビタミン・ミネラル
先生からのアドバイス
▼ビタミン・ミネラル食材
野菜の種類を変えるなど、いろいろ試して好みの野菜を見つけましょう。
ステップ3(15日ぐらい以降)
▼炭水化物
▼ビタミン・ミネラル
▼たんぱく質
先生からのアドバイス
▼つぶしがゆ
50gまでを目安に食べられそうな量で。さつまいもペーストを加えて50gまでとしてもOK。
▼ビタミン・ミネラル食材
野菜ペーストは約20gまでを目安に食べられそうな量で。
▼たんぱく質食材
10gまでを目安に食べられそうな量で。卵黄は離乳食開始時期にかかわらず、6カ月以降、少しずつ始めます。
おすすめの食材
くせがなくやわらかくなりやすい食材を選びます(以下のペーストの作り方は前項「この時期に使う冷凍ブロック」参照)。
炭水化物食材
※(つぶしがゆ+さつまいも)はつぶしがゆのみ、さつまいものみでもOK。
ビタミン・ミネラル食材
※ここから1種類選びます。
たんぱく質食材
※ここから1種類選びます。
◇◇◇◇◇
なお、本稿は書籍『まねしてラクラク迷わない! 365日のフリージング離乳食』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。赤ちゃんのお世話って本当に大変です。時間も人手も睡眠もたりない! 離乳食が始まると、さらに大変。だから、無理はしないで少しでも負担を減らしてほしい…。本書は離乳食開始から完了までの毎日のレシピ案を紹介しています。1週間分をまとめて作って冷凍しておくことで、毎日の負担がぐんと減ります。最新「授乳・離乳の支援ガイド」に対応。離乳時期別「この食材いつからOK?」チェック表付き。かんたん&時短な離乳食作りを豊富な写真とともに、やさしく丁寧に解説しています。