忙しいのに急に大量の仕事を頼まれ「断ると悪いから…」と無理を承知で引き受けてしまうこと、ありませんか? できなかった場合、相手に迷惑をかけ、信頼も失います。できないときは、断る勇気が必要なのです。相手を不快にさせることなく断る心理学のテクニック「アサーション」について、書籍『イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める! 心理学』著者で文学博士の齊藤 勇さんに解説していただきました。
解説者のプロフィール
齊藤 勇(さいとう いさむ)
文学博士。立正大学名誉教授、日本ビジネス心理学会会長。早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。専門は対人・社会心理学。「それいけ‼ココロジー」(日本テレビ)の監修・コメンテーターを務めるなど、心理学ブームを牽引。『図解 心理分析ができる本』(三笠書房)、『図解雑学 見た目でわかる外見心理学』(ナツメ社)、『イラストレート 心理学入門』(誠信書房)など、著書・監修書多数。
本稿は『イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める! 心理学』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。
イラスト/桔川シン、堀口順一朗、栗生ゑゐこ
上手な仕事の断り方?「アサーション」の活用
「アサーション」とは、自分のことも相手のことも考えながら適切に主張すること!
忙しいのに急に大量の仕事を頼まれたら、やりたくてもできません。
でも「断ると悪いから…」と無理を承知で引き受けてしまうこと、ありませんか?
結局できなかった場合、相手に迷惑をかけ、信頼も失います。できないときは、断る勇気が必要なのです。
そのために、相手を不快にさせることなく断る心理学のテクニックが「アサーション(主張的反応)」です。
アサーションとは、お互いの価値観を尊重しつつ、自分の意見を適切に主張する方法のことです。
具体的には、まず、心をこめて謝罪すること。そして、断らなければならない理由を客観的な事実として説明します。
このとき、「依頼されてうれしいが、今の状況だと迷惑をかけてしまう」など、素直に自分の感情を伝えます。実現可能なスケジュールなど、代替案もいっしょに伝えられるとベストでしょう。
アサーション状況に対応するタイプは3つ。
アサーションを実行できるアサーティブのほか、自分の都合を一方的に主張する「アグレッシブ(攻撃的主張)」、相手の言いなりになる「ノン・アサーティブ(非主張的反応)」があります。
近年、ビジネスの現場で必要とされる対応は、コミュニケーション能力の高いアサーティブであるともいわれています。
アサーション状況に対応する3タイプ
タイプ1 アサーティブ(主張的反応)
▼素直に自分の気もちを表現する
▼自己主張しつつ、相手を尊重する
▼自分の責任で行動する
▼コミュニケーション能力が高い
相手を尊重しつつ、自分の意見を主張できる
タイプ2 アグレッシブ(攻撃的主張)
▼思ったことを一方的に主張する
▼他人の欠点を指摘する
▼抑圧的な態度を取る
▼他人に責任を転嫁する
高圧的な態度で、相手を萎縮させてしまう
タイプ3 ノン・アサーティブ(非主張的反応)
▼自己を主張せず、他人に従う
▼他人任せになり、自主性がない
▼言い訳が多く、他人を責める
▼弱い立場の人を理解できる
受け身の態度で、他人の意見に従ってしまう
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なお、本稿は書籍『イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める! 心理学』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。心理学に興味をもって、「ちゃんと勉強してみよう」と思っても、専門書には専門用語が多く出てくるので、「むずかしい」と感じる人も多いのではないでしょうか? 本書は、これまで積み重ねられてきた心理学の研究を、知識ゼロでも楽しく読めるように、イラストや図解も豊富に使い、やさしく丁寧に解説しています。