「クレバードリッパー」、一見すると一般的な台形ドリッパーのようだが、実はまったく違う仕組みでコーヒーを淹れる。独自の構造を備えている賢いドリッパー。湯を溜めてから一気にコーヒーを抽出する、台湾生まれの浸漬式ドリッパー。透過式でも淹れられるため、これ1台で二つの味わいのコーヒーが楽しめる。
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独自の構造を備えている賢いドリッパー
この「クレバードリッパー」、一見すると一般的な台形ドリッパーのようだが、実はまったく違う仕組みでコーヒーを淹れる。
台形ドリッパーとの大きな違いは、底部の穴にシリコン製の弁が付いていること。この弁で穴がふさがれているので、コーヒー粉を入れて湯を注いでも、抽出液が落ちてこない。ではコーヒー液はどのように抽出されるのだろう。
その秘密は、ドリッパーの裏側にある。裏面には弁を開くスイッチがあり、サーバーやカップの上に置くと弁が開く構造になっている。溜まっていたコーヒー液は、サーバーに載せた瞬間、一気に抽出されるのだ。
このようにクレバードリッパーは、コーヒー粉を湯に漬け込んで抽出する「浸漬式」。湯がコーヒー粉を通過するときに成分を抽出する「透過式」の台形ドリッパーとは違う仕組みとなる。
しかし、台形ドリッパーとの違いは弁が付いていることだけ。だから、あらかじめサーバーにセットした状態でコーヒー粉をセットして湯を注げば「透過式」でもコーヒーを淹れられる。これが「クレバー=賢い」ドリッパーたるゆえんだ。
独自の構造を持ったドリッパー、気になる人はぜひ試してみよう。
クレバー
コーヒードリッパー
実売価格例:1980円(Sサイズ)、2530円(Lサイズ)
テクニックがいらないのでいつでも誰でも同じ味のコーヒーが淹れられる
ドリッパーに湯を溜めてから一気にコーヒーを抽出する、台湾生まれの浸漬式ドリッパー。透過式でも淹れられるので、これ1台で二つの味わいのコーヒーが楽しめる。
テクニックがいらないので、粉と湯の量、置いておく時間、攪拌回数など、一連の手順を変えなければ、いつでも同じ味わいのコーヒーを淹れることができます。ずっと付きっきりで淹れなくてもいいので、慌ただしい朝の時間でもおいしいコーヒーが淹れられるのが便利です。
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湯温 93℃
湯量 180cc
粉砕 中挽き
豆量 10g
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(1)底にある穴には、シリコン製の弁が取り付けられている。この状態で湯を注ぐと、ドリッパー内に湯がたまるようになっている。
(2)裏面のスイッチが押されると弁が開く。ドリップをサーバーに載せると、穴が開いてコーヒーが落ちる仕組みだ。
(3)台形のペーパーフィルターをセットしたら、杯数分のコーヒー粉を入れる。1杯分の粉の量は約10g。中挽きの粉を使用する。
(4)入れたコーヒー粉が山状になっているので、左右に軽く振って平らにならす。これでコーヒー粉に湯が均一に行きわたる。
(5)ドリッパーをスケールに載せたまま湯を注いでいく。このときサーバーに載せていると湯が落ちてしまうので注意。
(6)注ぐ湯の量は約180g。スケールを使って計りながら注ぐと、正確な量を入れることができるのでおすすめだ。
(7)今回は湯を注いで1分30秒ほど置いた後、まんべんなく成分を抽出するためにへらを使って、数回、優しく撹拌した(※湯を注いだ後、攪拌をさせないまま置くやり方もある)。
(8)混ぜ終えたら、約3分30秒そのまま置いておく。このとき付属のドリッパー用のフタをかぶせておくと温度が下がりにくい。
(9)3分30秒たったら、ドリッパーをサーバーの上に載せる。ドリッパーの弁が開き、コーヒー液が一気にサーバー内に落ちる。
(10)通常のペーパードリップとは違い、フィルター内に残るコーヒー粉の層は厚みが均一ではなく、側面は薄く、底面は厚く残る。
(11)入れ終わったドリッパーをサーバーから外すと弁が閉まる。コーヒーのしずくが垂れることがないので便利。
湯に浸けて成分を抽出するので、コクのある味わいになる。さらにフィルターで濾過して微粉を取り除くので仕上がりはクリアだ。
※製品の価格は、特別に表記のないかぎり、消費税込みの総額です。
※製品の仕様や価格は制作時のもので、その後、諸事情により変更されている場合があります。
※コーヒーの抽出方法は、解説内容に合わせた使いこなしの一例であり、器具メーカーの公式な使用手順とは沿わない場合があります。
■イラスト 田村 梓(ten-bin)
※この記事は『自宅で楽しむおいしい珈琲の淹れ方』(マキノ出版)に掲載されています。