「酢大豆」は、その名のとおり、お酢に大豆を漬けるだけで完成する、とても簡単な健康食です。それでいて、「高血圧が改善した」「血糖値が正常化した」「楽々やせた」などなど、その効果の高さから、「最強の健康食」として今、注目を集めているのです。今回はそんな「酢大豆」の効果と簡単な作り方を説明します。
患者の高血圧、糖尿病、 肥満が続々改善! 酢大豆は脂肪肝や腎臓病にも効果大

1939年生まれ。信州大学医学部卒業。東京大学医学部第2内科入局などを経て、2000年に野村消化器内科を開院。日本消化器病学会専門医。湘南予防医学研究所所長。肝臓・胃腸疾患を専門とし、生活習慣病予防に力を注いだ。2020年10月、逝去。
肝臓の治療に使われる レシチンに注目!
古来、豆は日本人の食卓に欠かせない物でした。「まめに働く」「まめまめしい」という言葉があるように、豆を食べていれば労を惜しむことなく、いつも元気に働けたのでしょう。
とりわけ大豆は、みそ、しょうゆ、豆腐、納豆、きな粉など、さまざまな食品に加工され、活用されています。肉を食べなかった時代の重要なたんぱく源として、日本人の健康を支えてきた食材でした。
その大豆を、代謝促進や血流改善の作用がある酢に漬けた物が、「酢大豆」です。この酢大豆が今、再び注目されています。
大豆は、豊富なたんぱく質のほかに、ビタミン(B群やK)、ミネラル(カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄など)、食物繊維、さらにレシチン、ポリフェノール(イソフラボン)などを含む、栄養の宝庫です。なかでも注目したいのは、レシチンです。
レシチンは、善玉の脂質の1つで、中性脂肪や悪玉とも呼ばれるLDLコレステロールを減らす作用があります。肥満や動脈硬化の予防・改善に有効です。
また、レシチンは、肝臓にたまった脂肪を分解する働きもあります。現在、ウイルス性肝炎よりも、脂肪肝(脂肪性肝炎)から肝臓ガンになる人が急増しており、脂肪肝は侮れない病気になっています。
レシチンは、医薬品として肝臓の治療に使われるほどの成分ですから、脂肪肝や肝機能アップにも役立つでしょう。

2つの食材が強力な健康効果を生み出す!
大豆には、ホルモンの一種である、アディポネクチンを増やす働きもあります。アディポネクチンは、脂肪細胞から分泌され、内臓脂肪の燃焼や血糖値の上昇緩和、動脈硬化の抑制などの作用があります。
さらに、カリウムも豊富です。カリウムは、ナトリウムの排出を促し、血圧を下げる作用があります。血圧が上がると腎臓の負担が増えたり、腎動脈が硬化したりして本来の毒出し機能が低下します。腎臓ケアのためにも、大豆は有効です。ただし、慢性腎臓病(CKD)の人は、重度(G4以上)になると高カリウム血症になるおそれがあるので、主治医と相談しながらとってください。
大豆を漬ける酢についても触れておきましょう。酢の主成分である酢酸には、血管を広げ、血液循環をよくする作用があります。また、糖質の吸収を緩やかにして血糖値の急上昇を抑えたり、血中の中性脂肪値を低下させたりします。また、疲労回復効果が高いのも特長です。
なによりも、酢の酸味は日本人の口に合い、食欲増進に役立ちます。ですから、大豆を食べやすくするという点でも、酢との組み合わせは最高です。
酢大豆の基本の作り方
酢大豆には、いろいろな作り方があります。ここでは、いちばん手軽かつ短期間で完成する作り方をご紹介しましょう。そのまま食べてもおいしく、料理にも簡単に活用できます。日々の健康のために、ぜひ家庭に常備しましょう。
乾燥大豆…250g 酢…700ml 広口瓶(タッパーでも可)
1.大豆をさっと水洗いして、ふきんで水気をふき取る。
2.大豆をフライパンに入れて弱火にかけ、わずかに焦げ目がつくまで10分ほど、から炒りする。
3.大豆の粗熱が取れたら瓶に入れ、 大豆が十分に浸るように酢を注ぎ、 冷蔵庫で保存する。
4.1週間ほど経ったら、完成【おいしい酢大豆の 出来上がり!】
酢大豆の食べ方
1.そのまま食べる。
2.料理に使う。
● 酢の種類は、穀物酢や米酢、黒酢、バルサミコ酢、リンゴ酢など、なんでもOK。お好みの酢を使いましょう(19〜23ページ、50〜55ページからのレシピで使用した酢大豆は、米酢で作っています)。
● 残った漬け酢は、再利用せず、ドレッシングに使ったり、料理に入れたりするなど、使い切るようにしましょう。
● 酸味が気になるかたは、砂糖やハチミツ、塩を入れて食べやすいように調整しましょう。 ● 冷蔵庫に保存して、1ヵ月を目安に食べ切りましょう。
● 1日に、10〜20粒を目安に食べましょう。
そのまま使いの簡単レシピ
加熱使いの和風レシピ
まとめ:作りおきできる点も、人気の秘密!
たんぱく質や食物繊維が豊富な大豆と、酢酸をはじめ有効成分豊富な酢との組み合わせは、健康パワー満点!長期間、作りおきできる点も、人気の秘密です。
実はこの酢大豆、今から遡ること30年ほど前に一大ブームを巻き起こしました。今なお愛され続けている健康常備菜の元祖、そういってもいいでしょう。
今回は酢大豆の効果効用、簡単でおいしい作り方、酢大豆を活用したレシピをピックアップしてご紹介しました。酢漬け野菜の決定版「酢大豆」をぜひ、試してみてください!

今回の記事の抜粋元「酢大豆で病気が治る!楽々やせる! 新装版」(ブティック社・税込定価 1,320円・2025年3月13日発売)。他にも「酢大豆」のアレンジレシピなど多数掲載。公式サイトhttps://www.boutique-sha.co.jp/37009/
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