最近スーパーで見かけるようになった「大豆ミート」。なんとなく体にはよさそうだけど、美味しいの?どうやって使うのかわからない!そう思っている方もいるでしょう。実際に食べてみて、あまり好みでなかったという方もいるでしょう。実は、大豆ミートの料理が格段においしくなる「ちょっとしたコツ」があるのです。今回は野菜料理家の庄司いずみ先生に「大豆ミート」の使い方のコツや人気のレシピをご紹介いただきました。まずは、先生おすすめの人気レシピからお試しください!
解説者のプロフィール
庄司いずみ(しょうじ・いずみ)
野菜料理家。日本ベジタリアン学会会員。かんぶつマエストロ。レシピ本や雑誌、テレビ、ブログなどで野菜料理を紹介。主宰する『庄司いずみ ベジタブル・クッキング・スタジオ(http://shoji-izumi.tokyo)』の野菜の料理教室も人気。著書は『ヴィーガン和食』(主婦の友社)など多数。20年以上前から、大豆ミートを愛用している。
※本稿は『やせる!たんぱく質たっぷり!大豆ミートレシピ』(マキノ出版)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。
大豆ミートとは?
●たんぱく質がたっぷり!
大豆ミートの原料の大豆の約30%は、たんぱく質。たんぱく質は、髪や肌を若々しく保つのに必須です。
大豆ミート100g中のたんぱく質量は、牛肉が14.4g、豚肉が17.8g、鶏肉が16.6gに対して15.4g。肉に比べてもそん色ないたんぱく質量なのです(※)。
●肉に比べて断然低カロリー!
大豆ミート100gあたりのカロリーは、120kcal。対して、牛肉は371kcal、豚肉は226kcal。低カロリーの代表格、鶏肉でさえも204kcalです(※)。ダイエットに、もってこいの食材です。
※数値は不二製油のHPより引用。大豆ミートは「粒状大豆たん白」の値を元にした3倍水戻しの計算値。調理前の食材としての栄養成分値(豚肉は酢豚用、鶏肉は唐揚げ用、牛肉は牛丼用に使用される部位で比較)。
●食物繊維がたっぷり!
肉には、ほぼ含まれていない食物繊維が大豆ミートには豊富。食物繊維は腸内環境の改善や、血中のコレステロール値の低下に役立ちます。
●肉の油が重い、苦手という人に!
大豆ミートは、油を搾って作られるので、油分がありません。調理の際に油を使いますが、自分で量を調整できるのもメリット。
●実はアレンジの幅が広い!
大豆ミート=から揚げ、と思われがちですが、実際には通常の肉と同様に料理に使えます。おいしく食べるコツは下項をご覧ください。
●種類が豊富!
料理法に合わせて、大豆ミートの種類を選べる。
【ブロックタイプ】
厚みがあるので、から揚げや酢豚などに向いている。
【フィレタイプ】
薄切り肉のように使えるので、炒め物などに向く。メーカーによって、同じフィレタイプでも形状が異なる。
【ミンチタイプ】
ひき肉のように使える。粘り気はないので、ハンバーグなど生地をまとめたい料理には、つなぎを使うとよい。
【水戻し不要タイプ】
水戻しせずに、通常の肉のようにそのまま使える。写真のようなミンチタイプ以外にも、ブロックタイプ、フィレタイプもある。
手軽に買える加工品も種類が豊富!
スーパーやコンビニで買える大豆ミート製品の一例。いろいろなメーカーが、大豆ミートを使ったレトルト食品や加工品を出している。外食チェーンやファストフード店でも、大豆ミートのメニューがある。
和食をはじめいつもの料理に使える
最近、大豆ミートがブームになっています。私は、長年ヴィーガン(肉や魚などの動物性食品を取らずに、野菜など植物性食品を中心に食べる方法)の料理教室を主宰してきましたが、7~8年前まで、「大豆ミート食べたことがある人はいますか?」と生徒さんに聞いても、手を挙げるのはせいぜい一人か二人。
それが今や、ヴィーガンやベジタリアンの人だけでなく、ふだん食べている肉のかわりに、大豆ミートを選ぶ人が増えてきたといいます。スーパーやコンビニ、外食でもさまざまな商品を目にするようになりました。
私自身は、20年以上前から大豆ミートを愛用していますが、たんぱく質や食物繊維が豊富という栄養面でのメリットはもちろんのこと、お勧めしたいポイントがいくつもあります。
まず、大豆ミートというと、料理が難しそう、めんどうくさそう、と思われがちですが、いつも作っている料理に使えるのです。から揚げやハンバーグが大豆ミート料理の定番ですが、意外に和食にもよく合います。
それから、冷めても肉のように油が白く固まらないので、時間がたってもおいしくいただけます。そのため、作りおきやお弁当にも重宝します。
また、乾燥しているので長期保存ができ、料理に使った残りは常温で保存できます。
小さなことですが、買い物のとき軽いのもうれしい点です。さらに、水やお湯で戻すとだいたい3倍の重量になるので、コストパフォーマンスも悪くありません。
庄司先生の「大豆ミートのここがおススメ!」
●いつもの料理に使える ●冷めてもおいしい ●長期保存が利く ●使いたい分だけ使って残りは常温保存できる ●買い物のときに軽い ●コスパがよい ●ヴィーガンやベジタリアンの人も食べられる
旨みと油を補うとコクがアップする
一方、大豆ミートは独特のにおいがあって、正直あまりおいしくない……。そう思っているかたもいるでしょう。実は、ちょっとしたコツを押さえるだけで、大豆ミートの料理は格段においしくなるのです。
最大のコツは水やお湯で戻すときに、しっかりもみ洗いすること。このときに出てくる濁りが、大豆特有のにおいの元だからです。戻してやわらかくなった大豆ミートをきれいな水に浸し、手でギュッギュッと、黄色い濁りを出すように絞ります。
水の濁りがなくなるまで、数回くり返します。この工程を丁寧に行うだけで、出来上がりがまったく違うものになります。
肉と違い、大豆ミートそのものには旨みや油分が、ほとんどありません。逆に、それらを補えばおいしくなります。具体的には、味つけをしっかりすることと、少し多めの油で料理すること、この2点です。
戻した大豆ミートは、スポンジのようになります。中心まで調味料をよくしみ込ませると、口に入れたときに味の偏りがなくなります。
油を多めに使うのはコクを出すためですが、カロリーなどが気になる人は控えめにしてもかまいません。何度か作るうちに、ご自分に合った味がわかるでしょう。
なお、ミンチタイプの大豆ミートは食感もひき肉と似ていて使いやすいですが、粘度がないのでまとまりません。マーボー豆腐やタコライスなどにはそのまま使い、ハンバーグやシュウマイなどには、豆腐などのつなぎを使うか、生タイプを使うのがお勧めです。
今回はメインのおかずとデザートの、大豆ミートを使ったレシピを紹介します。どれも自信作なので、ぜひお試しください。
大豆ミートレシピが格段においしくなる極意
●戻したあと、しっかりともみ洗いをする
水が濁らなくなるまで、しっかりともみ洗いをすることで、独特の“大豆くささ”が軽減される。戻した大豆ミートの水気はしっかり絞る。
●味つけをしっかりする
必要以上に薄味にすると、大豆ミートのにおいが気になることも。大豆ミートにしっかりと味をしみ込ませることでおいしさが増す。
●油を使って調理する
大豆ミートは、油を搾ったあとの大豆が原料なので、油分がない。その分、調理で油を補うことで旨みがアップ。
●粘度が必要な料理は生タイプを使う
ハンバーグなど、ひき肉をこねて作る料理は、乾燥大豆ミートだとうまくまとまらない。そのまま使える生タイプを使うのがお勧め。
※本稿は『やせる!たんぱく質たっぷり!大豆ミートレシピ』(マキノ出版)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。
大豆ミートの使い方(戻し方)
大豆ミートには、乾燥タイプのほか、水戻し不要のもの、レトルトタイプ、冷凍タイプなどがあります。ここでは、乾燥タイプについて基本となる使い方を紹介します。
❶大豆ミートを戻す
戻し方は水とお湯の2通り。どちらの方法でもよいが、大豆ミートのパッケージに戻し方と戻し時間の目安が書いてあることが多い。※写真はブロックタイプを使用。
【水で戻す】
大豆ミートをたっぷりの水に浸し、芯がなくなるまで戻す。
【湯で戻す】
鍋にたっぷりの湯をわかし大豆ミートを入れ、芯がなくなるまで弱火で戻す。
❷もみ洗いをする
たっぷりの水を張ったボウルなどに、やわらかく戻った大豆ミートを入れて、もみ洗いをする。大豆特有のにおいが残らないように、水の中で大豆ミートをやさしく絞りながら濁りがなくなるまで、数回水を取り替えて行う。
❸水気をしっかりと切る
大豆ミートをギュッと手で絞り、水気をしっかりと切る。写真の右側の大豆ミートは水で戻したもの、左側は湯で戻したもの。この状態で下味をつけたり、肉と同様に料理をしたりする。
大豆ミートQ&A
Q. 水で戻した大豆ミートと、湯で戻したものの違いは?
A. どちらの方法でもよいですが、水で戻すほうが歯ごたえが残りやすいです。また、戻す時間は湯に比べて長くなります。やわらかい食感が好きな人、戻す時間を短くしたい人は、湯で戻すとよいでしょう。
Q. 一度戻したものは保存できる?
A. 冷蔵庫で数日は保存できます。数日内に使うのであれば、まとめて戻しておくと便利です。
Q. 冷凍保存はできる?
A. できます。ただし、食感が若干変わります。
Q. 戻さずに使える?
A. 大豆特有のにおいがあるので、それを取るという意味でも戻して使うことが前提です。ミンチタイプであれば、豆腐などほかの食材の水分で戻したり、乾煎りして使ったりすることもできます。
Q. 乾燥した状態のまま食べられる?
A. 加熱して食べるのが前提です。
Q. どのような料理に大豆ミートはお勧め?
A. 大豆ミートそのものには旨みがないので、素材の味を生かす料理より、味にパンチのある料理のほうがお勧めです。
※本稿は『やせる!たんぱく質たっぷり!大豆ミートレシピ』(マキノ出版)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。
定番!大豆ミートレシピ
●材料の大豆ミートは、断りがないかぎり、戻したあとの重量です。
・乾燥大豆ミートを戻すと、だいたい3倍の重量になります。
・乾燥タイプを使用する場合は、材料の1/3程度の重量を目安にしてください。
・例:レシピの材料が100gの場合、乾燥タイプでだいたい30~35gくらい。
●主に米油を使用していますが、お好みの油でもかまいません。
ブロックタイプ
基本のからあげ
材料(2人分)
大豆ミート(ブロックタイプ・戻したもの)…100g
片栗粉、小麦粉…各小さじ2
揚げ油…適量
Ⓐしょうゆ…大さじ1と1/3
酒…大さじ2
しょうが汁…少々
おろしニンニク…小さじ1
米油…小さじ1強
❶戻した大豆ミートを、Ⓐとともにボウルに入れて5分おく。
❷片栗粉と小麦粉を混ぜて(1)にまぶしつける。
❸揚げ油を熱して、(2)をからりと揚げる。
ミンチタイプ
焼き餃子
材料(2人分:10個分)
大豆ミート(ミンチタイプ・戻したもの)…40g
油…適量
片栗粉…小さじ2
ギョウザの皮…10枚
ゴマ油…適量
Ⓐショウガ、ニンニク(みじん切り)…各小1片
キャベツ(粗みじん切り)…小さめの葉1枚(35g)
ニラ(小口切り)…4本程度(15g)
塩…小さじ1/5
❶フライパンに多めの油を熱し、大豆ミートをさっと炒める。
❷Ⓐをボウルに入れて混ぜ、3分間おいて味をなじませてから、ギュッと水気を絞る。
❸(2)と(1)の大豆ミートを混ぜて片栗粉でまとめたら、ギョウザの皮で包む。
❹ゴマ油を引いたフライパンに(3)を並べ、中火でカリッとなるまで焼いたら、水大さじ2(分量外)を振って蓋をし、中火のまま焦げ目がつくまで焼き上げる。
フィレタイプ
焼肉風
材料(2人分)
大豆ミート(フィレタイプ・戻したもの)…200g
揚げ油…適量
焼き油…適量
Ⓐしょうゆ…大さじ1
酒、みりん…各大さじ1と1/3
菜種油…大さじ1と1/3
おろしニンニク…小さじ1
Ⓑ酒、みりん(煮切る)…各大さじ2
しょうゆ…大さじ2
長ネギ(みじん切り)…10cm(30g)
おろしニンニク…小さじ1/2
❶揚げ油を熱して、大豆ミートを素揚げする。
❷(1)とⒶをボウルに入れて味をなじませる。
❸フライパンに油を熱して、水気を落とした(2)を焼き、合わせておいたⒷをジュッと絡める。
戻し不要!超簡単!お手軽大豆ミートスイーツ
大豆ミートが使えるのは、食事メニューだけにとどまりません。しょっぱいおつまみはもちろん、栄養たっぷりのおやつにも大活躍です。
ミンチタイプ
チョコレートクランチ
材料(15個分)
大豆ミート(ミンチタイプ・乾燥)…30g
Ⓐココナッツオイル(固まっていたら溶かす)…50g
メープルシロップ…20g
ココアパウダー…25g
クルミ(粗く刻む)…20g
❶大豆ミートをフライパンで乾煎りする。
❷Ⓐを混ぜる。ココナッツオイルが固まっていたら湯せんで溶かす。
❸(1)と(2)を混ぜる。
❹(3)をスプーンでひと口大ずつクッキングシートの上に落とし、冷蔵庫で30分以上冷やし固める。
■調理補助/中村三津子、スタイリング/宮沢ゆか
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なお、本稿は『やせる! たんぱく質たっぷり! 大豆ミートレシピ』(マキノ出版ムック)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。みなさんは、大豆ミートを食べたことがありますか?「興味はあるけど食べ方がわからない」人も多いのではないでしょうか。たんぱく質や食物繊維がたっぷりの大豆ミートは食べ続けることで、からだにうれしいことがたくさん。本書には大豆ミートを使ったレシピを50品収載。肉が重たく感じる人や、肉が苦手な人はもちろん、肉好きの方もぜひ、お試しください。