コストパフォーマンスが高いと評判のコストコのスピリッツ類。筆者はコストコに行くたびに、まだ買ったことのないものに挑戦するのですが、今回は最近発売されたケンタッキーストレートバーボン2種類。「カークランド シグネチャー ケンタッキー ストレート バーボン ウイスキー シングル バッチ 1000 ml」(実勢価格:税込2,998円)と「カークランド シグネチャー ケンタッキー ストレート バーボン ウイスキー ボトルド イン ボンド 1000 ml」(実勢価格:税込3,698円)の価格差700円の2本を4種の飲み方で比べてみました。
執筆者のプロフィール
齋藤千歳(さいとう・ちとせ)
元月刊カメラ誌編集者。新しいレンズやカメラをみると、解像力やぼけディスク、周辺光量といったチャートを撮影したくなる性癖があり、それらをまとめたAmazon Kindle電子書籍「レンズデータベース」などを出版中。まとめたデータを元にしたレンズやカメラのレビューも多い。使ったもの、買ったものをレビューしたくなるクセもあり、カメラアクセサリー、車中泊・キャンピングカーグッズなどの記事も執筆。現在はキャンピングカーを「方丈号」と名付け、約9平方メートルの仕事部屋として、車内で撮影や執筆・レビューなどを行っている。
2本のストレートバーボンウイスキーの違いは?
実は2本は蒸留所も同じ
今回購入したカークランド シグネチャーのケンタッキー ストレート バーボン ウイスキーは「カークランド シグネチャー ケンタッキー ストレート バーボン ウイスキー シングル バッチ 1000 ml(Kirkland Signature Kentucky Bourbon Straight Whisky Small Batch 1000 ml)」と「カークランド シグネチャー ケンタッキー ストレート バーボン ウイスキー ボトルド イン ボンド 1000 ml(Kirkland Signature Kentucky Straight Bourbon Whisky Bottled in Bond 1000 ml)」の2本です。価格の差は700円。
名称があまりにも長いので、以下「Small Batch」と「Bottled in Bond」とします。
どちらもバートン1792(BARTON 1792)蒸留所で作られたケンタッキーストレートバーボン。バートン1792蒸留所がアメリカ・ケンタッキー州バーズタウンにある最古の現役蒸留所なので、ここで原材料のトウモロコシ含有量51%などの条件を満たして作られたバーボンはケンタッキーバーボンとなります。さらにストレートバーボンを名乗るには2年以上の熟成が必要だそうです。
そのため、今回飲み比べるどちらも、アメリカの法律でバーボンの要件を満たしてケンタッキー州で作られた2年以上熟成されたバーボンウイスキーということ。また、熟成期間が4年以下のバーボンウイスキーにはラベルに熟成期間を明記する必要があるらしいので、どちらも4年以上の熟成が行われているのでしょう。
名称の違いは「Small Batch」か「Bottled in Bond」かだけ
名称の違いは最後が「Small Batch」か「Bottled in Bond」かだけです。「Small Batch」は明確な定義はないようですが、一般的に発酵から蒸留までの一回当たり生産量の少ないウイスキーや少量の厳選された樽のみで瓶詰めされたウイスキーを指すといいます。一方「Bottled in Bond」は、アメリカ1897年に制定され、1987年に廃止された「ボトルド イン ボンド法」に基づいて作られたウイスキーを意味します。1蒸留所だけの原酒で1年、1シーズンで蒸留されたといった条件を満たしたものだけを樽詰めし、アメリカ政府管理下の保税倉庫で最低4年熟成した後、アルコール度、100プルーフ(50%)で瓶詰めしたウイスキーには「Bottled in Bond」や「Bond」といった表記ができるそうです。とはいえ、法律は廃止されているので、いまでは1蒸留所で同じシーズンに蒸留された原酒を4年以上熟成し、アルコール度50%で瓶詰めしたウイスキーといった意味をもつといいます。
わかりやすい違いは「Small Batch」がアルコール度46%に対して「Bottled in Bond」が50%という点くらいの2本のケンタッキーストレートバーボンウイスキーを実際に飲み比べてみました。
「カークランド シグネチャー バーボン ウイスキー」を飲み比べる
「カークランド シグネチャー バーボン ウイスキー」をストレートで飲む
「Bottled in Bond」と「Small Batch」をストレートで味わってみました。素人の筆者には、大きな違いはわからないのですが、「Bottled in Bond」のほうがわずかに香りが強く、飲んだ後の余韻も長いように感じます。コストコのWEBのテイスティングノートには「Small Batch」は「スムースで飲みやすいオークとライ麦のスパイスにバニラとキャラメルのアクセントが混ざり合い、甘い余韻を残すバーボンウイスキー。」。「Bottled in Bond」は「フルーツキャンディーやハチミツを感じるほのかで心地よいスパイス香、ライ麦本来の味わいとオークアロマの余韻が楽しめるボトル・イン・ボンドのバーボンウイスキー。」と紹介されています。
どちらもバーボンウイスキーらしい味わいですが、個人的には「Bottled in Bond」のほうが力強さを感じ好みです。
「カークランド シグネチャー バーボン ウイスキー」をロックで飲む
筆者は勝手にバーボンウイスキーのスタンダードな飲み方としてロックを想像し、氷を加えて楽しんでみました。
ただし、個人的にはある程度以上の価格のウイスキーに氷を入れるのは、香りも閉じてしまいますし、味も弱くなるような気がするので、あまり好きではありません。
アルコール度だけでなく、香りやパンチも強いように感じている「Bottled in Bond」のほうが氷を入れても若干自己主張が強いようですが、ストレートのときよりも差は縮まった印象。
氷がゆっくりと溶けていくことを考えると、アルコール度の高い「Bottled in Bond」のほうがゆったりと楽しめるかもしれません。とはいえ、あまり強いアルコールに慣れていない人には「Small Batch」のほうが飲みやすいでしょう。
「カークランド シグネチャー バーボン ウイスキー」をソーダ割りで飲む
バーボンウイスキーのソーダ割りは、個人的にいちばん好きなバーボンの飲み方です。ドライでハードボイルドなイメージが強いバーボンウイスキーですが、氷とソーダを加えると、甘みと軽やかな味わいが強調され、とてもさわやかで飲みやすい。夏の昼間に楽しみたいお酒です。
「Bottled in Bond」でも、「Small Batch」でも作ってみましたが、ソーダ割りにすると差はかなり小さくなる印象です。どちらもバーボンウイスキーらしい軽快で後味の甘やかなバーボンソーダに仕上がります。
おすすめの飲み方といえるでしょう。
「カークランド シグネチャー バーボン ウイスキー」をコーラ割りで飲む
バーボンといえば、アメリカ。アメリカといえばコーラという短絡的な思考しか、筆者がもっていないため「Bottled in Bond」を「Small Batch」を「コカ・コーラ ゼロ」で割ってみました。「コカ・コーラ」のオリジナルではなく「コカ・コーラ ゼロ」なのは、小太りの中年男性である筆者は普段から「コカ・コーラ」はゼロしか飲まないためです。
「コーラで割ったら、なんでもいっしょでしょ」という意見もあるでしょうが、筆者はかなり複雑で個性的な味わいであるコーラで割っても、味わいが消えてしまわず、しかもお互いのよさを引き出せるお酒は、なかなか難しいと思っています。
今回は「Small Batch」で作ったバーボンコーラもかなりおいしかったのですが、その後に「Bottled in Bond」で作ったバーボンコーラを飲むと、コーラに負けない「Bottled in Bond」の力強さが感じられます。価格を考えるとバーボンコーラにはもったいない気もしますが「Bottled in Bond」がおすすめです。
まとめ
700円差なら「Bottled in Bond」をおすすめしたい
今回はコストコの「カークランド シグネチャー バーボン ウイスキー」2種を飲み比べてみました。「Small Batch」で実勢価格2,998円(税込)、「Bottled in Bond」は実勢価格3,698円(税込)と1lボトルとはいえ、1,000円スコッチウイスキーのような宅飲み用の高コストパフォーマンスウイスキーとはいえません。その分、どちらもおいしいのですが……。
この点を考慮すると、700円の価格差があっても、せっかく買うなら「Bottled in Bond」が筆者のおすすめ。50%と4%ほど「Small Batch」よりも、アルコール度が高いことに起因するのかもしれませんが、より香りや余韻などが強くバーボンウイスキーらしい味わいを楽しめるように感じるのです。
ストレートはもちろん、コーラなどで割った際も、軽やかで甘やかな味わいになっても、その個性を「Bottled in Bond」のほうが強く主張しているように感じました。素人の感想なので、実はボトル詰めの際のアルコール度調整が違うだけで、まったく同じお酒だった場合は申し訳ありません。どちらにしても、筆者は次にどちらかを買うなら700円高い「Bottled in Bond」を選ぶでしょう。