【台風予報の見方】日本はなぜ台風が多いのか?進路予報の丸い円で何がわかる?

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日本には、なぜたくさんの台風がやってくるのでしょうか? 天気予報で台風の進路は白い円であらわされますが、この図は何を示しているのでしょうか? 台風について著者で気象予報士の中島俊夫さんに解説していただきました。

解説者のプロフィール

中島俊夫(なかじま・としお)

気象予報士。1978年生まれ。2002年、気象予報士資格を取得。その後、大手気象会社や気象予報会社で予報業務に携わるかたわら、資格学校で気象予報士受験講座の講師も務める。現在は個人で気象予報士講座「夢☆カフェ」を運営。気象予報士の劇団「お天気しるべ」を主宰。著書に『イラスト図解 よくわかる気象学』シリーズ(ナツメ社)など。2021年NHK連続テレビ小説「おかえりモネ」で助監督(気象担当)を務める。

本稿は『イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める! 天気のしくみ』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。

イラスト/桔川シン、堀口順一朗、北嶋京輔、栗生ゑゐこ

日本はなぜ「台風」が多いの?

台風は、熱帯の海で発生している

日本には、なぜたくさんの台風がやってくるのでしょうか?

実は、台風は1年中、熱帯の海で発生しています
1年に平均約25個の台風が発生して、特に8〜9月に発生する数が最も多く、8~9月にかけて約6個ほどが日本に近づきます。
季節によって台風が生まれる緯度は違います。そのため進路も変わるので、季節が変わると台風は日本に近づきにくくなるのです。

台風の代表的な進路

台風は1年中発生しているが、発生する緯度により、進路が変わる。8月と9月の台風がよく日本に接近する。

1〜5月は台風が発生しても、日本列島には近づきにくい。5月は沖縄や小笠原諸島に近づくものも。

台風は1年中発生しているが、夏と秋に発生した台風が日本にやってきやすい

春の台風は、緯度の低い場所で発生します。
常に東から西へ「偏東風」という風が吹くため、台風は西(フィリピン方面)に進みます。

夏の台風は、緯度の高い場所で発生します。
台風は、まず北西へ移動した後、北緯30度あたりにいる太平洋高気圧のふちを回るように、北東へ向かいます。
台風の進路が変わることを「転向」といい、転向によって日本にやってくる台風が多くなります

秋(9月)の台風は、西から東に吹く偏西風に乗って日本に上陸しやすくなります
偏西風により、秋の台風は速く進みます。緯度の低い場所では時速約20kmですが、転向後は時速約40kmになり、またそれ以上になることも。
また、秋の台風は大雨をもたらします。
台風によって運ばれてきた暖かく湿った空気が、9月になって生じた秋雨前線とぶつかることで、大雨を降らせるのです。

夏と秋の台風の進路は違う

台風は風の力で動き、太平洋高気圧のまわりの空気の流れに沿って、北上する。夏の台風は風に乗れず、ふらふらした進路を取ることもある。

秋になると偏西風が本州上空を通るため、台風は偏西風に乗って日本に上陸することが多くなる。偏西風によって加速するため、進路の右側で風が強まる。

※日本気象協会の図版をもとに作成。

本稿は『イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める! 天気のしくみ』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。

台風予報の丸い円は、何を示しているの?

台風予報の丸い円は、何を示しているの?

台風の進路は、予報円で示される

台風が発生すると、天気予報などで今後の進み方を予想した天気図が見られますよね。
この図はどのようなことを示しているのか、見てみましょう。

気象庁では、5日先までの台風の進路予報を発表しています。
天気図では、現在の台風の中心は×印で示されます。
また、「〇〇時間後、台風の中心が70%の確率で入る」と予想される領域を「予報円」という円であらわしています。

台風の予報円

台風の進路は、白い予報円であらわされる。

台風の中心位置、暴風域の範囲などを示し、その後の動きの予想範囲を示している!

台風の中心が予報円の中に来たときに、暴風域に入る可能性がある範囲も、暴風警戒域という領域によって示されています。

これらの予測は、「アンサンブル予報」で求めています。
観測データをコンピューターに入力して、約50通りの台風進路予報を算出します。
複数の進路予報をもとに、「平均」や「ばらつき」といった統計の手法を使い、台風がこれからどの方向にどれくらいの確率で進むのかを求めているのです。

予報円は、予報時間が長くなるほど大きくなります
これは、台風そのものが大きくなるわけではありません。
予報時間が長くなるほど進路の予測のばらつきも大きくなるため、台風の中心が70%の確率で入る予報円も大きくなるのです。

台風の進路予報

「アンサンブル予報」で、中心位置が70%の確率で入る範囲を計算して、予報円を決定している。

台風のアンサンブル予報は、いろいろな国の台風の進路予測をデータに加えている。

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なお、本稿は書籍『イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める! 天気のしくみ』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。最近は、天気予報で「ゲリラ雷雨」「線状降水帯」「猛暑」など、気象災害に対して警戒を呼びかける言葉をよく聞くようになりました。でも、天気のしくみを知るのに必要な気象学って、数式とかたくさん出てくるんでしょ? …などのように思ってはいませんか? そんなことはありません。「晴れる」「雨が降る」という、とても身近なことなのに、そのしくみについて知らない方はきっと少なくないはず。そんな天気を知るための最初のきっかけに、本書は非常に適しています。興味をもったページから読めるように工夫しているので、順番に読んでいく必要はありません。大人はもちろん、小さなお子さんも楽しめます。簡潔な文章と豊富なイラストや写真を使ってわかりやすく説明しています。

イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める! 天気のしくみ
¥990
2022-07-26 10:16

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