エア縄跳びで足腰が丈夫になったからだと思うのですが、ピラティスや散歩で歩くときにも体がよく動きます。跳ぶときはもちろん、私の歌じゃなくてもいいですよ(笑)。跳びやすい好きな曲、あるいはテレビを見ながら、ピョンピョンと跳んでみましょう。【体験談】アグネス・チャン(タレント)
プロフィール
アグネス・チャン
香港生まれ。1972年「ひなげしの花」で日本デビュー。98年、日本ユニセフ協会大使に就任し、世界における恵まれない子供の実情をマスコミにアピール。2000年には本格的に歌手活動を再開し、08年、第50回日本レコード大賞の特別賞を受賞。16年、ユニセフ本部より「ユニセフ・アジア親善大使」に任命され、就任。18年の春の叙勲で旭日小綬章を受章。現在は、芸能活動ばかりでなく、エッセイスト、大学教授、ユニセフ・アジア親善大使、日本対がん協会「ほほえみ大使」など、知性派タレント、文化人として世界を舞台に幅広く活躍している。
エア縄跳びは3~4分で汗だくになる運動量
16歳で「ひなげしの花」を歌ってデビューした私も、66歳になりました。今年はデビュー50周年です。
その間に留学や結婚、子育て、病気など、いろいろなことを経験し、2000年からは本格的に歌手活動を再開しました。全国ツアーなど、コンサートも精力的に行っています。
コンサートに絶対必要なのが、体力と気力です。これはいくつになっても変わりません。ほんとうはジムなどで鍛えればいいのでしょうが、正直にいうと、私は運動が嫌いです。
そこで始めたのが「エア縄跳び」。運動嫌いの私でもできる、お手軽な運動です。
20年くらい前に、「運動不足だけど、運動したくない……」と考えたときに思いついたのが、縄跳びでした。運動は嫌いだけど、縄跳びは好きだったからです。
でも、縄跳びをしている姿を人に見られるのは恥ずかしくて、ちょっと嫌でした。そうかといって、部屋の中で縄跳びをすれば、縄が何かに引っかかることもあるし、縄が床を叩く音も迷惑です。
そんなとき、「縄を使わないで、跳ぶまねだけしても運動になるんじゃない?」と、ふと思い、早速開始しました。
最初は100回から始めて、徐々に数を増やしていき、200回くらいまで飛べるようになったところで、回数ではなく3〜4分跳ぶようにしました。
3〜4分というのは、歌1曲分です。私はコンサート前には必ず、モチベーションを上げるために体を動かします。以前は体操を行っていたのですが、自分の持ち歌を歌いながら行うエア縄跳びが、気持ちを盛り上げるのにピッタリだと気がつきました。
例えば、「ひなげしの花」や「草原の輝き」「ポケットいっぱいの秘密」など、私の歌は弾むような曲調が多いので、それに合わせると縄跳びもリズミカルにできます。また、コンサート前の歌の練習にもなります。
何よりいいのは、3〜4分で終えられるという点です。エア縄跳びは、3〜4分でも汗をかなりかくほどの運動量です。おまけに、最後まで跳べたことへの満足感や、達成感も得られます。
足腰が丈夫になって肩こりも解消した!
2007年の乳がんの手術後は、さらに一生懸命、エア縄跳びを実践するようになりました。術後のホルモン療法の副作用で太ってしまったからです。
乳がん仲間のなかに、ダイエットのためにダンスをしている人がいます。その人に誘われたこともありますが、ダンスは苦手だし、時間もないので、エア縄跳びに精を出しました。
ホルモン療法が終了したあとも、ちょっと食べ過ぎるとすぐに体重が増えてしまうので、週に3日は跳んでいます。仕事前や外出する前に時間があるときなど、ふと思い立ったときが多いでしょうか。原稿を書いていて煮詰まったときに、気分転換として行うこともあります。
エア縄跳び以外の運動としては、10年前からはピラティスも行っています。できるだけ、散歩をするようにも心がけています。おかげで、なんとか体形を維持できています。
エア縄跳びで足腰が丈夫になったからだと思うのですが、ピラティスや散歩で歩くときにも体がよく動きます。特に歩くことに関しては、スピードがあるし、長い距離を歩けます。手を使わないでイスから立ち上がるという体力テストを受けたときも、好成績でした。
さらにエア縄跳びを行うと、肩こりが解消します。おそらく、肩を上下させながら回すのがいいのでしょう。そのおかげか、四十肩、五十肩にもなったことがありません。
もし、この記事を読んで「私もエア縄跳びをやってみよう」と思われたかたがいらしたら、家の中でもクッション性のある靴底の運動靴をはいて行ってください。はだしなら、床にヨガマットなどを敷いて、その上で行うのがお勧めです。
また、ひざに故障がある人は、医師と相談してから始めてください。
跳ぶときはもちろん、私の歌じゃなくてもいいですよ(笑)。跳びやすい好きな曲、あるいはテレビを見ながら、ピョンピョンと跳んでみましょう。
ダイエットできて姿勢までよくなる愛媛大学医学部附属病院抗加齢予防医療センター長 伊賀瀬道也
エア縄跳びは、数分でもかなりの運動量があるので、ダイエットや体形維持にはぴったりの運動です。また、足腰も鍛えられるうえ、姿勢もよくなるので肩こりの解消にもつながるでしょう。運動嫌いの人にもぴったりなので、続けやすい点もメリットです。ぜひ、これからも継続してください。
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■この記事は『壮快』2022年9月号に掲載されています。