〈コンデジおすすめ〉これなら買って損はない!コンパクトデジカメの魅力満載モデル4選

レビュー

現在のカメラメーカーの製品ラインナップを見ると、レンズ交換式カメラの主力製品が一眼レフからミラーレスカメラに移行しているのが分かります。また、コンパクトデジカメ(レンズ一体型カメラ)は整理統合が進み、あまり活気が感じられません。しかし、そんなコンパクトデジカメの中にも、レンズ交換式カメラとは異なる特長や魅力を持つ製品もあります。ミラーレスカメラや一眼レフを使っていても、このコンパクトデジカメは使ってみたい! そんな魅力的な4機種を紹介します。
(※各社の機種ラインナップや参考価格は、原稿執筆時のものです)

執筆者のプロフィール

吉森信哉(よしもり・しんや)

広島県庄原市生まれ。地元の県立高校卒業後、上京して東京写真専門学校(現・東京ビジュアルアーツ)に入学。卒業後は専門学校時代の仲間と渋谷に自主ギャラリーを開設し、作品の創作と発表活動を行う。カメラメーカー系ギャラリーでも個展を開催。1990年より、カメラ誌などで、撮影・執筆活動を開始。ライフワークは、暮らしの中の花景色、奈良大和路、など。公益社団法人 日本写真家協会会員。カメラグランプリ2022選考委員。

オリンパス Tough TG-6

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タフネス仕様コンデジの決定版!

「オリンパス Tough TG-6」は、防水性能15m、防塵、耐衝撃2.1m、耐荷重100kgf、耐低温-10℃、耐結露性。こういった過酷な条件をクリアする、Toughシリーズの現行モデルです。開放F2.0(広角側)の明るい高性能ズームレンズ、裏面照射型CMOSセンサー、画像処理エンジン「TruePic VIII」による高画質(RAWデータでの記録も可能)。これらの優れた機能や仕様は、前モデルTough TG-5から受け継いでいます。

そして、4種類のマクロ撮影モードと2種類のマクロ撮影用アクセサリーからなるバリアブルマクロシステムは、さらに強化されました。もちろん、4種類のマクロ撮影モードは魅力的ですが、通常の撮影モード(P/A)でも最短1cmまでの超近接撮影が可能になったのです。

また、Tough TG-6の発売に合わせて、全周魚眼撮影が可能なフィッシュアイコンバーター「FCON-T02」も発売。これを含めた豊富なアクセサリー群によって、撮影領域や表現の幅を広げることも可能です。

タフネス仕様のコンパクトデジカメは、いくつかのカメラメーカーから発売されています(以前より減りましたが)。その中でも、オリンパスは、他社に先駆けてこのカテゴリーの製品を積極的に開発・発売してきました。

2006年3月、防水性能3mと耐衝撃1.5mのタフネス性能を備えた「μ(ミュー)720SW」が発売されました。これは現在のToughシリーズの源流にあたるモデルです。実は、私もこのμ(ミュー)720SWを、発売当時に購入しました。その時に「これまでのカメラの使い方や扱い方の概念を変えるモデルだな」と実感したのを憶えています。そんな開発思想やコンセプトは、現在の「Tough TG-6」にも脈々と受け継がれているのです。

左から、顕微鏡モード(35mm判換算撮影倍率7倍)、顕微鏡コントロールモード(撮影倍率28倍)、深度合成モード、フォーカスブラケットモード。この4種類のマクロ撮影モードが、Tough TG-6の特長的な機能である。

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Tough TG-6と同時期に発売されたのが、フィッシュアイコンバーター「FCON-T02」や、レンズバリア「LB-T01」など。このシステムチャートが示す通り、コンパクトデジカメとしては珍しく、各種の撮影アクセサリーが揃っている。

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オリンパス Tough TG-6、おすすめポイント

●防水15m、耐衝撃2.1m、耐荷重100kgfなど、過酷な条件をクリアするタフネス仕様
●通常撮影モードでも最短1cmまで接写可能。肉眼を超えるバリアブルマクロシステム
●新フィッシュアイコンバーターなどを含む、充実した撮影アクセサリー群

SPECS
OLYMPUS Tough TG-6

●レンズ焦点距離/開放F値:4.5-18.0mm(25-100mm相当)/F2.0-4.9
●撮像センサー/有効画素数:1/2.33型 裏面照射型CMOSセンサー/1200万画素
●記録媒体:SD,SDHC(UHS-I対応),SDXC(UHS-I対応)
●ファインダー倍率/視野率:-
●モニター:3.0型/約104万ドット
●ISO感度(拡張含む):100~12800
●手ブレ補正:センサーシフト式3軸・補正効果 2.5段
●動画撮影:4K(3840×2160)など
●連続撮影速度:約20コマ/秒(連写H)、約5コマ/秒(連写L)など
●内蔵フラッシュ:○
●寸法(幅×高×奥)/質量:113×66×32.4mm/約253g(バッテリーとSDカード含む)
●発売年月:2019年7月
●参考価格(大手量販店):6万6000円

次はニコンの「COOLPIX P950」!

ニコン COOLPIX P950

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“超望遠2000mmカバー機”の進化モデル

本製品は、光学83倍の超高倍率なズームを搭載したコンパクトデジカメで、広角24mm相当から超望遠2000mm相当という、とてつもなく広い画角がカバーできます。その超高倍率ズームを含めた基本仕様は、2015年3月発売の「COOLPIX P900」を踏襲しています。そして、後継機種である本製品では、動画撮影機能や操作性などがさらに向上しています。また、P900の静止画ファイル形式はJPEGのみでしたが、本製品ではRAW(NRW)にも対応しています。

有効画素数1605万画素の裏面照射型CMOSセンサーと、高速・高精度な画像処理エンジン「EXPEED」を採用。その組み合わせと、スーパーEDレンズを採用した光学系により、ズーム全域で高画質を実現しています。また、補正精度を高めた「デュアル検知光学VR」によって、ニコンのコンパクトデジタルカメラとしては最高の手ブレ補正効果5.5段を実現(COOLPIX P950は5.0段)。動画撮影に関しては、4K UHD/30pや、露出が調節できる「マニュアル動画モード」などに対応しています。

現在のカメラでは、昔は“特殊”とされていた超望遠撮影が、気軽に行えるようになっています。手の中に収まるようなコンパクトデジカメの中には、500mm相当以上までカバーする高倍率ズームを搭載するモデルがあります。また、一眼レフやミラーレスカメラの交換レンズの中にも、500mm相当以上までカバーする超望遠ズームレンズが数多く発売されています。

そんな超望遠ズーム全盛期の中でも、一際突出しているのが“2000mm相当までカバー”している本製品です。その肉眼を大きく超える超望遠の作画効果は、野鳥や月などの撮影で強く実感できるでしょう。なお、ニコンからは、3000mm相当までカバーする光学125倍ズームを搭載した「COOLPIX P1000」も発売されています。しかし、そのボディの大きさや価格を考えると、本製品(COOLPIX P950)の方がお薦めモデルになります。

月の撮影などで、超望遠2000mmの望遠効果(遠くのモノが大きく見える)の高さが実感できる。また、高画質が保てる「ダイナミックファインズーム」機能(赤枠内)を使用すれば、4000mm相当の撮影も可能になる(画面内の「83倍」は2000mm相当時の倍率)。

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COOLPIX P900にはなかったアクセサリーシューを装備。これにより、野鳥や天体撮影時などでフレーミングを補助する照準器「ドットサイト DF-M1」の装着が可能になる。

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ニコン COOLPIX P950、おすすめポイント

●広角24mmから超望遠2000mm相当までカバーする光学83倍ズームを搭載
●RAWファイル対応や4K UHD/30p動画など、撮影機能が進化
●操作性を高める、フォーカスモードセレクターやサイドダイヤルなどを装備

SPECS
Nikon COOLPIX P950

●レンズ焦点距離/開放F値:4.3-357mm(24-2000mm相当)/F2.8-6.5
●撮像センサー/有効画素数:1/2.3型 裏面照射型CMOSセンサー/1605万画素
●記録媒体:SD,SDHC(UHS-I対応),SDXC(UHS-I対応)
●ファインダー倍率/視野率:約0.68倍/約99%(撮影時)
●モニター:バリアングル式、3.2型/約92万ドット
●ISO感度(拡張含む):100~6400
●手ブレ補正:レンズシフト式・補正効果 5.5段
●動画撮影:4K UHD(3840×2160)など
●連続撮影速度:約7コマ/秒(連写H)など
●内蔵フラッシュ:○
●寸法(幅×高×奥)/質量:約140.2×109.6×149.8mm/約1005g(バッテリーとSDカード含む)
●発売年月:2020年2月
●参考価格(大手量販店):10万6040円

ソニー DSC RX100M7

www.sony.jp

高倍率ズームを搭載する1.0型センサー機

本製品は、小型軽量ボディに高倍率ズームレンズ搭載した、高画質・高機能なコンパクトデジカメです。「ZEISS Vario-Sonnar T*」の称号を与えられたズームレンズは、広角24mm相当から本格望遠200mm相当までカバー。非球面レンズの効果的配置や、全群のズーム可動によって、ボディと同様に小型設計を実現しています。そして、各部品の製造誤差を精緻に分析・調整し、高い光学性能も実現。さらに、200mm相当の望遠端において4.0段分の補正効果を持つ光学式手ブレ補正機能も搭載されています。

コンパクトデジカメらしからぬ卓越した高速性能も、本製品の大きな特長です。プロフェッショナル仕様のフルサイズミラーレスカメラ「α9」と同等、最高約20コマ/秒の連続撮影時に、最大60回/秒でAF/AE演算処理を実現。これにより、動きやスピードに緩急のある動体に対しても、高精度なAF/AE追従が可能になります。最高約20コマ/秒のブラックアウトフリー連写(電子シャッターを使用し、画面がブラックアウトすることなく、AFとAEが追従する連続撮影)が行えるのです。

2012年に発売されたRX100シリーズの初号機「RX100」は、高級コンパクトデジカメに転換をもたらしたエポックメイキングな製品でした。小型化と高画質を両立させるため、新開発の有効2020万画素「1.0型」CMOSセンサーを採用。この1.0型のサイズは、一般的なコンパクトデジカメに採用される1/2.3型の約4倍。従来の高級コンパクトデジカメに多用されていた1/1.7型と比べても2.7倍以上の大きさになります。それによって、大きなボケ効果や優れた高感度画質が得られます。

その後、この1.0型を採用するRX100シリーズは、28-100mm相当、24-70mm相当、24-200mm相当と、仕様の異なるズームレンズを搭載するモデルが数種類発売されました。私個人は、28-100mm相当の初代「DSC-RX100」と、24-70mm相当の「DSC-RX100M5」を使用してきました。しかし、汎用性の高さを考えると、広い画角がカバーできる24-200mm相当の現行モデル「DSC-RX100M7」を選ぶのが妥当でしょう。

24-70mm相当モデルの「DSC-RX100M3」からは、収納式の高精細有機ELファインダーを内蔵。しかも、前モデルの「DSC-RX100M6」と同様、接眼部の引き出し操作が不要のワンプッシュアクセス方式を採用。この他、前モデルまではなかったマイク端子も装備している。

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357点の像面位相差検出AFと、425点のコントラスト検出AF。0.02秒高速AF。こういったAFや仕様や機能は、まさに高性能ミラーレスカメラ並と言える。

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ソニー DSC RX100M7、おすすめポイント

●1.0型の大型センサーと高倍率ズームレンズの採用で、高画質と汎用性を両立
●プロ仕様フルサイズミラーレス「α9」に匹敵する高速連写性能
●前モデル「DSC-RX100M6」と同様、接眼部の手動操作不要の収納式ファインダー

SPECS
SONY DSC RX100M7

●レンズ焦点距離/開放F値:9.0-72mm(24-200mm相当)/F2.8-4.5
●撮像センサー/有効画素数:1.0型 積層型CMOSセンサー/約2010万画素
●記録媒体:SD,SDHC(UHS-I),SDXC(UHS-I),メモリースティック デュオ
●ファインダー倍率/視野率:約0.59倍/100%
●モニター:チルト式、3.0型/約92万ドット
●ISO感度(拡張含む):100~12800
●手ブレ補正:レンズシフト式・補正効果 4.0段
●動画撮影:4K(3840×2160)など
●連続撮影速度:最高約20コマ/秒など
●内蔵フラッシュ:○
●寸法(幅×高×奥)/質量:101.6×58.1×42.8mm/約302g(バッテリーとSDカード含む)
●発売年月:2019年8月
●参考価格(大手量販店):17万500円

キヤノン IXY650

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スタイリッシュな高倍率ズーム機

奥行き約22.8ミリ、質量約147グラム。その小振りでスタイリッシュなボディに、広角25ミリから本格望遠300ミリ相当の広い画角をカバーする光学12倍ズームレンズを搭載。さらに、デジタルズームを進化させた「プログレッシブファインズーム」により、光学ズーム倍率の約2倍(約24倍)まで、高い解像感を維持した撮影が可能になります。

そして、低速シャッター時や望遠時などの手ブレ対策には、レンズの一部を平行移動させて光軸のズレを補正する「レンズシフト式手ブレ補正機構」で対応。この手ブレ補正機構、キヤノンでは金属に比べ摩擦抵抗が少なくて応答性の高い「セラミックボール支持方式」が採用されている、との事です。

2000年に登場した、デジタルカメラ初のIXYシリーズ(※)「IXY DIGITAL」。このモデルは、上質な素材とデザインを採用するスタイリッシュなデジタルガジェットでした。その後、撮像センサーや搭載レンズの仕様などを進化させ、いろんなIXYシリーズの機種が発売されました。

上質なデジタルガジェットとしては、2007年に発売された純チタン外装の「IXY DIGITAL 2000 IS」が頂点と言えるでしょう。ですが近年は、実用性に重点を置いた機種が発売されています。そういう観点で評価すると、スリムでスタイリッシュな小型軽量ボディ+光学12倍ズームレンズ、レンズシフト式手ブレ補正機構の搭載。こういった「IXY650」の仕様や機能は、とても魅力的です。また、コンパクトデジカメでも高価な製品が多い昨今、3万円台で買える本製品は“実用コンデジの優等生”と呼びたい貴重な存在です。

(※)全IXYシリーズの初代モデルは、1996年に発売された「キヤノン IXY」。専用カートリッジ入りフィルムを使用する、新写真システムのAPS(アドバンストフォトシステム)対応のキヤノン初の機種。発売当時は世界最小のAF全自動ズームコンパクトカメラだった。

受光面を配線層の上側に配置する「裏面照射型構造」の1/2.3型CMOSセンサーを採用。集光効率が高いため、高感度撮影時のノイズ発生を抑える事ができるセンサーである。

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小振りでスリムなボディに、広角25mm相当から本格望遠300mm相当までの光学12倍ズームを搭載。さらに、画質劣化が目立たない「プログレッシブファインズーム」を使用すれば、超望遠600mm相当までカバーできる(記録サイズ最大の設定で)。

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キヤノン IXY650、おすすめポイント

●スタイリッシュでスリムなボディに光学12ズームレンズを搭載
●プログレッシブファインズームの使用で、超望遠600mm相当までカバー
●思い立ったら気軽に買える、3万円台の販売価格

SPECS
Canon IXY650

●レンズ焦点距離/開放F値:4.5-54mm(25-300mm相当)/F3.6-7.0
●撮像センサー/有効画素数:1/2.3型 裏面照射型 CMOSセンサー/約2020万画素
●記録媒体:SD,SDHC,SDXC
●ファインダー倍率/視野率:-
●モニター:3.0型/約46.1万ドット
●ISO感度(拡張含む):80~3200
●手ブレ補正:レンズシフト式・補正効果 2.5段
●動画撮影:フルHD(1920×1080)など
●連続撮影速度:通常 約2.5コマ/秒、ハイスピード連写(約500万画素) 約7.2コマ/秒
●内蔵フラッシュ:○
●寸法(幅×高×奥)/質量:99.6×58.0×22.8mm/約147g(バッテリーとSDカード含む)
●発売年月:2016年5月
●参考価格(大手量販店):3万2450円

まとめ

“一芸に秀でたコンデジ”の存在価値

デジタルカメラの黎明期を支えてきたレンズ一体型のコンパクトデジカメは、冒頭で述べたとおり整理統合が進んでいます。その現行製品の数やバリエーションには、寂しさを覚えてしまいます……。ですが、現在ラインナップされている製品は“今でも存在価値が認められてる商品”という見方もできます。

通常のカメラでは難しい撮影領域や許されない扱いに対応(オリンパス Tough TG-6)。通常の超望遠ズームレンズとはレベルの違う天体望遠鏡並の超望遠撮影が可能(ニコン COOLPIX P950)。小型化と高画質を高いレベルで両立する高品位&高性能な高倍率ズーム機(ソニー DSC-RX100M7)。気軽に買えて使える、スリムなスタイリッシュ機(キヤノン IXY650)。

現在、ミラーレスカメラや一眼レフを主力カメラとして使用している人も、こういった“一芸に秀でたコンパクトデジカメ”に注目してみてはいかがでしょうか?

文/吉森信哉

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吉森信哉(フォトグラファー)

広島県生まれ。東京写真専門学校卒業。長年に渡りカメラ専門誌で執筆活動を続けている。趣味は鉄道旅行(いわゆる乗り鉄)。日本写真家協会会員。カメラグランプリ選考委員。ブログ「写真&カメラ、日々のあれこれ」。

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