日本の会社のイタリア人社員が、日本語で書くブログがおもしろいと注目を浴びています。ミラノの展示会がきっかけで採用されたものの、コロナ禍で来日できず……。1年間、イタリアでテレワークを余儀なくされた、新入女子社員による日本語ブログを紹介します。
出会いはイタリアの展示会
ブログを書いているのは、天井までの高さのある室内ドア「フルハイトドア®」の専門メーカー、神谷コーポレーションのフランチェスカ・バルドゥッツィさんです。
2019年3月、イタリア・ミラノで開催された建材見本市「MADE EXPO2019」に同社が出展。日本語が堪能な女子大生として紹介され、ボランティアで通訳をしてくれたのが、フランチェスカさんでした。当時彼女は日本での就職を希望しており、海外進出を視野に入れている同社にとっても、イタリア語が堪能な社員は必要な人材。この展示会での出会いがきっかけとなり、大学卒業後に入社しました。
コロナ禍で来日できない!
2021年3月、日本での生活のための準備が整ったのですが、コロナ対策の入国制限により来日できなくなってしまいました。しかたなく、イタリアでテレワークを開始。Zoom会議や録画した研修動画で、2ヵ月間の新入社員研修を行いました。ところが、6月を過ぎても入国制限は解除されず、そのままテレワークを継続することに……。
日本語でのブログが大好評
2021年6月からフランチェスカさんに与えられたメイン業務の一つが、オウンドメディア「ブログ」の発信です。イタリアの情報や、イタリア人の視点で見た日本について、日本語で綴っています。日常会話には困りませんが、日本語の文章で発信するのは難しいことです。フランチェスカさんは、電子辞書や参考書を使いながらブログを作成していたそうです。
最初の1年は、コロナ禍でのイタリアの状況や、イタリアでの就職活動のしかたをレポートする内容ですが、いずれもフランチェスカさんの目線で書かれているので、メディアの報道とは濃さが違います。
2022年4月に来日してからは、日本での感動体験やイタリアとの違いで驚いたことなどをブログを発信しています。
私が個人的におもしろいと思ったのは、イタリアと日本のクリスマスの違いについて書かれた記事です。クリスマスにフライドチキンやイチゴのケーキを食べることに、フランチェスカさんが驚いています。その理由は……?ガイドブックには載っていない、イタリアと日本の違いがわかるエピソードです。
2022年12月には、ブログの本数が30を突破しました。彼女のブログは多くのかたに読まれており、ときどきイタリア語でコメントをいただくこともあるとのこと。
2022年4月、来日が実現
入国制限が2022年2月17日に解除され、ようやくフランチェスカさんの来日が実現。イタリアでテレワークをしているときも、本社の社員とはリモートで顔を合わせる機会も多かったため、来日後はすぐに打ち解け、社内行事にも積極的に参加しているそう。フランチェスカさんの日本語の読解力や表現力も向上しており、現在は海外のデザインアワード獲得に向けてのプロジェクトチームのリーダーとしても活躍中です。
ブログはこれからも継続
フランチェスカさんは、来日後も、ブログは継続しています。「初めての温泉」「初めてのラーメン屋」「日本のカラオケは完璧」「公共交通機関のおもしろいこと」などなど、興味深いテーマが多く取り上げられていて読みごたえがあります。フランチェスカさんの驚きと感動のポイントがおもしろく、国の文化の違いは「良い・悪い」ではないんだなと、あらためて感じます。なにより、フランチェスカさんの素直で正直な日本語が心地よいのです。
イタリアのこと、イタリアから見た日本のことに興味のあるかたは、ぜひ一度のぞいてみてください。
▼神谷コーポレーション公式サイト
▼フランチェスカさんのブログが読めるウェブサイトKAMIYA MAGAZINE