【発表会レポート】紙パック式掃除機の需要はどうして上がっているのか『RACTIVE Air』の発表会に行ってきました!【スティック型掃除機】

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シャープが展開するスティック掃除機「RACTIVE Air」シリーズ。9月7日に紙パック式『RACTIVE Air EC-KR1』(市場想定価格77,000円・2023年9月7日発売)が新登場するとのことで、発表会に行ってきました。スティック掃除機はサイクロン式が大半を占めていますが、どうしてこのタイミングで紙パック式が誕生したのでしょう? その辺りも含め、新製品の特徴をお伝えします。

紙パック式掃除機の人気が高まっている理由

シャープのデータによると、2022年度の掃除機の業界出荷台数のうち、7割以上がスティック型だったとのこと。2023年もこの傾向はますます進んでいくと予想しています。商品も年々進化している中、最近は「吸引力」「機能」「軽さ」などの掃除性能だけでなく、「本体のお手入れの簡単さ」が求められる傾向にあるのだとか。そのため、ゴミ捨てがしやすい紙パック式掃除機の人気が高まっているんですね。

主流はスティック型。紙パックキャニスター、サイクロンキャニスターと続く。

紙パックはゴミが溜まると吸引力が下がる?

現在、スティック掃除機の大半を占めるサイクロン式は、吸い込んだ空気を遠心力でホコリと空気に分離し、ホコリをダストカップに貯めて、空気はフィルターを通して排気する方式です。紙パックのランニングコストはかかりませんが、ダストカップとフィルターが汚れるのでまめに手入れする必要があり、細かい埃をブラシで取り除いたり、水洗いしたパーツを半日かけて乾かしたりという作業が生じます。

一方紙パック式は、吸い込んだホコリを紙パック内に貯めるスタイル。いっぱいになったら紙パックごと捨てられるので、ゴミに触らず、埃も舞わない状態でサッと捨てられます。しかしその傍ら、ゴミが溜まると空気の通り道がふさがれてパワーが低下する面がありました。そこを解消したのが、今回のSHARPの新製品『RACTIVE Air EC-KR1』(市場想定価格は77,000円・2023年9月7日発売)です。具体的には、紙パックの周りにスペースを設け、ごみが溜まっても紙パックの上下左右に空気が流れる流路を確保することで、吸引力の低下を抑制しました。下の写真で紹介しているように、流路をわかりやすく説明するために作ったスケルトンパーツでは、膨らんだ紙パックがキュウキュウにならず、周囲に隙間があるのがあるのが見て取れます。

紙パックの上下左右に流路を確保して吸引力低下を抑制

流路をわかりやすく説明するために作ったスケルトンパーツ。よく見ると周囲に突起列があり流路が確保されている

会場では、ゴミが詰まった紙パックを使い「流路がある場合/流路がない場合」で吸引力がどうなるかのテストが行われました。流路のあるパーツを使った掃除機では、筒状ケース内でボーリングの球がスムーズに持ち上がりましたが、流路を塞いだパーツを使った掃除機では、かなり上昇スピードが落ちる結果に。掃除にかかる時間にも、だいぶ影響が出そうです。ちなみに流路がある際の吸引力は、同等のモーターを積んだ既存のサイクロン機と変わらないとのことです。

手を汚さずに紙パックを捨てられる

通常、紙パック式の掃除機では、ゴミがいっぱいになった紙パックを引き抜いて捨てますが、本製品はゴミが溜まったら本体からダストカップを外し、中の紙パックをボタンを押して落下させる仕組みになっています。サイクロン式のダストシュート機能を思わせるこの動作のおかげで、ユーザーはゴミだけでなく紙パックにすら触れずに捨てることができます。本体から取り外しが可能なダストカップに紙パックを装着するこのスタイルは「パックinカップ」と呼ばれるシャープ独自の構造。現在特許を申請中です。

ゴミが溜まったら本体からダストカップを外して、中の紙パックをボタンを押して落下させる仕組み。紙パックに直接触ることなく、手が汚れずにゴミ捨てができる

紙パック式の掃除機の内部ですが、実は長く使っていると収納部分が汚れてくるとのこと。紙パック本体から漏れることはないものの、口の部分からゴミがわずかにこぼれることがあるそうです。下の写真は見本として展示されていた紙パック式のキャニスターで、紙パックの収納部分の底に、細かいチリや髪の毛などが溜まっているのがわかります。

従来の紙パック式キャニスター掃除機の紙パック収納部分。掃除機内部ですがここも掃除機で吸い上げたくなるような細かいチリやほこりが溜まっている

その点、本製品の着脱式ダストカップは、本体から外して丸ごと水洗いができ、清潔な状態が簡単にキープできます。紙パックの集じん容量は0.37L。1日1回掃除した場合、1.5カ月の交換が目安です。交換用の紙パックは5枚入り1210円。

『抗菌3層紙パック(5枚入り) EC330PN』税込1,210円

低騒音化技術搭載で音も静か

また、モーター音や駆動音を抑える独自の低騒音化技術により、不快音の抑制も実現しました。人間だけでなく、広い可聴域を持ち音に敏感な犬や猫などのペットにもやさしい運転音になっているといいます。

赤線が低騒音化技術非搭載機(2022年度機種)、緑線が今回の新製品。不快に感じる高音などの耳障りな音を抑制している。

jp.sharp

実際、低騒音化技術を搭載していない既存のモデル(白いボディ)との運転音を会場で聞き比べたところ、本製品の方がキーンという音が柔らかいと感じました。動画でも音の違いがわかるでしょうか。テストは、まず両機種を同時に運転して両方の音を聞く→新製品(黒ボディ)のみの運転音を聞く→低騒音化技術非搭載モデル(白ボディ)のみの運転音を聞く、という形で行われました。

モーターを覆う遮音カバーや防振材で運転音と不快音を低減。やさしい運転音を実現した。

jp.sharp

掃除機選びの選択肢が広がる

他にもEC-KR1には、吸込口の端までブラシが届き、壁際などのほこりをかき取りながら吸い取る「端までブラシ」や、すき間ノズルやハンディ掃除への切り替えをするのに、かがまないでスムーズにできる「新スグトル構造」など、既存モデルの人気機能が数々盛り込まれています。これまで培われた性能をしっかり保持しながら、お手入れのしやすさと優しい運転音を上乗せした今回の新製品。特にクリーンにゴミ捨てをしたい人には、良い選択肢になりそうです。

■公式サイト

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諏訪圭伊子(フリーライター)

家電に携わって30余年のアラフィフライター。月刊『特選街』であらゆる家電を詳しくレビューした「我ら!家電体験隊。」の連載を長年担当。様々な家電メーカーの新製品発表会に参加し、最新の情報収集を行う。プライベートでは仕事と家事を切り盛りする2児の母。ママ友に情報を共有するような親しみやすさをモットーに、その家電が暮らしにどう生きるかをイメージできるような、具体的で丁寧な解説を目指している。

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