同じブランドのウイスキー、いくつかあるグレードに悩むことはありませんか? 筆者は苦悩します。そのため、同時に飲んで自分のなかでどっちを買うべきか決めておけばいいと考えたのです。そこで今回は「グランツ トリプルウッド」と「グランツ トリプルウッド スモーキー」を比べてみました。
ブレンデッドスコッチ世界販売量第3位がGrant’sだと知っていました?
ほとんど価格差のない「グランツ トリプルウッド」と「グランツ トリプルウッド スモーキー」
みなさんは、普段お酒を買うときにどんな風に選んでいますか? 筆者はだいたい1週間に1本程度、約700mlのウイスキーを飲んでしまうので、週に1度くらいの割合で新しいウイスキーなどを購入します。
最近では円が弱いこともあり、だいたいウイスキー1本で1,000円超え1,500円くらいまでのウイスキーを買うイメージでしょうか。すると、意外と買わないというか、買えないウイスキーが出てきます。それは1,500〜2,000円くらいのウイスキーです。
もっとも安いクラスがこのくらいの価格帯だと、筆者が世界でいちばん売れているだけあって、ほかよりもちょっと高いけどさすがにうまいと思っている「ジョニーウォーカー レッドラベル」よりも高いですし、もうちょっと出せば「バランタイン 7年」や「ホワイトホース 12年」が買えてしまうわけです。
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そのせいか、今回比べてみた「グランツ トリプルウッド」(希望小売価格:1,530円)と「グランツ トリプルウッド スモーキー」(希望小売価格:1,705円)はもちろん、グランツ(Grant’s)シリーズを飲んだことがなかったのです。ちなみに筆者が購入した小売店では、共に税別で1,450円と2,000円でした。「グランツ トリプルウッド スモーキー」は希望小売価格よりも高い。
しかし、同じブランドのクラス違いのウイスキーなどを比べてみる今回の企画にはグランツはぴったりだと考えて「グランツ トリプルウッド」と「グランツ トリプルウッド スモーキー」をセレクトしてみたわけです。
そして、はじめて知ったのが「グランツ」がブレンデッドスコッチ世界販売量第3位だという事実。ちなみに1位は2位に2倍程度の差をつけて「ジョニーウォーカー」、2位は3位以下に2倍程度の差をつけて「バランタイン」、そして「グランツ」だそうです。なお4位は僅差で「シーバスリーガル」だといいます。
ということで世界で3番目に売れているブレンデッドスコッチブランドのスタンダードボトルである「グランツ トリプルウッド」と「グランツ トリプルウッド スモーキー」を比べてみました。
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当然、最初はストレートで
オリジナルにピーテッドウイスキーをプラスしたスモーキー
グランツのスタンダードボトルである「グランツ トリプルウッド」がなぜトリプルウッドであるかというと
①スパイシーなたくましさを感じさせる“ヴァージンオーク樽”
②かすかなバニラの口当たりの良さを与えてくれる“アメリカンオーク樽”
③濃厚でスムースなまろやかなブラウンシュガーの味わいをもたらす“リフィルバーボン樽”
の3種類の樽で熟成された原酒をブレンドしているからだといいます。
そして、このオリジナルブレンドにピーテッドウイスキーを加えてブレンドしたのが「グランツ トリプルウッド スモーキー」というわけです。
筆者はスモーキーな味わいが好きなので、当然ストレートでは「グランツ トリプルウッド スモーキー」に軍配を上げます。ただしどちらも華やかで甘みを感じるよいウイスキーです。
氷を加えたロックでも比較してみた
スモーキーでピーティーな味わいが好きなのでスモーキーが有利
ブレンデッドスコッチ世界販売量第3位の「グランツ」は、ウィリアム・グラント&サンズ社が作っているそうです。家族経営による独立したディスティラーで1887年にウイリアム・グラントにより設立された老舗ウイスキーメーカー。
世界でもっとも評価されているシングルモルトともいわれる「グレンフィディック」、ウイスキーリキュールの「ドランブイ」といったブランドも所有しているそうです。あの牡鹿のマークの世界的に有名なシングルモルトと同じディスティラーかと思って飲むとちょっと味わいが増すかと思い、ロックでも試してみました。
「グランツ トリプルウッド」は非常にバランスのとれた甘みを感じるウイスキーです。筆者の印象では「ジョニーウォーカー レッドラベル」をもう少し上品にした感じ。そのせいか筆者にはちょっと物足りないのです。
そのため、ピーテッドウイスキーを加えてブレンドした「グランツ トリプルウッド スモーキー」のほうに高い満足感を感じます。同じ系統のプラススモーキーなので仕方のないことかもしれません。
毎日飲む炭酸割りハイボールでも比べてみた
ハイボールでも筆者は「グランツ トリプルウッド スモーキー」を推す
グランツは製造にあたり、大麦からグラスに注がれるまで198人の手が加わっているそうです。いかにウイスキー製造の工程が多いかがわかります。そして、グランツは蒸留技師と樽職人、マスターブレンダーが1カ所で協働している唯一のブレンテッドウイスキーだといいます。
樽職人までが同じ場所で働いているから、樽にこだわったトリプルウッドが生まれてくるのだなあ〜、などと感心しながら、筆者が普段からもっとも頻繁に飲むハイボールにして飲んでみました。
「グランツ トリプルウッド」は確かにうまい。筆者が1,500円以下のウイスキーのイチオシだと思っている「ジョニーウォーカー レッドラベル」を彷彿させる味わいなので、ハイボールにしてもおいしいです。
しかし「グランツ トリプルウッド スモーキー」はさらにスモーキーでピーティーに仕上げられているので、ハイボールにしてもやはり筆者はこちらが好みなのです。「グランツ トリプルウッド スモーキー」はかなりいい。
水割りにして優しい味わいを楽しむ
水割りには優しい味わいの「グランツ トリプルウッド」のほうが好き
日本では、おじさんがキレイなお姉さんのいるお店で飲む的なイメージが定着し過ぎて、最近あまり飲まれていない印象の水割りですが、筆者は水割りでおいしいウイスキーも好きです。ちょっと飲み疲れたときに水割りですっと入ってくるようなウイスキーはバランスがすばらしく感じます。
実際に「グランツ トリプルウッド」と「グランツ トリプルウッド スモーキー」も水割りにして飲んでみたのですが、筆者の好みは「グランツ トリプルウッド」でした。非常にバランスがよく甘く華やかでスムースなウイスキーだとは思っていたのですが、水割りにすると「グランツ トリプルウッド」のよさが際立ちます。
逆に、ほかの飲み方では圧倒的に好きな「グランツ トリプルウッド スモーキー」はスモーキーさが余計に感じてしまうのです。これはある意味わがままともいえますが、仕方のないことといえるでしょう。
「グランツ トリプルウッド スモーキー」が希望小売価格以下であれば即買いしたい
「グランツ トリプルウッド」はまず試してみてほしい
とりあえず「ジョニーウォーカー レッドラベル」はちょっとベタだけど安くておいしいと思っている方は「グランツ トリプルウッド」も「グランツ トリプルウッド スモーキー」も試してみる価値があります。ぜひ飲んでみてください。
そして「グランツ トリプルウッド」は「ジョニーウォーカー レッドラベル」と、どっちが好きかが大きなポイントになると思います。店頭などをみていると「グランツ トリプルウッド」と「ジョニーウォーカー レッドラベル」は似たような価格のところもあれば、「グランツ トリプルウッド」が高いところも、安いところもあるのです。この好みと価格のバランス次第でしょう。筆者は若干パンチの強い「ジョニーウォーカー レッドラベル」のほうが好きです。
次に「グランツ トリプルウッド スモーキー」は希望小売価格の1,705円(税別)以下でみつけたら、ストックとしてでも即買いです。この価格帯で筆者が「ジョニーウォーカー レッドラベル」と比べても好みと価格で「グランツ トリプルウッド」もありと感じられる味わいにピーテッドウイスキーが加えられたスモーキーさを味わえるなら、かなりコスパは高いといってよいでしょう。かなりおすすめ。
こうなってくると、実は気になるのが同じグランツシリーズの「グランツ トリプルウッド 8」(希望小売価格1,900円)と「グランツ 12年」(希望小売価格2,950円)です。公式サイトの希望小売価格が更新されていないなどでなければ、どちらもかなりお買い得な価格設定。当たり前のようにどちらも「グランツ トリプルウッド」や「グランツ トリプルウッド スモーキー」よりもおいしいとしたら……チャンスがあればぜひ試してみたい。
ブレンデッドスコッチ世界販売量第3位ですが、日本国内に限ると10位ぐらいといわれ、日本では、いまいちメジャー感のないグランツは、ウイスキー好きなら試しておきたいコストパフォーマンス高めのブレンデッドスコッチでした。ぜひチャレンジしてみてください。
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