家庭用の薄型テレビや4Kテレビが安価になってきたこともあり、「薄型テレビをPC用のモニターとして代用したい」と考える人も多いだろう。PC用のモニターは、使い勝手のよい20〜30V型のサイズが主流なので、より大きなサイズが欲しい場合も、薄型テレビは選択肢のひとつになる。テレビはパソコンモニターとして使えるのか。そもそも、薄型テレビとPCモニターにはどんな違いがあるか。やり方は注意点を解説しよう。 【2018年12月27日更新】
テレビとパソコン用モニター、そもそも違いはあるの?
結論から言ってしまうと、薄型テレビとPCモニターの違いは、ほとんどない。
テレビ放送用のチューナーの有無、ネット機能などの付加価値的な機能の有無、そして接続端子の種類が異なることくらいだ。
チューナーやネット機能は、PCモニターとして使う場合、PC側でテレビ受信やネット機能のためのソフトを追加できるので、ほぼ問題はないだろう。
大きく異なるのは、接続端子。
4Kテレビの接続端子はHDMIがほとんどだが、PCモニターの場合はHDMIのほかに、ディスプレイポート端子など、いくつかの種類がある。
ディスプレイポート端子を使ってPCと接続したいなら、残念ながら4Kテレビはほぼ使えないと考えていい。
だが、最近のPCはHDMI出力を持つのがほとんどなので、接続ができない、というようなことはないだろう。念のため使っているPCにHDMI出力が備わっているかを確認しておこう。
低遅延でゲームを楽しむための「ゲームモード」を備えたモデルもある
55V型4K対応液晶テレビ REGZA
55M520X
PCでゲームを楽しんでいる人は、表示の遅延を心配している人もいるだろう。
4Kテレビは、映像処理のために、信号が入力されてから実際に表示されるまでに多少の遅延があり、タイミングのシビアなゲームなどではプレイしにくくなることもある。
しかし、東芝のレグザ「M520X」シリーズなどは、表示遅延を0.83msecにまで短くしたゲームモードを備えている。
このモデルは、4K信号の入力にも対応するし、1920×1080(60Hz)のほか、2560×1440(60Hz)などの入力にも対応している。
本格的なe-SPORTSで使うにはスペックが不足することもあるが、普通にゲームを楽しむならば、PCモニターとの差はほとんどないと考えていい。
より高音質なスピーカーを備えた4Kテレビも数多い
ゲームに限らず、音楽や映画の動画を楽しむならば、内蔵スピーカーの出来が気になる人も多いだろう。
これについては、4Kテレビの方が圧倒的に実力は高い。
4KテレビもPCモニターも薄型化やコンパクト化が進んでスピーカーにとっては不利だが、4Kテレビではスピーカーにしっかりとこだわり、優れた音を楽しめるモデルも充実している。
映画やゲームをPCで楽しむことが多いならば、画質的にも4Kテレビの方が優位だ。
画質は4Kテレビの方が有利なの?
家庭用の4KテレビとPCモニターは、画質的な傾向は少々異なる。
もともと薄型テレビは、動画コンテンツをきれいな映像で楽しむことが目的で、PCモニターはテキストや静止画を正確に表示することが目的だったためだ。
しかし、現在はPCもマルチメディアへの対応が進んできているので、その違いは少なくなってきている。
ただし、4Kテレビは正確な表現よりも、見た目に美しいと感じる映像を楽しめるようにする傾向があり、PCモニターはそういった色づけをせずに信号に忠実に表示する傾向が強い。
このため、デジタル写真の表示や加工では、PCモニターでの見え方と4Kテレビの見え方に多少の違いはある。
ただし、4Kテレビにも、PCモニター的な使い方を想定した「PCモード」や「モニターモード」を備えた製品は多いので、こうした画質モードを選べば正確な色の再現などで困ることはないだろう。
まとめ
最新の4Kテレビなら、PCモニターとしても十分に使える。
PC用モニターも、4K解像度やHDR規格に対応したモデルが登場しはじめているが、そういった高性能モニターは価格も高く、逆に価格の下がってきた4Kテレビの方が手頃という場合も少なくない。
PCモニターとしての性能を4Kテレビにも求めるならば、前述したように低遅延のゲームモードやPC向けの画質モードなどを備えた機種を選ぶ必要はあるが、画質傾向の違いをあまり気にしない一般的な用途ならば、4KテレビをPC用モニターとして使ってもまったく問題はない。
より大画面を選べる点やテレビ放送も見られるなど、4Kテレビならではのメリットもあるので、特に4K表示や4Kコンテンツの鑑賞、ゲームなどをするならば、4KテレビはPCモニターとしても有力な候補になるはずだ。
◆鳥居一豊
オーディオ、AVの分野で活躍するAVライター。専門的な知識をわかりやすく紹介することをモットーとしている。自らも大の映画・アニメ好きで自宅に専用の視聴室を備え、120インチのスクリーン、有機ELテレビなどを所有。サラウンド再生環境は6.2.4ch構成。