【2024年2月7日更新】アウトドアに持って行くスマホやタブレット、デジカメやビデオカメラなど、出発前にチェックしたいのが、防水・防塵性能だ。不意の雨や突風などに備えることができるし、災害時にも知っておくと役に立つ!
- 監修者のプロフィール
- 防水・防塵の基礎知識
- 防水の保護等級
- 防塵の保護等級
- 防水・防塵規格の表示
- 用途別の選び方
- ソニー『FM/AMポータブルラジオ ICF-B300』
- クリエイティブメディア『ワイヤレス イヤホン Creative Zen Air DOT』
- 東芝エルイートレーディング『ワイヤレススピーカー AUREX AX-FL10』
- MK JAPAN/EENOUR『LEDランタン SB-6620』
- アンカー・ジャパン『Bluetoothスピーカー Soundcore Motion 300』
- P&Gジャパン『ブラウンシリーズ9Pro+(シェーバー)』
- 防塵の必要性
- リコー『デジタルカメラ WG-50』
- JVCケンウッド『JVC 4Kメモリームービー GZ-RY980 (ビデオカメラ〉』
- スマートフォンの防水はどうなってる?
- Apple『iPhone15』
- ソニー『Xperia XZ1』
監修者のプロフィール
中村剛(「TVチャンピオン」スーパー家電通選手権優勝)
「TVチャンピオン」スーパー家電通選手権で優勝の実績を持つ家電の達人。家電製品総合アドバイザー、消費生活アドバイザー。東京電力エナジーパートナー商品開発室高度化技術グループマネージャー.。東京電力「くらしのラボ」所長。現在、暮らしに役立つ情報を動画(Facebook)で配信中。
▼中村剛さんのインタビュー(くらしTEPCO)
▼東京電力くらしのラボ(Facebook)
防水・防塵の基礎知識
「IP68」など、四つの英数字で表示される
デジカメやスマホ、腕時計、ポケットラジオ、タブレットPCやポータブルAVギアなど、持ち歩くことの多いアイテムには、通常、何らかの防水・防塵機能が備わっている。内部に水やゴミが浸入すると、回路が短絡したり、メカが変形したりして故障や破損の原因になるからだ。
とはいえ、小雨なら大丈夫でも水洗いすると壊れるなど、そのレベルを見極めるのはけっこう難しく、一瞥しただけではわかりにくい。
そこで、製品には、防水・防塵の保護等級が示されるようになっている。
従来は、JIS(日本工業規格)が「電気機械器具の外郭による保護等級」を規定。これには、固形物の浸入に対する保護と、水の浸入に対する保護の二つの内容が含まれ、例えば、「JIS防水4級」とあれば、「防沫形=全方向からの水の飛沫に対して保護されている」とわかる仕組みだ。
2003年以降は、IEC(国際電気標準会議)と統一化が図られ、表記もIEC準拠の「IPコード」に置き替わっている。等級や内容は旧来規定と同じなので、「防滴I形」「防沫形」などの旧呼称もそのまま用いられることが多い。
防水の保護等級
防塵の保護等級
IPコードは、通常、四つの英数字で構成される。
例えば、「IP68」と表示されている場合、第一特性数字の「6」が固形物に対する保護等級(防塵)、第二特性数字の「8」が水に対する保護等級を示している(防水)。
等級を省略するときは、その部分を「X」で表す。
まずは、この基本表記を覚えておきたい。
防水・防塵規格の表示
用途別の選び方
水中でも使う場合はIPX7〜8が必要
スマホやデジカメなど、雨の日にも使うことがあるアイテムは、防水機能のチェックが必須なので、ごく当たり前にIPコードを確認しているかもしれない。でも、どのくらいの等級なら安心なのか、よくわからずに見ていることも多いので、改めて、その基準を把握しておこう。
IPX4
濡れた手で触れたり、水がはねたりもOK。キッチン周りで便利
アウトドアで使用するアイテムは、少なくともIPX4は必要だ。
IPX1〜3は落ちてくる水滴が対象だが、IPX4ではあらゆる方向からの水の飛沫が対象。少々の雨や水しぶきに当たっても大丈夫なレベルで、携帯電話、デジカメ、防災ラジオなど、該当する製品はけっこう多い。水しぶきが心配なキッチンやアウトドアでは、最低限、この等級を望みたい。
ソニー『FM/AMポータブルラジオ ICF-B300』
クリエイティブメディア『ワイヤレス イヤホン Creative Zen Air DOT』
IPX5
お風呂での水しぶきも安心。水中に落としたらすぐに取り出す
IPX5になると、より防水性が強まり、噴流水に当たっても有害な影響を及ぼさないので、お風呂でシャワーの水を浴びても、流水でジャブジャブ洗っても大丈夫なレベル。スマホ、ブルートゥーススピーカー、お風呂テレビなど、こちらも製品数が多い。
ただし、水没は厳禁だ。
東芝エルイートレーディング『ワイヤレススピーカー AUREX AX-FL10』
IPX6
さらに強力なIPX6もあるが、これは波浪のような激しい噴流水に対する保護。今回対象としている家電アイテムなどには該当製品が珍しく、港湾などの装置や設備が対象だ。
MK JAPAN/EENOUR『LEDランタン SB-6620』
IPX7/IPX8
水中に落としてもOKの、いわゆる本格防水レベルを実現
IPX7とIPX8は、噴流に対する保護(IPX5〜6)とは用途が異なり、IPX7〜8は潜水に対する保護である。
IPX7は、一時的に水没(30分・1メートル)しても動作に影響の出ないもの。IPX8は、常時水没(水中で操作)しても動作に影響の出ないものを示す。防水スマホ、防水カメラ、防水テレビ、シェーバーなどが該当する。IPX7なら、一時的に水没しても動作に影響の出ないので、プールサイドやお風呂でも、より安心といえる。
アンカー・ジャパン『Bluetoothスピーカー Soundcore Motion 300』
P&Gジャパン『ブラウンシリーズ9Pro+(シェーバー)』
なお、IPX5〜6は噴流、IPX7〜8は潜水と用途が異なるため、双方に対応する場合は「IPX5/IPX7」のように、それぞれのIPコードが併記される。
また、製品によっては、「生活防水」や「完全防水」などとうたわれることがある(それぞれIPX3〜4相当、IPX5〜6相当といわれる)が、呼称に明確な規定がないので、カタログなどで”等級”を確認することが肝要だ。ただし、どの製品も条件や状況によっては、防水性能が十全に発揮されないので注意が必要だ。
スマホやデジカメの場合、端子のカバーがしっかり閉まっていないと浸水するし、高温多湿なサウナ、化学物質や薬剤が混ざった水(温泉、海水、プールなど)も防水性能が保証されない。
防塵の必要性
過酷な場面や天候の影響を受ける場所では必須
機器の内部に粉塵が入り込んでメカなどに付着すると、動作不良を引き起こすおそれがある。すき間が大きいと、指先が入り込んで、感電したり、怪我をしたりする危険性もある。
こうした事故を防ぐためにチェックしたいのが、防塵性能だ。ただ、一般的なアウトドアシーンでは、機器に有害な粉塵が発生するケースはまずないので、通常、防塵性能はほとんど気にしなくていいと思われる。
実際、「IPX5」のように等級が省略され、防水性能のみを示す製品が大半だが、中には「IP68」のようにしっかり等級を示す製品もある。
デジカメはその代表例で、工事現場など、過酷な状況を撮影しなければならないときは、防塵等級の確認が大切になる。外に設置する定点カメラやネットワークカメラも、荒天を想定して、等級を示す製品が多い。
IP58/IP68
防塵にも完全防水にも対応したアウトドアで活躍する強靭モデル
粉塵を完全にシャットアウトし、水中でもすべての操作が可能。カメラやスマホのほか、パソコン用キーボードやマウスなども丸洗いできて衛生的なので人気がある。
リコー『デジタルカメラ WG-50』
JVCケンウッド『JVC 4Kメモリームービー GZ-RY980 (ビデオカメラ〉』
スマートフォンの防水はどうなってる?
現在、大半のスマホが防水仕様。でも、機種によって等級が異なるので、特に、IPX7とIPX8はよく確かめたい。IPX8ならスマホを水中に沈めて写真や動画を撮れるが、IPX7だと水中撮影は保証されない。
Apple『iPhone15』
腕時計の20気圧防水って何?
水深200メートルの水圧に耐えられる、日常生活用強化防水のこと。水泳、ヨット、素潜りなどに使えるが、潜水用防水ではないのでスキューバや潜水作業には使えない。
※【2024年2月7日】対応機種を新しいものに入れ替えました。