いい写真を撮るには、魅力的な被写体や優れた撮影機材も必要だが、そこにテクニックが伴わないと残念な結果になる。「構図」「ピント」「露出」という3大要素をしっかりと押さえて、写真の出来栄えをアップさせよう!
今回からは「実践編」をお届けしよう。第1回は「人物」だ。
「基本編」はこちら→
第1回「構図」
第2回「ピント」
第3回「露出」
テーマ❶ 広々とした公園での女性ポートレート
【構図】▶横画面で撮ると、左右に空間ができてしまう……
全身の撮影はもちろん、上半身の撮影でも、漠然と横画面で撮影すると、左右に広すぎる空間が生じる。
これでは被写体の印象は弱くなるし、全体的に間延びした印象になってしまう。
また、左右の空間の割合がほぼ均等なので、変化やドラマ性も感じられない。
【ピント】▶「任意選択」で、目に合わせる
最近のカメラでは、「AFエリア自動選択」を使うと、人の肌色を識別してピントを合わせる機能もある。
だが、被写体の大きさや位置、周囲の状況(色や明暗など)によっては的外れになる場合もある。
だから、「任意選択」に設定して”目のあたり”のエリアを選んだほうが確実。
【露出】▶女性の場合は、顔をより明るく!
まず、露出補正なしで撮影してみる。背景部分などを見ると、特に問題のない露出レベルである。
だが、女性ポートレートとして見ると、顔をもっと明るく見せないと、爽やかで健康的な表情にならない。
そういう意味では、この補正なしのカットは、「露出アンダーぎみ」といえる。
☆☆☆成功のポイント!
▶オブジェを背景に入れて、プラス1の露出補正で肌色を明るく見せた。
縦画面で上半身をバランスよく入れ、背後のオブジェを広めにあけた右側に収めた。そして、プラス1補正をして肌色を明るく見せ、目の位置にピントを合わせた。
撮影DATA
50mm/AF-A/絞り優先AE/1/500秒/F2/+1.0露出補正/WB晴天/ISO100
テーマ❷ 屋外のテラスで、顔をアップで撮影
【構図】▶「日の丸構図」だと窮屈感がある
顔を大きめに写す際、画面の中央近くに入れる「日の丸構図」にすると、首から下が極端に狭くなり、窮屈な画面になってしまう。
また、頭の上の空間も気になってくる。表情に注目してねらうなら、頭を少しカットするぐらいの大胆な構図にトライしてもいいだろう。
【ピント】▶「任意選択」でグラスをよけて顔にピント
飲み物のグラスを手にして、飲む仕草をしてもらう。
すると、顔の前にグラスが被るため、これがAFによるピント合わせの障害になる。
顔の隠れ具合にもよるが、顔認識でのAFが機能しない場合もあるので、任意のAFエリア選択で、しっかり顔にピントを合わせたい。
【露出】▶絞りやシャッター速度の選択も重要
「露出」というと、露出レベル(写真の明るさの具合)を指すことが多い。
だが、絞りやシャッター速度の選択も、露出に関する重要なポイントである。
ここでは、絞りをF8に絞っているが、そうしたことで背後に写るテントが煩雑な描写になっているのが残念だ。
☆☆☆成功のポイント!
▶おでこの上で大胆にカットする構図。F2.8で背景を大きくぼかした
表情中心の構図で、絞りは、背景が大きくボケるF2.8開放に設定。
おでこの上あたりで大胆にカットする構図を選択し、手動でAFエリアで目の部分にピントを合わせた。
撮影DATA
60mm/AF-S/絞り優先AE/1/125秒/F2.8/+0.3露出補正/WBオート/ISO200
解説/吉森信哉 (フォトグラファー)