いい写真を撮るには、魅力的な被写体や優れた撮影機材も必要だが、そこにテクニックが伴わないと残念な結果になる。「構図」「ピント」「露出」という3大要素をしっかりと押さえて、写真の出来栄えをアップさせよう!
「実践編」の第2回は「自然風景」だ。
第1回「人物」はこちら
「基本編」はこちら→
第1回「構図」
第2回「ピント」
第3回「露出」
テーマ❶ 滝の流れを幻想的に写し止める
【構図】▶要素が多いと、主役がわからない
滝の下の段差にも、小さな滝ができている。
また、上には色鮮やかなカエデの枝、手前(画面左)には草が茂る岩場も見える。
それらを画面内に入れると、どこが本当の見どころなのかがわからない散漫な写真になってしまった。
見せる要素を、もっと絞り込む必要がある。
【ピント】▶三脚を使い、拡大表示でピント合わせ
三脚を使った低速シャッター撮影なら、ライブビュー機能を活用した厳密なピント合わせが可能だ(ピント合否が確認しやすい)。
ここでは、滝の手前の岩部分を拡大表示して、AFでピントが合わせたあと、MF(マニュアルフォーカス)に切り替えてピント位置を固定した。
【露出】▶この場面ではシャッター速度が重要
この場面の見どころは、”滝の流れの描写”なので、露出よりもシャッター速度の選択が重要。
このカットは「プログラムAE」で撮影したもので、得られた速度は1/160秒。
手持ち撮影なら無難な速度だが(手ブレ補正は必須)、滝の描写に関しては中途半端なブレで、美しいとはいえない。
☆☆☆成功のポイント!
▶縦画面を選び、「シャッター速度優先AE」で1/2秒に設定
縦画面を選択し、滝にねらいを絞った画面構成にする。
そして、「シャッター速度優先AE」で1/2秒に設定。これにより、滝の流れが幻想的な描写になった。
撮影DATA
300mm/MF/シャッター速度優先AE/1/2秒/F14/露出補正なし/WBオート/ISO100
テーマ❷ 夕焼けのある風景を印象的に残す
【構図】▶主役を明確に! 傾きにも注意!
海を見下ろす高台から、ほのかに赤く染まる夕方の空を撮影。
だが、画面内の空と海との割合がほぼ半々で、どちらが主役なのかがあいまいに感じられる。
また、水平線が傾いているため、不安定さも感じてしまう。その結果、完成度の低い風景写真になっている。
【ピント】▶「AFエリアモード」をオートに設定
レンズの焦点距離と撮影距離を考えると、手前の樹木、遠方の水面や雲、そのどこかにピントが合えばOKなので、「AFエリアモード」をオートに設定。
空部分がフラットでピントが合いにくい状況だったが、カメラが自動でピントを合わせやすい部分を見つけてくれた。
【露出】▶マイナス1.0補正では全体が暗い……
ほのかに赤く染まる空の色を「もっと鮮やかに描写したい」と思い、マイナス1.0の露出補正を行ってみた。
しかし、思うような色のコクは出せず、むしろ全体的な暗さのほうが気になる描写になってしまった。
手前(画面下)の海やシルエットの木も暗すぎる。
☆☆☆成功のポイント!
▶青空と赤く染まる雲のグラデーションが美しい空を主役にして画面構成
青空と赤く染まる雲のグラデーションが美しい。そんな空を主役にした画面構成にしてみた。
画面下にシルエットの木を入れることで、画面にメリハリをつけた。
撮影DATA
17mm/AF-S/絞り優先AE/1/50秒/F8/露出補正なし/WB曇天/ISO360
解説/吉森信哉 (フォトグラファー)
「実践編」
第1回「人物」はこちら