ワイヤレスになることで、室内・屋外の区別なく利用範囲が広がったオーバーヘッドタイプ。大口径ユニットによる迫力のサウンドとNC効果の共演は、このタイプの独壇場だ。今注目の3モデルを試聴してみた。
【プレーヤー】
Astell&Kern・SP1000(主にaptX再生)
アップル・iPhone6(主にAAC再生)
ソニー・NW-ZX300(主にLDAC再生)
【採点項目】
●声の再現性:男性、女性の声の明瞭度、ニュアンス、ボディ感の再現性
●帯域バランス:ベース、ピアノ、バイオリンと、各楽器のスケール感に着目
●デザイン・装着感:実際に装着したときのデザイン性、バランス、安定感など
●操作性:装着状態で音量の調整、曲再生などの操作のしやすさ
●付加機能:コーデックの対応、NCの有無、アプリ連動機能など。
LDAC、aptX HDに両対応。管弦楽の響きが繊細なサウンド
パナソニック
RP-HD600N
実売価格例●2万4220円
aptX HDに加え、ライバル・ソニーの高音質コーデックLDACをサポートしたヘッドホン。
ワイヤレスでハイレゾ相当を実現しながら、計四つのマイクによる広帯域ハイブリッドノイズキャンセル機能(3モードから選択可能)を搭載。外音を取り込めるボイススルー機能も備える。実際のNCの効果も確かにワイドレンジで、ハイヒールの足音からエアコンの送風音まで確実に抑える。
aptX HDで再生するサウンドは重厚で俊敏。管楽器の響きは繊細、かつ緻密で、重みのあるバスドラムも聴きごたえ十分。デザインも高級感があり、内容からするとかなり割安な印象だ。
●対応コーデック/LDAC、aptX HD、aptX、AAC、SBC ●連続再生時間/20.0時間 ●重量/268g
外音取り組みとNCに対応。サウンドは躍動感にあふれる
JBL
Everest Elite 750NC
実売価格例●3万960円
JBLのワイヤレス最上位シリーズとして開発されたNC機能付きのワイヤレスヘッドホンだ。
NCは騒音を拾うマイクをハウジングの外側と内側に配置したハイブリッド方式。さらに、周囲の音のレベルが調整可能なアンビエントアウェア機能や、ユーザーに最適な音を調整するキャリブレーション機能を備える。実際のNCの効き目は、自然な空間、響きを確保するためなのか、高域ノイズはあえて残している印象だ。
SBC再生の帯域バランスは癖のないピラミッド型。低音の反応、キレ味にもう少し鋭さが欲しいところだが、奇をてらうことのない正攻法のサウンドは評価できる。
●対応コーデック/SBC ●連続再生時間/15.0時間 ●重量/280g
AIアシスタントにいち早く対応。全帯域に気持ちよく吹き上がる
ボーズ
Quiet Comfort 35 II
実売価格例●3万9960円
いち早くGoogleアシスタントをサポートしたボーズの先進的なワイヤレスヘッドホン。
もちろん、自慢のNC機能も搭載済みで、完璧なまでの静寂な空間を提供する「高」と、自宅などの静かな場所に適した「低」の切り替えが可能。「オフ」も選べるが、音質的には「高」か「低」で聴くのがおすすめだ。
同社らしく重厚な低音が特徴的だが、全帯域にわたってムラがなく、気持ちよく吹き上がる。高域は特に伸びている感じはしないが、楽器の響き、余韻の描写は思いのほか意欲的。豊かな空間の広がり、癖っぽさのない穏やかな響きが聴き心地のよさにつながっている。
●対応コーデック/非公表 ●連続再生時間/20.0時間 ●重量/234g
解説/藤原陽祐 (AV評論家)
※価格は記事制作時のものです。