ソフトクリームというと「子どもが食べるもの」とか「観光地で売っているもの」といったイメージが強い。そんなイメージを打ち破ったのが、2013年7月に発売された日世の「CREMIA」だ。12.5%という高い乳脂肪分、ラングドシャのコーン、クリームを巻かない形状、通常の倍以上の価格という異例の特徴を持つこのヒット商品は、どのようにして生まれたのか。開発の経緯やねらいを担当者に訊いた。

ソフトクリームは若い女性に不人気!?

<キーパーソンはこの人>
日世株式会社 執行役員
マーケティング部兼 営業業務部担当
茨田貢司さん(右)
「400回以上という、異例の試作を経て、画期的な商品ができました」

日世株式会社 マーケティング部
開発グループ次長 グループ長
島田善之さん(左)
「日世が作る最もハイスペックな商品がCREMIAブランドです」

画像: ソフトクリームは若い女性に不人気!?

ソフトクリームが日本で初めて紹介されたのは1951年。紹介したのは、原料(ミックス)や可食容器(コーン)、製造機(フリーザー)までを手がけるソフトクリーム総合メーカーの日世(当時は二世商会)だ。

実はソフトクリームという言葉も、同社創業者が考え出した和製英語なのだという。
同社の豊富なラインアップの中でも特に異彩を放つのが、2013年7月に発売された「CREMIA」だ。

クリームとプレミアムを合わせた商品名のとおり、店頭価格が500円という、レギュラー品より倍以上も高いプレミアムなソフトクリームとなっている。

ソフトクリーム販売の店頭でよく見かけるおなじみの日世のキャラクター。名前は「ニックン&セイチャン」。

「最高級で、これまでにない商品を作ろうという思いで、開発をスタートさせたのが2010年のこと。開発は試行錯誤の連続で、400回以上という異例の回数の試作を繰り返しました。その甲斐あって、業界の常識を覆す画期的な商品になったと自負しています」

こう話すのは、CREMIAのマーケティングを担当する茨田貢司さん。1000人規模の市場調査の結果、ソフトクリームは20~30代の働く女性からの支持が薄いことが判明。

その危機感から、他の商品とは明確な違いを持つ商品を作ろうという機運が高まったことが、開発のきっかけになったという。

画像: 現在、CREMIAのラインアップは、CREMIA、the Chocolat、the Mixの3種類のクリームそれぞれに、通常のラングドシャコーンとチョコラングドシャコーンを組み合わせた計6種類。超こだわりの素材・配合がなされたクリームが、フリーザーから滑らかに射出され、ラングドシャコーンの中にドレープを描きながら収まる様子は、実に優雅だ。

現在、CREMIAのラインアップは、CREMIA、the Chocolat、the Mixの3種類のクリームそれぞれに、通常のラングドシャコーンとチョコラングドシャコーンを組み合わせた計6種類。超こだわりの素材・配合がなされたクリームが、フリーザーから滑らかに射出され、ラングドシャコーンの中にドレープを描きながら収まる様子は、実に優雅だ。

当初から、ターゲットは若い女性と決まっていた。商品コンセプトをさらに練り上げていく際に考慮したのは、最近の消費トレンドだった。CREMIAの開発を担当する島田善之さんは、次のように説明する。

「日常生活では安価な商品で済ませていても、特別な場面や特定の目的では高価な商品をためらいなく購入する。他の業界を見ても、そんな二面性のある消費者が増えています」

「CREMIAは、誰もが認める最高級の品質を目指すべきだと考えました。たとえ高価であっても、それに価値を見出して買ってくれる人がいるはずだからです」

とびきり高品質で最高級。そんなソフトクリームを目指し、開発がスタートした。

まず最初に目をつけたのは、ソフトクリームのグレードを決める重要な要素である、ミックスの乳脂肪分。日世には、乳脂肪8%の「北海道ソフトクリーム」という商品がすでにあったのだが、これを超える割合を目指したのだ。

CREMIA専用フリーザー。コーンやミックスといった材料だけでなく、装置の開発、導入、メンテまで、ソフトクリームにまつわるすべてを一貫して行えるのが同社の強み。

「乳脂肪分を増やせば、風味や濃厚さが高まり、味はよくなります。ただ、その一方で、口当たりや口溶けは悪くなってしまいます」

「理想は、滑らかな口当たりを確保しつつ、できるだけ乳脂肪分を増やすこと。原料のベストな配合を探り、最終的には、乳脂肪分12・5%を実現しました」(島田さん)

もちろん、原料の選定にもこだわった。生クリームや生乳、脱脂濃縮乳といった乳原料はすべて北海道産を使用し、生クリームの使用量も25%にまで高めた。また、キレのよい甘さを実現するため、4種類の糖原料を配合した。  

製造も輸送も大変なラングドシャコーン

CREMIAの大きな特徴として、ラングドシャ(薄いクッキー)のコーンが挙げられる。一般的なワッフルコーンと比べて、サクサクとした軽い食感や見た目の美しさが特徴だが、完成までには困難も多かった。

「まず円錐形にするのが難しい。また、サクサク感を生み出す生地内の気泡が大きすぎると、そこからクリームが漏れてしまいます」

「さらに、壊れやすいため、お店までの輸送も大変です。オーブンや成形機などの設備を見直したり、輸送の際の梱包方法を工夫したりと、開発チームは相当な苦労をしました。現在でも、まだ改良を進めている状況ですね」 (島田さん)

●ラングドシャの製造工程。ただでさえ崩れやすいラングドシャを円錐形に成形するために、開発陣は苦労を重ねた。完成品は全品検査を受けた後、エアパックで大切に梱包されたうえで、「ワレモノ注意」の段ボールで運ばれる。

画像1: ●ラングドシャの製造工程。ただでさえ崩れやすいラングドシャを円錐形に成形するために、開発陣は苦労を重ねた。完成品は全品検査を受けた後、エアパックで大切に梱包されたうえで、「ワレモノ注意」の段ボールで運ばれる。
画像2: ●ラングドシャの製造工程。ただでさえ崩れやすいラングドシャを円錐形に成形するために、開発陣は苦労を重ねた。完成品は全品検査を受けた後、エアパックで大切に梱包されたうえで、「ワレモノ注意」の段ボールで運ばれる。
画像3: ●ラングドシャの製造工程。ただでさえ崩れやすいラングドシャを円錐形に成形するために、開発陣は苦労を重ねた。完成品は全品検査を受けた後、エアパックで大切に梱包されたうえで、「ワレモノ注意」の段ボールで運ばれる。
画像4: ●ラングドシャの製造工程。ただでさえ崩れやすいラングドシャを円錐形に成形するために、開発陣は苦労を重ねた。完成品は全品検査を受けた後、エアパックで大切に梱包されたうえで、「ワレモノ注意」の段ボールで運ばれる。

クリームの形状も斬新だ。一般的なソフトクリームは、渦巻き状に巻かれているものが多い。

ところが、CREMIAでは、クリームの絞り出し口を工夫して、生クリームを絞り出したときのような美しいフォルムを採用した。これは、製造装置も自社で手がけているという日世ならではの強みが生かされた形だといえる。

こうしてようやく完成したCREMIAだが、発売後すぐに大ヒットとはならなかった。ただ、直営店での試験販売などを通して手ごたえを感じていた開発陣に、焦りはなかったという。

その後、口コミやSNSなどで徐々に評判が拡大。現在では、当初のターゲットだった若い女性を中心に、スイーツ好きからの絶大な支持を得ている。

●美しい形状のラングドシャ

ベルギー産チョコを使ったショコラタイプ

今年、2018年3月には、CREMIAのラインアップにチョコレート味の「CREMIA the Chocolat」)も加わった。

「CREMIAでも使用している北海道産の生クリームに、ベルギー産チョコレートと、エクアドル産カカオ豆を使用したカカオマスを配合」

「カカオ豆をフレーク状にしたカカオニブをちりばめた、チョコラングドシャコーンも新たに開発しました。チョコレート好きの方にも、自信を持っておすすめできる商品になっています」(茨田さん)

日世では、CREMIA the Chocolatの登場と同時に、製造室が二つあるフリーザーの提供も開始。

これにより、CREMIAのみ、CREMIA the Chocolatのみ、二つのミックスという3種類のクリームを提供できるようになった。2種類のコーンとの組み合わせで、計6種類が選べるようになったわけだ。

こうなると気になってくるのは、次はどんな味が加わるのかという点だ。島田さんにそのことを尋ねると、次のような答えが返ってきた。

「もちろん、我々も次の展開を考えてはいますが、期限を決めて、多少の妥協をしてでも新商品を出すつもりはまったくありません。最高級のソフトクリームというブランドのコンセプトにふさわしい商品を目指し、今後も開発を続けていきたいと考えています」

CREMIAは、どこに行けば食べられるのか?

現在、「CREMIA」が食べられるのは、飲食店やショッピングモール、映画館、高速道路のサービスエリア、観光地の土産店など、全国でおよそ1700店舗。

また、日世の直営カフェが、東京(下記参照)と大阪(SOFTCREAM LAND スウェーデン阪急三番街店)に1店舗ずつある。ちなみにネットで「CREMIAが食べられる店」と検索すると、対象店舗の口コミ情報が多数ヒットする。日世の直営カフェ ドルチカフェ シルクレーム渋谷店」の店内。住所は東京都渋谷区神南1-19-3 ハイマンテン神南ビル1F。

筆者も実際に食べてみたが、滑らかで軽やかなクリームの口溶けと、くどさをまったく感じさせない甘さが印象的だった。今年の夏は終わるが、冬でも食べたいソフトクリームだ。

インタビュー、執筆/加藤肇(フリーライター)

CREMIA公式ホームページ

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