最近の補聴器は、デジタル式となったことで機能的にもかなり進歩してきている。家の中でおとなしくしているだけでなく、アクティブに旅行やショッピングを楽しみたいという人にとっても、補聴器は、より快適な時間を過ごすために貢献してくれる存在になってきているのだ。
最近の補聴器は、デジタル式となったことで機能的にもかなり進歩してきている。使用者の聴力に合わせてきめ細かく周波数ごとのレベルを調整できるのは当然として、前方からの声だけでなく、左右や後方からの声もきちんと拾って再現する機能、不要な雑音を抑えるノイズキャンセル機能、音源の方向や距離感なども把握できる空間的な再現など、より自然な聞き取りを実現するための機能はかなり進んでいる。また、周囲の環境に合わせて聞きやすくした音質調整のデータをメモリーし、適宜切り替えられるという製品も登場している。家の中でおとなしくしているだけでなく、アクティブに旅行やショッピングを楽しみたいという人にとっても、補聴器は、より快適な時間を過ごすために貢献してくれる存在になってきているのだ。
さらに、スマホなどと連係できるワイヤレス機能の充実もポイント。補聴器を経由した通話や音楽再生などもできるし、テレビの音をイヤホンのように補聴器で聞く設定なども、スマホで行える。このほか、近ごろ少しずつ増えているのが充電式。以前は電源がボタン電池という機種が多かったが、定期的に交換が必要な電池式に比べ、充電式ならより快適に使える。このあたりをチェックし、使いやすいモデルを選ぼう。
最新補聴器のチェックポイント
・スマートフォンとの連係機能
・ノイズキャンセル機能
・使用環境への対応度
・音源の方向や距離感がわかる
・音質調整のメモリー機能
・電源の種類(乾電池式/充電式)
●シンプルな機能で聞き取りをサポート。軽度難聴者向けの低価格モデル
コンパクトな耳穴型のモデルで、軽度難聴者向け。重量は1.8グラムと、実に軽量。不快なピーピー音を抑制するハウリングキャンセル機能や、デジタル処理によって大きな音の歪みを抑える機能、エアコンの動作音などを低減するノイズキャンセル機能など、自然な聞き取りのための機能を複数備える。耳穴に入れるイヤチップは耳あか防止フィルターを備え、メンテナンス性を高めている。電池残量が減ったときのアラーム機能もある。
オムロン
AK-15
実売価格例:2万9440円(片耳)
●上級機譲りの音声処理回路を採用。快適な聞き取りができるスタンダード機
エンヤシリーズのスタンダードモデルで、音声処理を行うICを上位機と同じ「レンジチップII」とし、電力効率の向上と聞き取りやすい音を実現。雑音の多い環境でも会話が聞き取りやすくなっている。また、別売のリモコンを使うことで、スマホや携帯電話との連係、テレビ音声の再生なども行える。1年間の無償保証と、2年めは1回の修理費の上限が1万円となるアフターサービスが付いているのも安心だ。
リサウンド
エンヤ2 EY277-D
実売価格例:6万8000円(片耳)
●別売リモコンでスマホとも連係。身近な価格のスタンダードモデル
耳かけ型のスタンダードモデル。聞き取りをサポートする「ダイコスティック補聴処理技術」を備え、不明瞭な会話も聞き取りやすくなっている。ハウリングの抑制やノイズキャンセル機能もきちんと備わっている。周囲の環境に合わせた音質調整は、三つのメモリーを手動で切り替え可能だ。特筆すべきは長寿命で、電池(PR48)で約235時間と、長時間の使用に対応している。別売の「つながるリモコン」でスマホとの連係も可能だ。
パナソニック
WH-B13C
実売価格例:16万2000円(片耳)
●軽快感のある耳穴型で、充電式を採用。優れた機能と快適な使い勝手を両立
耳穴型で、充電式を採用したモデル。充電用のケースも付属し、今流行のワイヤレスイヤホンとよく似たイメージだ。脱落防止のためのストラップも別売で用意されている。このG35はミドルクラスのモデルで、ハウリング抑制やノイズキャンセル機能はもちろん、さまざまな環境に合わせて音質を切り替える「おまかせシーンセレクト」も備える。心地いい装着感の実現と水や耳あかに強い構造で、汗をかきやすい人にも適している。
パナソニック
WH-G35
実売価格例:23万7600円(片耳)
●さまざまな場所で快適に使えるコンパクトタイプの最上位機
シグニア(シーメンス)の補聴器の最上位機種で、自然な聞き取りのための機能やノイズキャンセルなどの機能がふんだんに盛り込まれている。水に濡れても安心な防水・防塵仕様で、サイズもシリーズ最小となるコンパクトさ。さまざまな環境に合わせた音質に切り替え可能なほか、自動的な音量調整、突発的な衝撃音や風切り音の抑制など、快適に使うための機能も充実。12kヘルツまでの広帯域設計になっており、自然な音質を実現した。
シグニア
Pure 312NX
実売価格例:27万円〜(片耳)
●優れた音声処理と自然な音を実現したリサウンドの最上位モデル
独自の音声処理技術を採用した最上位モデル。耳の機能や能力を高精度に再現し、原音に近い、聞き取りやすい音を実現した。さまざまな環境に合わせ、音質の切り替えが全自動で行われる。スマホとの連係では、音質プログラムの切り替えや音量調整をはじめ、詳細な聞き取りのための設定や、さらには紛失した補聴器を探すなど、多彩な機能を備える。比較的コンパクトなサイズながらも充電式を採用し、1回の充電で約16時間の使用が可能。
リサウンド
リンクス3D LT961-DRW
実売価格例:49万円(片耳)、 88万2000円(両耳)
補聴器が必要ないレベルなら、集音器の使用を検討しよう
正しく使えば、安価で快適なのが集音器
最近、多くのメーカーから集音器が発売されている。「深夜にテレビの音量を小さくすると聞き取りにくい」といった場合に使えば、より快適に過ごせるようになる。補聴器よりもかなり安く、気軽に買えることもメリットだ。耳鼻科での検査の結果、補聴器は必要ないというレベルであれば、有効に使えるだろう。
主な機能は、周囲の人の声の増強だが、ノイズキャンセル機能なども備える。ソニーのSMR-10BCは、個人の聞こえ方に合わせて増強する帯域を自動調整する機能もある。とはいえ、決して補聴器代わりになるものではない。事前に医師や販売店と相談し、正しい使い方を確認しよう。以下に、注目モデルを掲載した。
●安価で充電式の会話用集音器
会話の声を重点的に増幅するようにチューニングされている。周囲の騒音をカットするノイズキャンセル機能があり、ボタンでオン/オフを切り替える。安価ながら充電式だ。
ケンコー
KHB-101
実売価格例:8960円
●目立ちにくい耳穴型コンパクト機
耳穴型の集音器。人の声の聞き取りに重要な1.5k〜4kヘルツの帯域を強調することで、会話がスムーズに行える。低雑音設計のため、耳へのストレスが少なくなっている。
エレコム
ESC-ITE01NU
実売価格例:1万3460円
●両耳で使うヘッドホンスタイル
両耳で使用するヘッドホンスタイル。雑音と人の声を解析し、雑音だけを抑制する機能を持つ。左右の音量のバランス調整も可能だ。別体の本体部は、重量19グラムと小型・軽量のもの。
パイオニア
VMR-M750
実売価格例:2万4880円
●音質調整など、機能的に充実している
ネックバンド式イヤホンにそっくりな形状の集音器。ノイズやハウリングの低減をはじめ、環境に合わせた最適な音質調整機能を持つ。聞こえ方を調整する機能もあり、かなり高機能だ。
ソニー
SMR-10BC
実売価格例:2万8260円
“耳年齢”がわかるゲームを試してみよう!
聴覚の衰えは、加齢とともに誰にでも発生する。そこで、自分の“耳年齢”をチェックしてみてはいかが? 補聴器メーカーのリサウンドは、iOS用アプリの「耳年齢チェック!」を提供している。これは、ゲーム感覚で自分の耳年齢を確かめることができるので、気軽に試してみるといいだろう。また、シグニアの「聞こえ年齢チェックしませんか?」は、パソコンのブラウザーで耳年齢がチェックできるサイトとなっている。
●リサウンド「耳年齢チェック!」(iOS版のみ)
●シグニア「聞こえ年齢チェックしませんか?」
https://www.signia.jp/mosquite-noise/
解説/鳥居一豊(AVライター)
取材協力/一般社団法人 日本補聴器工業会、ヨドバシカメラ マルチメディアAkiba
※価格は記事制作時のものです。