足の筋力が弱っている人や、運動不足の人は、ふくらはぎの血行が悪く、リンパも滞り、筋肉がかたくなっています。それがハムストリングスや大殿筋の収縮を促し、腰痛の原因になっているのです。腰が痛いと、正しい姿勢が取れず、ひざや股関節に負担がかかり、痛みを招きます。腰の痛みが全身に影響するのです。【解説】中村守(盛岡せんぼくバランス治療院院長)

解説者のプロフィール

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中村守(なかむら・まもる)
盛岡せんぼくバランス治療院院長。1961年、岩手県盛岡市生まれ。大学卒業後、鍼灸師の国家資格を取得。2010年、治療院を開業。「人間が生まれながらにして持つ自然治癒力を信じ、健康を取り戻すお手伝いをする」ことをモットーに、日々治療に当たっている。

痛みの原因は「痛いところにある」とは限らない

ふくらはぎへの刺激で腰痛が改善する

体の痛みに見舞われると、「痛いところに原因がある」と考えがちです。ところが実は、別のところに原因があるケースが少なくありません。

例えば、腰痛やひざ痛、股関節痛の患者さんの場合、話を聞き、筋肉の張りぐあいを観察したうえで、ふくらはぎを刺激することがあります。患者さんは、「腰が痛いのに、ふくらはぎ?」と首をかしげます。しかし、実際ふくらはぎに施術をすると、腰の痛みがその場で軽くなるのです。腰痛だけでなく、ひざ痛や股関節痛にも、ふくらはぎへの刺激が奏功します。

腰痛が起こるメカニズム

なぜ、ふくらはぎを刺激することで、腰痛やひざ痛、股関節痛が改善されるのでしょうか。

現代の日本人は、座っている時間が長く、運動不足といわれます。働きざかりの人たちはデスクワークが多く、高齢者は家にいる時間が長いので、しかたないのかもしれません。長時間イスに座っていると、お尻と太もも裏の筋肉が圧迫されて血行が悪くなり、こり固まります。お尻の大殿筋や太ももの裏側の筋肉であるハムストリングスがこり固まって収縮すると、骨盤が後ろに傾きます。すると、骨盤と肋骨を結ぶ腰方形筋が引っ張られ、痛みが出るのです。これが腰痛です。

■腰痛とふくらはぎ、太ももの関係

画像: ■腰痛とふくらはぎ、太ももの関係

「ふくらはぎつかみ」で治りが早くなり、再発しにくくなる

それなら、「お尻と太もも裏のコリをほぐせばいい」と思うでしょう。ところが、ここを自分で刺激するのは非常に難しいのです。

そこで思いついたのが、ハムストリングスのもっと下にある、ふくらはぎです。ふくらはぎは、 西洋医学における解剖学の観点からも、東洋医学のツボ理論からも、極めて重要な部位です。ふくらはぎの重要性については、仙台操体医学院の今 昭宏先生に教わりました。

私は患者さんに、自宅で行うセルフケアとして「ふくらはぎつかみ」を指導しています。ふくらはぎつかみをしている人は、治りが早いばかりでなく、痛みが再発しない体になります。

ふくらはぎつかみのやり方

では実際に、ふくらはぎつかみを行いましょう。腰全体が痛い場合は両足に行いますが、左右どちらか片側だけ痛い場合は、痛む側のふくらはぎだけでOK。もちろん、両足に行ってもけっこうです

手順①
まず、イスか床に座り、刺激する側のひざを曲げます。
コリの出方には個人差がありますが、必ず最初につかんでほしいのが、ふくらはぎの下のほうです。

内くるぶしから手の指の横幅4本分、上に行ったところにある、三陰交というツボです。足のむくみを解消する特効ツボですが、同時に、ふくらはぎの最も深層にある筋肉、後脛骨筋と長趾屈筋が腱(筋肉と骨を結ぶ組織)になっている箇所でもあります。

三陰交の反対側(外くるぶし側)には、腰痛や座骨神経痛の特効ツボ、跗陽があります。跗陽は、長母趾屈筋の付着部(骨についている箇所)です。長母趾屈筋も深層にあり、直接、刺激するのが難しい箇所です。

画像: ふくらはぎつかみのやり方

三陰交と跗陽は同じ高さにあるので、この二つのツボを同時に押さえるように、ふくらはぎの下のほうをつかみます。すると、ふくらはぎの深層筋のポイントを、一気に押さえることができるのです。

その状態で、足首を支点にして、つま先を上下させると、ふくらはぎ全体の筋肉が動きます。手の指でもみほぐさなくても、筋肉のポンプ作用が働き、血流が増大してコリがほぐれます。

画像1: 腰痛の原因は「痛いところにある」とは限らない!痛みを改善する方法はコレ

つま先を、ゆっくり3回上下させてください。ひざ下がポカポカしてくるでしょう。

手順②
次に、手の位置を少しずつずらし、ふくらはぎのコリを見つけてください。コリをつかみ、つま先をゆっくり3回上下させます。中間層のヒラメ筋と表層の腓腹筋のコリが解消し、ふくらはぎ全体が緩みます。

すると、ハムストリングスや大殿筋の緊張が解け、骨盤の傾き(後傾)が直り、腰痛が改善するのです。

画像2: 腰痛の原因は「痛いところにある」とは限らない!痛みを改善する方法はコレ

ふくらはぎをつかむ手は、左右どちらでもかまいません。痛い箇所をつかみ、つま先を3回上下させるのを1セットとして、1日3セット行います。

運動不足や座りっぱなしの姿勢が腰痛を招く

足の筋力が弱っている人や、運動不足の人は、ふくらはぎの血行が悪く、リンパも滞り、筋肉がかたくなっています。それがハムストリングスや大殿筋の収縮を促し、腰痛の原因になっているのです。加えて、イスに腰かける時間が長いと、ハムストリングスと大殿筋はますます硬化し、腰痛がひどくなります。腰は文字どおり、体の要です。腰が痛いと、正しい姿勢が取れず、ひざや股関節に負担がかかり、痛みを招きます。腰の痛みが全身に影響するのです。

腰が体の要なら、ふくらはぎは体の土台。腰やひざ、股関節に痛みのあるかたは、ふくらはぎつかみをお試しください。

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