ワードには、文中に波線が現われたり、英文の最初の文字が自動的に大文字になったり、行頭に数字を入れて改行すると箇条書きになったり、親切すぎて煩わしく感じる機能がある。そんなおせっかいな「書式設定」や「文書校正」を無効にする方法を解説しよう。
自分の使い方に合わせて機能を調整し、イライラを解消
文書作成ソフトの定番といえば、マイクロソフトのワードだ。多機能だし、何度もバージョンアップが繰り返されて操作性も洗練されている。ところが、そんな機能性が仇になっている面もある。
たとえば、本文中の単語の下に波線が現われたり、英文の最初の文字が勝手に大文字になったり。あるいは、行頭に数字を入れて改行すると自動的に箇条書きになったりする。
どれも意味がある機能なのだけど、親切すぎて煩わしく感じることがある。特に箇条書きの設定は、解除方法が分からずイライラした経験がある人も多いと思う。
自分にとって便利な機能はそのまま使えばいい。しかし、おせっかいに感じる機能は止めてしまおう。こうした機能を使うか使わないか意識することが、文書作成スキルの向上にもつながる。
どの操作も、設定画面を開いてチェックマークで有効と停止を切り替えるだけだ。止めてみたものの、「やっぱり、ある方がいい」と思ったら、いつでも元に戻せる。安心して、いろいろ試してみるといい。
「自動文章校正」や「スペルチェック」を無効にする
まずは、文中に現れる下線の意味を知っておこう。英単語の下の赤い波線はスペルミス、日本語の下の青い二重線は不適切な表現を指摘されている。
下記の文章の場合、英単語は「LightEmitting」が正しい。日本語の方は「約」と「ほど」が同じ意味の重複表現になっている。
どちらも、うっかりミスが多いので、それを教えてくれるのは親切だと思う。しかし、商品名など辞書にない単語にも赤い線が出る。初期設定では、英文の2番目の文字が大文字だと自動的に小文字に変更する機能も有効になっている。
何か意図がある場合は、こうした指摘が出ても無視していい。そのまま印刷しても、これらの下線は印刷されない。
しかし、文書ファイルの状態で他者に渡すときは誤解の元になるかもしれない。なので、止めたほうがいいと思ったら停止することができる。手順は、以下のとおり。
まず、画面左上の「ファイル」を押す。
画面が切り替わって左側に青い帯が出る。その一番下にある「オプション」を押す。
「Wordのオプション」という画面が開くので、左側のメニューで「文書校正」を選ぶ。
中段の「Wordのスペルチェックと文書校正」欄にある「入力時にスペルチェックを行う」と「自動文書校正」のチェックマークを外す。
続いて、画面上部の「オートコレクトのオプション」欄にある「オートコレクトのオプション」ボタンを押す。
新たに「オートコレクト」の画面が開くので、「文の先頭文字を大文字にする」のチェックを外す。
あとは、それぞれの画面を「OK」で閉じていく。これで、スペルチェックや文書自動校正の機能を止めることができる。
おせっかいな「自動箇条書き」の機能をやめさせる
次に、自動的に箇条書きになる機能を停止する方法について。
行の先頭に数字とピリオド、あるいは丸数字を付けて文章を書き、改行すると自動的に次の番号が設定される。先頭に●を付けた場合も、改行すると次の行の先頭に●が出る。
箇条書きを使う機会が多い人には便利な機能だと思う。しかし、これは以前からあまり評判がよくない。今はだいぶ改善されて、数字や●が現れても、もう一度「Enter」を押すと消えるようになった。
とはいえ、それでも余計なお世話だと感じるなら止めてしまおう。この設定はワードの便利ワザの定番だが、ワードのバージョンによって設定方法が変わってきている。
Word forOffice 365の場合、以下の手順で3ヵ所のチェックを外せばいい。「オートコレクトのオプション」を開くところまでは、上記の「オートコレクト」の停止と同じだ。
画面左上の「ファイル」を押す。
画面が切り替わって左側に青い帯が出る。その一番下にある「オプション」を押す。
「Wordのオプション」という画面が開くので、左側のメニューから「文書校正」を選ぶ。
画面上部の「オートコレクトのオプション」欄にある「オートコレクトのオプション」ボタンを押す。
「オートコレクト」の画面が開いたら、画面上部の「入力フォーマット」タブを押す。そして、中段の「入力中に自動で書式設定する項目」にある「箇条書き(行頭文字)」と「箇条書き(段落番号)」のチェックマークを外す。
次に「オートフォーマット」タブを押して、「自動で適切なスタイルを設定する箇所」の中にある「箇条書き(行頭文字)」のチェックを外す。そして、すべての画面を「OK」で閉じる。
まとめ
ワードに限らず、ワープロソフトは「文章を書くツール」であると同時に「文書を作成するツール」でもある。一見、同じような感じがするが、この違いは意外に大きい。
今回紹介したオートコレクトや箇条書きの機能は、どちらかというと「文章を書く」段階で役立つ機能になる。文章の中に英単語のスペルミスや不適切な日本語表現があると、その文書の信頼性が損なわれてしまう。
なので、頼るべき時は頼りにしてもいいと思う。ただ、使い方によっては、あるいは人によっては、停止した方がいい状況がある。そんなときは止めればいい。
外したチェックマークを付け直せば、いつでも元に戻すことができる。
※この記事では、「Word for Office 365」の機能と画面写真を使用しています。
解説/下島 朗(産業ジャーナリスト)
長年、IT系のライターとして、パソコン雑誌の記事やIT企業のWeb記事などを執筆。用語解説や取材記事を得意とし、現在は自社サイト『事例s』で、IT、エコ、建築などの事例を取材して紹介する活動を続けている。