骨だしスープとは、鶏や魚などの骨を煮込んだスープです。食事療法に用いると、肥満が速やかに解消し、糖尿病も改善しやすくなります。栄養価が高く、食べても太れないという人にも効果的です。【解説・監修】鈴木功(鈴木内科クリニック院長)・鈴木睦美(鍼灸あん摩マッサージ師・ボーンブロス研究家)

解説者のプロフィール

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鈴木功(すずき・いさお)
鈴木内科クリニック院長。医師・国際中医師。2007年、一般病院勤務と並行して、週末に自由診療の生薬を中心とした漢方クリニックを開業。その後、保険診療の鈴木内科クリニックに変更し、現在に至る。近著に『魔法のスープ ボーンブロスでやせる 間ファスダイエット』(主婦の友社)がある。

ビタミンやミネラルの不足と過剰な脂質が問題

当院には、肥満や糖尿病の患者さんが多く来院されますが、私はそのような患者さんに「骨だしスープ」を勧めています。

骨だしスープとは、鶏や魚などの骨を煮込んだスープです。食事療法に用いると、肥満が速やかに解消し、糖尿病も改善しやすくなります。栄養価が高く、食べても太れないという人にも効果的です。

「肥満や糖尿病の原因は糖質だ」という糖質制限食が、現在流行しています。

確かに糖質制限をするとやせやすくなり、血糖コントロールもできるようになります。私も、最近まで患者さんに指導していました。

ところが、ある程度を境に体重が減らなくなり、かえってリバウンドしたり、血糖値が乱れたりする人が多くいることもわかってきました。

ほんとうに肥満や糖尿病の原因は、糖質なのでしょうか。

私は海外の文献や資料をいろいろ調べた結果、原因は糖質ではなく、ホルモンバランスの乱れにあると気づきました。

さらに、その原因となるのが、カロリー(エネルギー)に対してビタミンやミネラルなどが少ない食事と、脂質の過剰摂取だとわかったのです。

糖や脂質の代謝には、多くのホルモンが関連します。特に重要なのが、インスリンです。

インスリンは、食事の際に膵臓から分泌されるホルモンで、血中の糖をグリコーゲン(エネルギー代謝に必要な物質)として、筋肉や肝臓に取り込みます。

それでも余った糖は脂肪に変わり、体に蓄えられます。食べ物がないとき、私たちの体は、その蓄えられたグリコーゲンや脂肪を分解し、エネルギー源として使います。

ところが、脂質の多い食事をくり返すと、筋肉や肝臓が糖を取り込みにくくなり、インスリンの効きが悪くなります。すると、インスリンが過剰に分泌されて、脂肪細胞には脂肪が蓄積されやすくなるのです。

ですから、やせるためには、糖質よりも脂質を控えて、カロリーに対して栄養価の高い食事をとる必要があります。

適度の糖質摂取は必要で糖質の「質」が大事

このインスリンの過剰分泌を抑えるには、食事を抜いて食事と食事の間を長くする「間欠的ファステング(断食。以下、間ファス)」が有効です。

※間欠的ファスティングは、やせ過ぎの人、成長期のお子さん、妊娠・授乳中の女性には向きません。内科的疾患がある人は、主治医に必ず相談してください。

間ファスは、毎日する必要はありません。例えば、1週間で1~2食を抜く日を1~2回設けるだけでも効果があります。

この間ファス時に欠かせないのが、骨だしスープです。アミノ酸やミネラル、ビタミン、コラーゲンなどが豊富で、低カロリーです。

スープなので消化・吸収もよく、胃腸に負担をかけません。速やかに吸収され、全身に栄養が行き渡り、それが細胞の修復を助けます。免疫機能を高める効果もあります。

また、間ファス時以外にも、骨だしスープを基本にした食事をできるだけ取り入れると、細胞の修復に大変効果的です。

骨だしスープは、最初は味が薄く感じるかもしれませんが、慣れるとそのおいしさがわかっていきます。食事全体が薄味になり、自然に体によい食事を好むようになるのです。

また、ホルモンバランスが整うと糖や脂質の代謝が正常になるので、多少食べ過ぎても太らなくなります。

私は、適度の糖質摂取は必要で、糖質の「質」が大事だと考えます。未精製の穀類や野菜、果物など、食物繊維やビタミン、ミネラルの多い、質のよい糖質を選びましょう。

なお、骨だしスープを飲む場合は、スープに浮いた脂を極力飲まないようにすることが重要です。完成時に、キッチンペーパー等でこして取り除くとよいでしょう。

鶏手羽の骨だしスープの作り方

【料理・栄養計算】金丸絵里加(料理研究家・管理栄養士・女子栄養大学講師)

いちばん手軽に作れる!黄金色のスープに旨みがたっぷり

画像: エネルギー:968kcal 塩分:0.8g(全量)

エネルギー:968kcal 塩分:0.8g(全量)

【材料】(作りやすい分量)
鶏手羽先…8本、鶏手羽元…6本、
タマネギ…1個、トマト…2個
マッシュルーム…6個
Ⓐ水…2L、酢…大さじ1
 ローリエ…2枚
 ローズマリー…2枝(あれば)

【作り方】
鶏肉はよく洗い、キッチンペーパーでしっかりと水気をふき取る。
タマネギは皮をむいて4等分に切る。トマトは4等分に切る。マッシュルームは半分に切る。
鍋に①、②、Ⓐを入れて強火にかける。煮立ったらアクを取り、弱火にして、ふたをせずに2時間以上煮込む。
キッチンペーパーや油こし紙を敷いたこし器で③をこして完成。具も食べてよい。

画像1: 【肥満・糖尿病】本当に原因は糖質?医師おすすめは「骨だしスープ」による間欠的ファステング

骨だしスープの保存法
傷みにくくするため、できたスープを耐熱瓶などに移して氷水で急冷したら、ふたをして1時間以内に冷蔵庫に入れる。4~5日保存可能。使う際は、表面に浮いた脂を取り除くとよい。冷凍した場合は約1ヵ月保存可能。

キノコと鶏肉のクリーム煮

みそが隠し味!クリーミーなソースが濃厚な味わい

画像: エネルギー:178kcal 塩分:1.7g(各1人分)

エネルギー:178kcal 塩分:1.7g(各1人分)

【材料】(2人分)
エノキダケ…80g
パセリ(みじん切り)…適宜
塩、コショウ…各少々 
Ⓐ鶏手羽スープ…200ml
 鶏手羽スープの手羽先…4本
 鶏手羽スープのマッシュルーム…4個
Ⓑ牛乳…100ml、小麦粉…大さじ1
 粉チーズ…大さじ1
 みそ…小さじ2、塩…小さじ1/4

【作り方】
エノキダケは根元を取り除き、3等分に切ってほぐす。
鍋に①とⒶを入れて火にかける。煮立ったら弱火にして、さらに2~3分煮る。
②によく混ぜたⒷを加え、とろみが出るまで大きく混ぜながら煮る。
塩、コショウで味を調えたら器に盛り、お好みでパセリを散らす。

鶏手羽と彩り野菜のポトフ

肉はほろほろ!スープは野菜の旨みが加わったクリアな味わい

画像: エネルギー:228kcal 塩分:1.8g(各1人分)

エネルギー:228kcal 塩分:1.8g(各1人分)

【材料】(2人分)
鶏手羽スープ…600ml
キャベツ…1/4個、カブ…2個
鶏手羽スープのマッシュルーム…6個
塩…小さじ1/2、粒マスタード…適宜
Ⓐ鶏手羽スープの手羽元…4本
 鶏手羽スープのタマネギ…1/2個
 鶏手羽スープのトマト…1個

【作り方】
キャベツは半分に切る。カブは皮をむいて半分に切る。
鍋に鶏手羽スープとキャベツを入れて火にかける。煮立ったら弱めの中火にし、5分煮る。
②に塩を加え、カブ、マッシュルーム、Ⓐを加えて、カブに火が通るまでさらに5~6分煮る。
器に盛り、お好みで粒マスタードを添える。

鶏ガラの骨だしスープの作り方

深いコクが凝縮!焼酎で臭みを消すのがポイント

画像: エネルギー:343kcal 塩分:2.4g(全量)

エネルギー:343kcal 塩分:2.4g(全量)

【材料】(作りやすい分量)
鶏ガラ…1kg
焼酎…200ml(料理酒は不可)
ショウガ…2片、ニンジン…1本
リンゴ…1/2個(あれば)
セロリ…1本、ネギ…1本
Ⓐ水…3L
 酢…大さじ2

【作り方】
鍋にたっぷりの湯(分量外)を沸かし、煮立ったら鶏ガラを入れる。強火で5分加熱したら、焼酎を加えてゆでこぼす。
鶏ガラに残っている内臓や血合いを流水で除き(下写真参照)、ざるに上げて水気を切る。

画像2: 【肥満・糖尿病】本当に原因は糖質?医師おすすめは「骨だしスープ」による間欠的ファステング

ショウガは乱切りにする。ニンジンとリンゴは皮つきのまま4等分に切る。セロリとネギは4等分の長さに切る。
鍋に②、③、Ⓐを入れて強火にかける。煮立ったらアクを取り、弱火にしてふたをせずに3時間以上煮込む。
キッチンペーパーや油こし紙を敷いたこし器で④をこして完成。具も食べてよい。

韓国風鶏の旨辛スープ

ピリ辛だしが食欲をそそる!ご飯や麺とも好相性

画像: エネルギー:212kcal 塩分:1.6g(各1人分)

エネルギー:212kcal 塩分:1.6g(各1人分)

【材料】(2人分)
鶏ガラスープの鶏肉…150g
(身が少なければ鶏ササミ2本で代用)
鶏ガラスープのニンジン…1/4本
大豆モヤシ…1/2袋、マイタケ…1パック
ニラ…1/4束、ゴマ油…適量
Ⓐ鶏ガラスープ…500ml
 コチュジャン…大さじ1
 しょうゆ、みりん…各大さじ1/2
 おろしニンニク……小さじ1
 すり白ゴマ……大さじ1
 ゴマ油……小さじ1/2

【作り方】
鶏肉はほぐしておく(ササミを使う場合は細切りにする)。ニンジンは一口大に切る。大豆モヤシはひげ根を取る。マイタケは石突きを取り除き、小房にほぐす。
ニラは3cm長さに切る。
鍋にゴマ油と①を入れて火にかけ、軽く炒め合わせたらⒶを注ぎ入れ、煮立ったら弱火で5~6分煮る。
②を入れ、ひと煮したら器に盛る。

高野豆腐の卵とじ

噛んだ瞬間旨みをたっぷり吸いこんだだしがあふれ出る!

画像: エネルギー:234kcal 塩分:1.8g(各1人分)

エネルギー:234kcal 塩分:1.8g(各1人分)

【材料】(2人分)
高野豆腐…2個、卵…2個
シイタケ…3枚、タマネギ…1/2個
コマツナ…2株
Ⓐ鶏ガラスープ…300ml
 酒、しょうゆ、みりん…各大さじ1

【作り方】
高野豆腐はぬるま湯に浸けて戻し、水気をしぼって縦半分に切ってから1cm幅に切る。シイタケは薄切りにする。タマネギは縦に薄切りにする。
コマツナは3〜4cm長さに切る。
鍋にⒶを入れて強火にかけ、煮立ったら①を入れて中火で5分ほど煮る。
②を加え、ひと煮したら卵を溶いて回し入れる。半熟状になったら火を止めて、器に盛る。

魚のアラの骨だしスープの作り方

日本人好みの優しい味わい!いろんな料理に活用できる

画像: エネルギー:888kcal 塩分:2.5g(全量)

エネルギー:888kcal 塩分:2.5g(全量)

【材料】(作りやすい分量)
魚のアラ(タイ、タラ、サケなど)…1kg
酢…大さじ2
Ⓐ焼酎…200ml(料理酒は不可)
 水…2L、コンブ…2枚(5cm×5cm)
 シイタケ…4枚(薄切り)
 ネギ…1本(斜め薄切り)
 タマネギ(あれば)…1/2個(6等分のくし形)
 ニンニク…2片(つぶす)

【作り方】
魚のアラは大きめのぶつ切りにする。
鍋にたっぷりの湯(分量外)を沸かし、①を2〜3回に分けて入れ、表面が白っぽくなったらすぐに氷水にとる。
流水でぬめりや血合いなどをしっかり取り除き(下写真参照)、キッチンペーパーで余分な水気をふき取る。

画像: ぬめりや血合いは、歯ブラシなどを使うとこびりつきが落としやすくなり、臭みを取りやすい。

ぬめりや血合いは、歯ブラシなどを使うとこびりつきが落としやすくなり、臭みを取りやすい。

鍋に③とⒶを入れて、強めの中火にかけて酢を回し入れる。煮立ったらアクを取り、ふたをせずに弱火で1~2時間煮る。
キッチンペーパーや油こし紙を敷いたこし器で④をこして完成。具も食べてよい。

具だくさんアラ汁

具だくさんで栄養満点!風味豊かなホッとする味わい

画像: エネルギー:139kcal 塩分:1.7g(各1人分)

エネルギー:139kcal 塩分:1.7g(各1人分)

【材料】(2人分)
魚のアラスープのアラ(身がついた物)…200g
大根…2cm、ニンジン…1/3本
淡色みそ…大さじ1強、七味唐辛子…適宜
Ⓐ魚のアラスープ…600ml
 魚のアラスープのシイタケ…1枚
 魚のアラスープのネギ…1/2本

【作り方】
大根は8mm幅のイチョウ切りにする。ニンジンは8mm幅の半月切りにする。
鍋に①とⒶを入れて中火にかけ、煮立ったらみそを溶き入れる。
魚のアラを加え、ひと煮して器に盛り、お好みで七味唐辛子を振る。

根菜の炊き込みご飯

食物繊維たっぷり!だしと根菜の香り広がる滋味深い1杯

画像: エネルギー:311kcal 塩分:1.3g(各1人分)

エネルギー:311kcal 塩分:1.3g(各1人分)

【材料】(4人分)
魚のアラスープ…450ml
発芽玄米…2合、切り干し大根…20g
ニンジン…1/3本、レンコン…80g
三つ葉……1/2束
Ⓐしょうゆ…大さじ1、みりん…小さじ2
 塩…小さじ1/3

【作り方】
炊飯器の釜に玄米と魚のアラスープを注ぎ入れ、切り干し大根を加えてひと混ぜし、10分おく。
ニンジンは細切りに、レンコンは薄いイチョウ切りにする。
①にⒶを加えて混ぜ合わせ、②をのせて普通に炊く。
③に刻んだ三つ葉を加えてさっくりと混ぜ合わせ、器に盛る。

A1cが基準値に、湿疹の再発もなし

最後に実際の症例をご紹介しましょう。

Yさん(50代・男性)は、身長167㎝で体重が97㎏。6年前に脳梗塞を起こし、その後、高血圧や高血糖になり、服薬治療を続けていました。しかし、状態は悪くなる一方だということで、来院されました。

まず、Yさんに減量するように指導し、80㎏まで体重を落としてもらいました。そこで下げ止まったため、骨だしスープと間ファスの食事に切り替えてもらいました。

以来、1日のうち夕食だけを骨だしスープ中心の食事にしたところ、体重は現在70㎏まで落ち、ヘモグロビンA1c(過去1〜2ヵ月の血糖状態がわかる指標。基準値は4.6〜6.2%)は、6.5%から5.9%に改善。それまで飲んでいた薬を全てやめることができました。

長年、原因不明の湿疹に悩まされてきたMさん(60代・男性)は、心臓肥大もあり、体重を落とすために糖質制限中心の食事をしてもらいました。

その結果、体重は2ヵ月で68㎏になり(身長166㎝)、心臓肥大の数値(心胸郭比)も正常になりました。ところが、徐々に改善していた湿疹が、糖質をとる度に再発しました。

そんな状態をくり返していたMさんに骨だしスープを勧め、週に2回、朝食と昼食を抜く間ファスをしてもらいました。

すると、3ヵ月で体重が4〜5㎏落ちて、湿疹が全く出なくなりました。以降、Mさんはご飯や甘い物などの糖質をとるようになっても、太ったり湿疹が出たりすることはありません。

画像: この記事は『壮快』2019年1月号に掲載されています。

この記事は『壮快』2019年1月号に掲載されています。

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