トマトにはリコピンやカロテン、みそにはメラノイジンという物質が豊富です。これらの抗酸化作用をはじめ、両者に多く含まれる各種ビタミンがシミやシワなどの肌トラブルに効果を発揮します。アディポネクチンという「やせホルモン」の分泌を促す働きもあります。【解説】関由佳(内科医・味噌ソムリエ・野菜ソムリエ)
解説者のプロフィール
関由佳(せき・ゆか)
内科医。予防医学を軸に、食事で血糖値をコントロールする方法を学び、ダイエット外来や糖尿病治療にその理論を応用した栄養指導やレシピ本を多く出版。2013年、ニューヨークの料理専門学校に留学。現在、岡山大学大学院で腸内環境と発酵豆の研究をしながら、オンラインで体質改善プログラムの監修を担当。また、味噌ソムリエと野菜ソムリエの資格を持ち、メディカルフード料理研究家としても活動している。専門は予防医学、栄養療法。
みそを食べたら長年のめまいや便秘が改善!
内科医である私のモットーは、「薬を使わずに食べ物で人を癒すこと」です。そして、私が最もお勧めしている食材は、「みそ」です。
なぜ、薬を使わない医師になったのか。そして、なぜ、みそを勧めているのか。そのきっかけは、長年経験した、私自身の不調にあります。
私は10代のころから、ホルモンバランスの乱れが原因による、さまざまな症状に悩まされていました。例えば、急に立ち上がるとめまいに襲われる起立性低血圧症、慢性的に便秘や下痢をくり返す過敏性腸症候群、月経不順をはじめとした婦人科系のトラブルなどです。
医師になってからも、自分が飲みたくない薬を患者さんに勧めてもいいものか、常に疑問を抱えていました。
その後、勤務医時代に、糖尿病専門のクリニックや統合医療のクリニックで、栄養療法を担当しました。そこで10年近く、数多くの患者さんと接していくうちに、「ほとんどの慢性疾患は消化力の低下が原因にある」ということに気づきました。
せっかく食事を変えたり、サプリメントで補給したりしても、腸内環境が整っていなければ、その栄養素を体内に取り入れることはできません。
つまり、健康な体を手に入れるためになにより大切なのは、腸内環境を整えて、消化力を高めることなのです。そのうえで、ビタミンやミネラルなどの必要な栄養素を補給しなければ、意味がありません。
そこで救世主となるのが、日本人なら誰でも手軽にとれる、みそなのです。
みそには、体内で生成できない必須アミノ酸が、すべて含まれています。また、人間の生命活動に欠かせないビタミンやミネラルも、数多く含まれています。
さらに、腸内環境を整える働きのあるこうじ菌や乳酸菌、酵母菌など、腸内の善玉菌の働きを助ける菌も豊富です。
みそはまさに、現代人には欠かせない、完全栄養食といえるでしょう。
実際、私も、毎日の食生活にみそを取り入れて腸内環境の改善を心がけたところ、体調が劇的に改善しました。
前述した、10代から続いていた症状は、たちまち改善。そして、長年服用していた薬やサプリメントを、ついに手放すことができたのです。
こうして、みその世界に引き込まれていった私は、味噌ソムリエの資格を取得。そして、みそのすばらしさを広める「みそドクター」としての活動も行っています
おでこやあごのニキビが消え肌荒れも解消!
今回ご紹介する「トマトみそ汁」は、私の定番メニューの一つです。特に、美肌やダイエット効果を得たいかたには、お勧めです。
トマトにはリコピンやカロテン、みそにはメラノイジンという物質が豊富です。いずれも、老化や細胞の酸化を促す活性酸素を消去する、強力な抗酸化物質です。
これらの抗酸化作用をはじめ、両者に多く含まれる各種ビタミンが、シミやシワなどの肌トラブルに効果を発揮します。
また、トマトとみそには、アディポネクチンという「やせホルモン」の分泌を促す働きもあります。アディポネクチンは、脂肪燃焼を促す作用があるため、やせやすい体質づくりに役立つでしょう。
私のトマトみそ汁の作り方は、とても簡単です。下の図にまとめましたので、ご参照ください。
関先生流
《トマトみそ汁の作り方》
【材料】(2人分)
ミニトマト…8~10個(トマトなら中1個程度)
みそ…小さじ2
出汁…300ml
そのほか、お好みの具材を入れてよい。
※出汁は、前日の夜にコンブや煮干しを水に浸けておくと、翌朝から使える。市販の出汁を使う場合は無添加の物を選ぶ。
【作り方】
小鍋に出汁を入れて中火にかけ、煮立たったらミニトマトを入れる。
再び煮立たったら火を止めて、みそを溶き入れて器に盛る。
トマトもみそも、旨み成分であるグルタミン酸が豊富です。組み合わせることでさらに旨みが増して、おいしくいただけます。また、トマトみそ汁にすりおろしたショウガや、コショウをちょい足しするのもお勧めです。
トマトみそ汁のおかげか、おでこやあごに、いつも目立っていたニキビも消えて、肌荒れに悩むことがなくなりました。
ちなみに、みそは、できれば長期熟成された物を選ぶといいでしょう。発酵期間が長いほど、みその栄養素が吸収されやすくなるほか、みそにしかない栄養成分も摂取できます。
ぜひ皆さんも、トマトみそ汁をはじめ、みそ食を続けて、体の内側から健康になってください。
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