眠りについてから3時間以内に目が覚めるようだと、睡眠の質が著しく低下します。東北大学の研究では、夜間頻尿で夜中に2回以上トイレに行く人は、行かない人に比べて死亡率が高く、寿命が短いと報告されています。そこで、夜間頻尿を防ぐのに役立つ生活習慣をご紹介しましょう。【解説】髙橋悟(日本大学医学部附属板橋病院副院長・泌尿器科部長)

解説者のプロフィール

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髙橋悟(たかはし・さとる)
日本大学医学部附属板橋病院副院長・泌尿器科部長。1961年生まれ。85年、群馬大学医学部卒業。98年、東京大学医学部泌尿器科講師、2003年、東京大学医学部泌尿器科助教授、05年より現職。日本泌尿器科学会、日本排尿機能学会、日本老年泌尿器科学会、日本がん検診・診断学会、日本女性骨盤底医学会、日本レーザー医学会理事。著書に『ウルトラ図解 前立腺の病気 (オールカラー家庭の医学)』(法研)など。

トイレの回数と寿命に関係する研究報告

就寝中に尿意で目が覚め、トイレに1回以上起きなければならず、そのために日常生活に支障をきたす。そんな状態を「夜間頻尿」と言います。

夜中に目が覚めることで睡眠不足に陥り、日中の日常生活に支障をきたすことも少なくありません。特に、眠りについてから3時間以内に目が覚めるようだと、睡眠の質が著しく低下します。

東北大学の研究では、夜間頻尿で夜中に2回以上トイレに行く人は、行かない人に比べて死亡率が高く、寿命が短いと報告されています。海外の研究でも、夜中にトイレに行く回数が多い人ほど、寿命が短くなるとの報告があります。

詳細な原因は不明ですが、夜間の転倒などの事故が増えたり、夜間頻尿を引き起こす背景になんらかの病気があったりするためではないかと推測されます。

夜間頻尿になる原因はいろいろありますが、

膀胱蓄尿障害 尿を膀胱にためておく働きや容量が低下する
夜間多尿 夜間の尿量が多くなる
睡眠障害 眠りが浅いと、軽い尿意でも目が覚めやすくなる

の3点が主なものです。

ほかに「足のむくみ」も夜間頻尿につながります。

年を取ると、筋力や血管の収縮力が弱まり、体内の水分を重力に抵抗して持ち上げる働きが低下するので、脚がむくみやすくなります。

そもそも、むくみとは、不要な水分が体にたまった状態です。夜、横になると、脚にたまっていた水分が上半身へ移動し、静脈から心臓に戻る血液量が増えます。

体は余分な水分を尿として体外に排出しようと「利尿ペプチド」という物質を作ります。その結果、尿量が増え、夜間にトイレに行きたくなるわけです。

画像: 眠りについてから3時間以内に尿意で目が覚めてしまうと、睡眠の質が著しく低下する

眠りについてから3時間以内に尿意で目が覚めてしまうと、睡眠の質が著しく低下する

生活習慣で夜間頻尿は改善できる

そこで、脚のむくみを改善し、夜間頻尿を防ぐのに役立つ生活習慣をご紹介しましょう。

画像1: 夜間頻尿の原因「脚のむくみ」を改善!朝までグッスリ眠るための5つのコツ

①午後から夕方に運動する
むくみが起こりやすい午後から夕方に、ウォーキングなど脚を動かす運動を30分程度するのがお勧めです。ふくらはぎの筋肉が収縮することでポンプ作用が働き、下半身の水分を持ち上げる効果が期待できます。運動すると眠りも深くなるので、一石二鳥です。

②日中に15分ほど仰向けになる
日中に足を10~15cmほど上げて15分ほど仰向けになると、下半身の水分を移動させて、排尿を促すことに役立ちます。

ただ、眠ってしまうと、夜間の就寝に差し支えるので注意。また、就寝時にこの姿勢を取ると逆効果なので、行わないでください。

③水分と塩分の摂取を控える
よく「1日2.5L以上の水分摂取」が推奨されますが、これは食事に含まれる水分(通常は1L以上)も合わせた量です。

ことに生野菜は水分の含有量が多く、利尿作用のあるカリウムも含まれます。頻尿でお悩みで、生野菜をよく食べるなら、飲み物を控えましょう。

また近年、塩分摂取量が多いと夜間頻尿につながるとの報告もあります。塩分を多く取ると、のどが渇いて水分の取りすぎになりますし、利尿ホルモンの働きにも影響が出ると考えられています。実際に塩分を控えると、夜間頻尿の改善も見られると報告されています(※)。

※厚生労働省は、高血圧予防のために、成人の1日当たり塩分摂取量の目標値を、男性8g未満、女性7g未満としている。この値を目標に摂取量を調整するとよい

画像2: 夜間頻尿の原因「脚のむくみ」を改善!朝までグッスリ眠るための5つのコツ

④入浴の時間を早める
就寝の4時間前までに、入浴を済ませるのもお勧めです。これにより、水分の摂取と排泄を前倒しにして、眠りを妨げられないようにするのです。

なぜ4時間以上かというと、体の余分な水分が排出されるまでには、2~3時間ほど必要だから。

入浴は、脚に水圧がかかるので、むくみの解消に役立つと言えます。しかし、脚が圧迫されると、下半身にたまった水分が尿として出やすくなるため、寝る直前での入浴は、就寝中の尿意の原因となります。

⑤肥満を解消する
そもそも運動不足でむくみが起こりやすいことに加え、肥満の人に多い睡眠時無呼吸症候群があると、夜間の尿量が多くなることがわかっています。太っている人には、体重の5%程度(60kgの人なら3kg)のプチ減量をお勧めします。

これらは患者さんに実践してもらい、夜間頻尿の改善につながっている方法です。ぜひお試しください。

画像: この記事は『ゆほびか』2019年3月号に掲載されています。

この記事は『ゆほびか』2019年3月号に掲載されています。

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