痛くて徐々に効果が出るストレッチと、痛みがなく体がすぐに柔らかくなるストレッチ、皆さんはどちらを続けたいですか。わざわざストレッチの時間を作ろうとすると、1回忘れたら次から億劫になるもの。だから「ついで」がちょうどいいんです。前屈が全くできない、痛い、そんな人におすすめのテレビでも話題のメソッドです。【解説】黒田美帆(「魔法のストレッチ講座」代表)・ 大村佳子(ストレッチインストラクター)
解説者のプロフィール
黒田美帆(くろだ・みほ):右
「魔法のストレッチ講座」代表。早稲田大学政治経済学部卒。2014年、長年習っていたバレエの動きから、簡単に体を柔らかくする方法を見つけ、「魔法のストレッチ講座」を開始。すぐに人気講座となり、新宿で定期講座を開催するほか、各地で特別レッスンを行っている。
大村佳子(おおむら・よしこ):左
ストレッチインストラクター。スキルシェアサービス「ストアカ」でプラチナティーチャーとして、3年間で3000人の柔軟性を改善し、全国No.1のフィットネスインストラクターに。現在、ストアカやカルチャーセンターでストレッチなどを教えている。
痛みがなくすぐに柔軟性がアップ
「もっと早く知りたかった!」私たちが主宰している「魔法のストレッチ講座」の出席者から、多くいただく感想です。
なぜなら、私たちが教えているストレッチは、(1)痛みがなく、(2)1日で効果が出る、まさに「魔法のストレッチ」だからです。
ストレッチを、「痛みを我慢しながらやるもの」と思っていませんか。もちろん、そういうストレッチもあります。でも一方で、違う方法もあるんです。
痛くて徐々に効果が出るストレッチと、痛みがなく体がすぐに柔らかくなるストレッチ、皆さんはどちらを続けたいですか。
魔法のストレッチのやり方は簡単です。かかとを指2〜3本分浮かせて屈み、この姿勢を30秒から60秒キープ。これだけで下半身の筋肉が伸び、体が柔らかくなります(詳しいやり方は下記)。
例えば、太ももの裏を伸ばしたいとき。一般的なストレッチでは、座って両足を前に伸ばし、体を前に倒して、太ももの裏をピーンと伸ばします。
一方、魔法のストレッチでは、脚を折りたたみ、上から圧をかけることで、太ももの裏を伸ばします。うどんの生地を伸ばすときに、生地を畳んで、重ねて、上から押してギューッと圧をかけて伸ばしますよね。それと同じイメージです。
こうすると、筋肉を無理やり引っ張らないので、「キーン」という嫌な痛みがありません。それでいて、腰から太もも、ふくらはぎから足首にかけて、下半身の裏側の筋肉が、すべて一度に伸ばせます。
講座では、魔法のストレッチの前後に前屈の数値を測っています。ほとんどの人は数値がよくなり、中には10cm以上数値が変わる人もいます。
半信半疑で受講されるかたも多いですが、ほんとうに皆さんビックリして帰られます。その評判を聞いて、ストレッチが痛くて苦手だった人や、やってもやっても体が柔らかくならなかったという人が、私たちの講座にたくさん来られます。
道具もいらずただ屈むだけ
筋肉が柔らかくなると、体調がよくなるケースは多いものです。体験者のかたからは、
・肩こりや背中のこりが激減した
・子どもの頃からネコ背だったけれど、初対面の人から「姿勢がいい」と言われた
・睡眠の質がよくなった
などの声が上がっています。
「苦手なストレッチを克服でき、長年の殻を破れて自信がついた」と感激されていたかたもいました。
魔法のストレッチは、特別な道具もいらず、屈むだけなので場所も選びません。私たちはよく、家でドライヤーをかけながらこのストレッチをしています。あとは、1人でエレベーターに乗っているときなどにも、スッと屈んでいます。
わざわざストレッチの時間を作ろうとすると、心理的なハードルが上がりますし、1回やるのを忘れたら次から億劫になるもの。だから、「ついで」がちょうどいいんです。
日常の動作に取り入れるのが、いちばんのお勧め。洗濯物を畳むときや、テレビを観ているときなどに、やるといいと思います。
魔法のストレッチを行う回数ですが、基本は1日1回、難しい場合は3日に1回でOKです。それくらいゆるく続けても、すごく体が硬かった人が、前屈で床に手がつくようになったケースもあります。
正しい手順を踏めば体は柔らかくなる
例えば、バレリーナのような前後開脚。モデルの完成形を見て、すぐに真似しようと思っても、ほとんどの人はできません。山登りと同じで、一歩一歩、手順を踏まなければ頂上には辿り着けないのです。
ただ、最初の一歩をどうすればいいのか、教えてくれる人はほとんどいませんし、学校でも習いません。
今回ご紹介するのは、その一歩目のストレッチです。まずは、魔法のストレッチから始めて、マイペースに続けていけば、体は必ず柔軟になります。
何歳になっても体が変わるという体験はうれしいもの。皆さんも魔法のストレッチをお試しください。
《50代女性記者の前屈が15cm改善!》
「魔法のストレッチ」のよく効くやり方
●1日1回やればOK。2〜3日に1回でもかまわない
●朝昼晩、いつやってもかまわない。お風呂上がりにやると筋肉が伸びやすい
●ストレッチの前後に前屈をして、変化を比べてみよう
❶両足をゲンコツ2個分あけて立つ。つま先は前向きに
❷屈んで手を前におく。このとき、かかとを床から指2、3本分だけ浮かせる。ひざは前向きに
❸かかとを指2、3本分浮かせたまま、頭を前に傾ける。この姿勢を30〜60秒続ける
❹ひざ裏をよく伸ばして終わり
×ひざが横に開いている×
ひざは閉じ、前に向ける
×お尻が浮いている×
お尻(腰)は下げる。足首が硬い人はこうなりやすい。つらい場合は、下げられるところまででかまわない
【ストレッチ効果を高めるコツ】
太ももの裏から座骨のあたりを、ふくらはぎの裏でポンポンと弾ませるように、リズムよく30回上下させてみよう。このときも、かかとは床から指2、3本分浮かせたまま
なお、黒田美帆さん、大村佳子さんの著書『魔法のストレッチ』(マキノ出版)は、2020年5月28日発売予定です。詳細は下記のリンクよりご覧ください。
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