高血圧の原因“ストレス”をまず解消!精神科医のおすすめは「感情日記」を書くこと

美容・ヘルスケア

「感情日記」に書くのは「現在や過去のつらい出来事と、そのときに感じた悲しみや心の痛みなどネガティブな感情」です。ストレスは万病のもとといいますが、高血圧はその最たるもの。ネガティブな感情を日記に書くことでそのストレスを解消できるのです。【解説】最上悠(精神科医・医学博士)

解説者のプロフィール

最上悠(もがみ・ゆう)
精神科医。医学博士。臨床での治療のほか、多方面の研究活動にも関わっている。職場、企業へのメンタルケアコンサルタントとしても活躍中。研修セミナーなども開催している。

長期にわたるストレスは慢性的な高血圧を招く

薬を飲み、食事や運動にも気をつけているのに、血圧が下がらない……。そんな悩みを抱えているかたに特にお勧めしたいのが、日記を書くことです。

日記というと日々の出来事をつづるイメージがありますが、私が患者さんに実践してもらっている「感情日記」は、一般的な日記とは異なります。感情筆記と呼ばれることも多く、決して毎日書く必要はありません。

感情日記に書くのは、「現在や過去のつらい出来事と、そのときに感じた悲しみや心の痛みなどネガティブな感情」です。

ストレスは万病のもとといいますが、高血圧はその最たるもの。そのストレスが、ネガティブな感情を日記に書くことで、解消できるのです。

血圧の調整にかかわっているのは自律神経です。自律神経は内臓や血管を調整している神経で、交感神経と副交感神経がバランスを取り合って働いています。

親しい人との別れ、けんかなどで生じた悲しみや怒り、不安はストレスとなり、交感神経を刺激します。

交感神経は、心臓の拍動を増やし、血管を収縮させる働きがあるため、血圧が上がります。ストレスが一過性のものなら、交感神経の興奮は続かず、血圧もすぐに正常になります。

ところが、長期にわたり、適切に処理されないままストレスを抱え続けると、交感神経の興奮が治まらず、慢性的に血圧が高くなってしまうのです。

人間、生きていればストレスは避けられません。つらい出来事を経験して、感じる悲しみなどの苦痛感情は、動物の本能的な感情(一次感情)であり、イヌやネコも感じるものです。

ネガティブな苦痛感情に向き合うのはつらいことです。しかし、感じ切ることで、やがて悲しさは消えていきます。

例えば、失恋して、号泣すると、悲しみを感じる過程で感情が解放され、ストレスは解消に向かいます。結果、自律神経の乱れも治まり、血圧も自然と下がります。

問題は、あまりにつら過ぎて、心の奥底にある悲しみを感じまいとふたをした場合です

感情が解放されず、イライラや恨み、嫉妬、屈辱、罪悪感や自己嫌悪など、さまざまな感情が心の表層に積もっていきます。

これは、人間の心が作り出す人工的な感情(二次感情)で、ほかの動物にはないものです。怒りや不安などがふくらむと、ストレスとなって、血圧を上げる原因になります。

ネガティブを吐き出そう

薬で下がらなかった血圧が3週間で正常化!

心の奥底にある感情を解放するには、家族や友達に話を聞いてもらうといいのですが、「人に聞かせたくない」「話す相手がいない」ということもあるでしょう。

そこで、感情日記の出番です。

思いのたけを書き出して、抑え込んでいた苦痛感情を解放すれば、自律神経のバランスが整い、血圧も下がります。実際に、患者さんに日記を書いてもらったところ、血圧が下がるケースが何例も見られました。

大動脈解離を起こしたAさん(50代・男性)も、その一人です。大動脈解離は、体内でいちばん太い大動脈が破裂してしまう、命にかかわる病気です。

術後、Aさんは再発を防ぐために高血圧を改善する必要がありました。ところが薬が効かず、最大血圧は170mmHgありました。

私は、Aさんに感情日記を書くことをお勧めしました。すると、日記を書き始めて3週間後、Aさんの最大血圧は100mmHg台前半まで下がりました。

自分自身への不安や悲しみから、イライラしてしまっていたことに気づけたようです。書きながら、自身の深い感情に触れることができれば、心も楽になります。

では、効果的な日記の書き方をご紹介します。

前提として、感情日記は、プライバシーが守られた環境で書きましょう。日記帳に限らず、お気に入りのノート、パソコンやスマートフォンなど好みの物に書いてかまいません。

自分のために書くので、誤字脱字、文法などは気にせず自由に表現してください。

感情日記の目的は、心の奥底にある悲しさや心の痛みを感じることです。つらかった出来事、心の傷になっていることなど、ネガティブなテーマを選び、できるだけ具体的に書きましょう。同じテーマが続いてもかまいません。

出来事についてつづるとき、悲しかった、つらかったなど、そのときに感じた感情と、なぜそう感じたのかも考えて書いてください。

例えば、「家事を手伝わない夫に腹が立つ」は表層にある感情です。さらに奥にある、「優しくしてほしいのに、悲しい」という、深い感情まで掘り下げられると効果的です。

日記を書いていて、感情が高ぶっても心配はいりません。深い感情に触れているサインと受け止めましょう。

感情日記は、短期間でも効果がありますが、長く続けるほど病気の改善・予防に役立ちます。週に1~3日、1日15~20分が目安です。

気分がのっても時間は守ってください。一度にたくさん書いて、あとが続かなくなるのはよくありません。

感情日記は、欧米の臨床試験でも効果が示されており、薬との併用も可能です。しかし、現在通院されているかたは、薬を含めた治療をどうするか、主治医の指示に従ってください。自己判断は禁物です

この記事は『壮快』2019年4月号に掲載されています。

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