歯の痛みを緩和する「足の反射療法」のやり方 福岡歯科が治療にフットケアを取り入れる理由

美容・ヘルスケア

歯の反射区は足指にあります。上あごの歯は指の先にあり、下あごの歯は指の付け根にあります。歯が痛いと必ずこれらの足の指のどこかに反応が出ます。誰にでもできる簡単な足の反射療法なので、歯の痛いとき、痛いけれど歯医者に行けないときなどにお試しください。【解説】福岡博史(福岡歯科理事長・医学博士)

解説者のプロフィール

福岡博史(ふくおか・ひろし)
福岡歯科理事長。医学博士。昭和58年東京歯科大学卒業。「歯科統合医療」のパイオニアである先代の福岡明氏の意思を継いで、歯科治療に東洋医学などの伝統医療を取り入れ、患者の痛みや恐怖心を和らげるなど、効果を上げている。

40年以上前から治療に東洋医学を導入

歯科治療は痛い、怖い。そう思っている人は、多いのではないでしょうか。当院は、歯の痛み、歯科治療の痛みや恐怖を和らげるために、父の代から40年以上にわたって、東洋医学を歯科に応用してきました。

35年ほど前からは、足の反射療法を取り入れました。

足には、全身のあらゆる臓器とつながっている反射区があります。この反射区を刺激して血流をよくし、悪いところを改善するというのが、反射療法です。

たとえば歯が痛いときは、足裏の歯の反射区に異常が現れます。したがってそこをよくもむと、歯の痛みが軽くなってくるのです。

しかし当時は現在のように反射療法が知られておらず、当院に勤める歯科医やスタッフも、その効果に懐疑的でした。そこで、足をもむとどれだけ歯の痛みが緩和するか、データを取ってみました。

すると「著効」10%、「有効」63%、「無効」27%と、約75%の人が、歯の痛みに効果があると答えたのです。

そのときに行った足の反射療法は、片足7分ずつ、両足でも15分ほどで終わる簡単なものでした。歯科に応用するには、短時間で効果を出す必要があったのです。

しかも、当時はまだリフレクソロジー(足の反射区療法)は一般的ではなかったため、当院のスタッフが行いました。それでも、これだけ高い効果が出たのです。

当時の足の反射療法のやり方をご紹介しましょう(やり方は下の図を参照)。

歯の反射区は、足指にあります。上あごの歯は第1指(親指)から第5指までの指の先にあり、下あごの歯は指の付け根にあります。歯が痛いと、必ずこれらの足の指のどこかに反応が出ます。

誰にでもできる簡単な足の反射療法なので、歯の痛いとき、痛いけれど歯医者に行けないときなどに、お試しください。

福岡歯科が勧める歯が痛いときの足の反射療法のやり方

足の裏側から足の指を1本ずつ回す。痛むところがあったら、そこを2分間強くもむ。

全部の歯を投影している第1指をもむ。

上部リンパ腺(首や肩)の反射区である指と指の間のつけ根を2分間もむ。

足の裏の真ん中にある腎臓の反射区を2分間もむ。

95%の患者さんが有効性を確認

その後、世間でもリフレクソロジーが大ブームになり、当院でも、さらに本格的に足の反射療法に取り組むようになりました。専門の施術者をおき、歯科の外科手術の前に足の反射療法を行うようになったのです。

外科手術の前は、どんな患者さんでも少なからず緊張します。緊張すると、自律神経のうちの交感神経(活動時に活発になる神経)が優位になり、筋肉が硬くなって、肩や首もこっています。術後、痛みや腫れの強い人は、たいてい術前の緊張の強い人です。

そこで、手術の前に足の裏をもんで、副交感神経(リラックス時に働く神経)を優位にして全身の緊張を和らげます。

その上で肩や首をもんでこりを取り、リラックスした状態で手術に臨んでいただきます。すると、明らかに術後の腫れや痛みが抑えられたのです。

データもあります。術前に足の反射療法と首と肩のマッサージを30分ずつ受けた患者さん約260人を調べたところ、術後の痛みと腫れに対して95%のかたに効果があり、「著効」は8割を超えました。また86%のかたが、治療に対して「満足」と答えています。

通常、手術のときは、麻酔が切れた後に痛みが出ないように、術前に鎮痛剤を飲みます。術後も引き続き薬を飲む人が多いですが、術前に足の反射療法をすると、術後の薬がほとんど不要になります。術前の足の反射療法は、鎮痛剤よりはるかに予後をよくするのです。

ちなみに当院では、足の反射療法からさらに進化して、現在、フットケアにも力を入れています。

嚙み合わせは姿勢と関係が深く、嚙み合わせの悪い人は姿勢もくずれています。その姿勢のくずれは、足から始まります。足指がしっかり地面に着いておらず、足の裏に正しく重心がかかっていないと、体のバランスがくずれて嚙み合わせまで悪くなるのです。

どんなに口の中の治療をしても、よくならない人がいます。こういう人は、地面に着いている土台(足)から治さないと、正しい嚙み合わせを作れません。そこでフットケアをして、姿勢から治していくのです。

足と口は遠く離れていて、一見、関係なさそうに見えます。しかし歯科治療においても、足のケアはとても大事なのです。

この記事は『安心』2019年5月号に掲載されています。

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