先日、ティファールの「ウォッシャブル電気ケトル」の気持ち良さをレポートしました。電気ケトルは、湯を効率よく沸かすのが一番の機能ですが、今は全メーカー、そんなことは出来ている時代。むしろ、「それに加えて」をどう考えるのかの時代です。そんな中、タイガー魔法瓶は、新しい挑戦を始めています。今回は五月蠅(うるさ)くないミキサーをレポートします。
悩ましい動作音
ミキサー。
「スムージー」がかなり一般化しましたので、どこの家庭にも一台はあると思います。大変便利な家電。何でも粉々にしながら混ぜてしまいます。
ここで取り上げたいのは、「非日常」ともいえるミキサーの動作音です。
昼間はどうってことないのですが、夜中、人が寝静まってからとか、朝起きた時などは抵抗ありますね。ドキッとするほど大きな音がキッチンにこだまするわけですから。心臓に良くありません。ミキサーを使う気が、一気に失せるほどです。
タイガー魔法瓶が、6月21日に発売するミキサー「SKT-A100 / SKR-V250」は、この音を低減することを主眼に作られました。
騒音へのアプローチ
対騒音には、幾つかのパターンがあります。
一番分かりやすいのは、完全なカバーをかけることです。
海外の業務用機で、時々そうしたモノを見かけます。それでも音はかなりのモノ。お願いしてカバーを外して動作させてもらうと、そこは工事現場ですね。
声を出しても伝わらない。対応してくれた女性が「だからね。」とウィンクしてくれた位です。
カバーを付けるのは、本体を変えないことです。では、本体を変えるとすると何ができるのか?
一つは、全てを吟味して「無音化」させることです。
例えば、音を吸収する素材に変えるなどです。
しかし、これにも限界があります。実は、ミキシングという行為は、材料がミキシングカップの壁にぶつかることが前提に作られているからです。要するに、ミキシングという行為自体、音を伴うことが当たり前なのです。となると「無音化」は、果てしなく遠い道と言うことです。
では、他にないのか。
あります。音を感じさせなくするのです。
人は「低い音」と「高い音」だと、高い音に反応します。
「低周波は人体に悪い」という記事を読まれた方もいらっしゃるかもしれませんが、過度な場合は、低周波だろうが高周波だろうが、人体に影響がでます。
高周波の場合、人はそれと分かりますので、音源から逃げるなりして対応しますが、しかし低周波の場合は、人が認知しにくい。いつの間にか、体が壊れてしまうというわけです。
今回タイガー魔法瓶が眼を付けたのが、高域の音をできる限りカットする、という方法です。
タイガー TIGER
ミキサー ミスティホワイト
SKT-A100-WM
- Amazonで詳細を見る
- 楽天市場で詳細を見る
- Yahoo!ショッピングで見る
リブをなくし、渦を再設計
ミキシングカップの壁面には「リブ」と呼ばれる垂直方向への突起が、4〜5本あります。
ミキサーカップの素材は遠心力で外へ外へ移動するのですが、このリブでより早く底から上に移動します。カップ内の素材を上手く撹拌するための仕様です。
しかし、ぶつかるということは、音が出ると言うことです。しかも、耳障りな高音の大半は、このリブから発生するそうです。
タイガーは思い切りよく、このリブを無くしました。そして、渦ですが、いろいろ工夫を重ね、垂直に立ち上げる柱のような渦を作り上げました。非常に美しい空気の柱です。
この静音性で、モーターもより強靱なモノ(=音が大きい)が使用できます。
このタイガーのミキサーSKT-A100は、アイスキューブ(氷)はもとより、アボガドの種などでも楽にカットします。
カップは、トライタン樹脂(コポリエステル樹脂)を採用。安全性と強靱さを兼ね備えたいい樹脂(=ちょっと値が張る)、リブなしのカップをもり立てます。
その効果は、ラウドネスで実証
可聴域にある音は同じ周波数であれば、音圧が大きいほど大きな音として人は認識します。
このため、その音圧レベルで音を計るのが一般的で、dB(デシベル)で表されます。いわゆる「騒音レベル」と言われるモノです。
しかし、今回、タイガーは、より人に近い感じで検証しています。
それが音の大きさ、ラウドネス:loudnessです。これは人の聴覚が感じる音の強さであり、感覚量(心理量)を表します。
従来モデルのSKS-G型は、騒音レベル:約76dB。ラウドネス:36SONE。
これに対し、SKT-A型は、騒音レベル:66dB。ラウドネス:20SONE。
これは、音は弱まったとは言え、まだ出ているのですが、耳障りが少なくなったことを意味します。
実際、ぐっと低めの音になっています。私には、遠くで熊蜂が飛んでいるように聞こえます。
音に気を使った、タイガー魔法瓶のミキサー SKT-A100 / SKR-V250。早朝、深夜の台所仕事に欠かせない存在になりそうです。
◆多賀一晃(生活家電.com主宰)
企画とユーザーをつなぐ商品企画コンサルティング ポップ-アップ・プランニング・オ
フィス代表。また米・食味鑑定士の資格を所有。オーディオ・ビデオ関連の開発経験があ
り、理論的だけでなく、官能評価も得意。趣味は、東京歴史散歩とラーメンの食べ歩き。