【麹甘酒】便秘改善やLDLコレステロールを下げる成分「プロラミン」が多く含まれると判明!飲み方は1日1杯が適量

美容・ヘルスケア

こうじ甘酒をとると、腸内環境の改善や肥満抑制の効果など、多くの効果が経験的にあるとされてきただけで、学術的な検証は少ないのが現状でした。私たちの研究グループは、米のたんぱく質成分の一つである「プロラミン」に着目し、研究を行いました。【解説】尾関健二(金沢工業大学バイオ・化学部教授)

解説者のプロフィール

尾関健二(おぜき・けんじ)
金沢工業大学バイオ・化学部教授。農学博士。ゲノム生物工学研究所研究員。岐阜大学大学院農学研究科修士課程(農芸化学)修了。大関酒造入社後、醸造資源研究所出向、築野食品工業企画開発室テクニカルアドバイザーなどを経て現職。専門はこうじ菌や酵母などの発酵・酵素利用、発酵微生物の分子育種、機能性食品・化粧品素材の開発など。

米こうじと米で作られた物に有効成分が多かった

私は、長年にわたり、こうじ菌の研究を行っています。こうじ菌は、しょうゆ、みそ、酢、漬物、日本酒など、日本の発酵食品を古くから支えている「国菌」です。国菌とは、日本を代表する物として選ばれた菌を指します。

なかでも、米こうじから作られる「こうじ甘酒(生甘酒)」は、ここ最近、一躍大ブームとなりました。これだけ甘酒が定着したのは、やはり、その健康効果に注目が集まったからでしょう。

こうじ甘酒をとると、腸内環境の改善や肥満抑制の効果など、多くの効果があるといわれています。しかし、それらの効果は、経験的にあるとされてきただけで、学術的な検証は少ないのが現状でした。

そこで、私たちの研究グループは、米のたんぱく質成分の一つである「プロラミン」に着目し、研究を行いました。

プロラミンとは、消化・吸収されにくい「レジスタントプロテイン」と呼ばれる、難消化性たんぱく質の一種です。食物繊維に近い機能を持ち、便秘改善やコレステロールの排出促進、肥満抑制などの効果がわかっています。

このプロラミンが、市販の甘酒にどれくらい含まれているかを調べました。調査対象は、市販されている14種類の甘酒です。

それぞれの甘酒を、遠心分離機にかけて、上澄み液と、沈殿物に分けて分析しました。すると、14種類の甘酒すべてから、プロラミンが検出されたのです。これは、世界で初めて学術的に実証された研究成果です。

すべての甘酒に肥満抑制成分が含まれていると判明!

また、製造法などの違いで、含有量は異なりました。最も含有量が多かったのは、「米こうじと米」で作られた甘酒でした。以下順に、「米こうじと酒かす」から作られる甘酒、「酒かすのみ」から作られる甘酒、「米こうじのみ」から作られる甘酒、となりました。

このデータから考えると、米こうじと米で作られる甘酒と、米こうじのみで作られる甘酒を比べると、プロラミン含有量の観点では、米こうじと米で作られる甘酒のほうが有用と考えられます。

以前、NHKのある番組で、プロラミンのサプリメントを摂取する臨床研究を行ったことがあります。このときは、4週間、被検者にサプリメントが投与されました。その結果、LDL(悪玉)コレステロールが大きく下がるという結果が得られました。

この点からも、プロラミンが、こうじ甘酒の数ある健康効果のうちの一つを担っていることは間違いありません。

手作りならさらに酵素も補える!

また、ヒトに対して、便秘改善やコレステロールの排出促進、肥満抑制などの健康効果を発揮するプロラミン含有量は、113mg/日とされています。今回調べた甘酒に含まれているプロラミンの含有量は、いずれも100mgを超えていました。

これらのことから換算すると、米こうじと米から作られる甘酒を、1日コップ1杯分(約150ml)とれば、健康効果をもたらすに十分なプロラミンを摂取できると考えられます。

さらに、こうじ菌は、でんぷんをブドウ糖に分解するアミラーゼや、たんぱく質をアミノ酸に分解するプロテアーゼなどの酵素が豊富です。手作りのこうじ甘酒であれば、これらの酵素の活性が失われないまま体に取り入れられるため、栄養の消化・吸収を助ける効果も期待できるでしょう。

なお、プロラミンは、機能性成分であるため、とり過ぎて害になるということはありません。しかし、いくらこうじ甘酒が体によいといっても、何杯も摂取すれば糖質の過剰摂取になり、かえって体に悪影響を及ぼしかねません。

摂取量については、健康な人でも、やはり1日にコップ1杯程度にとどめておくのが安心・安全です。

今回、甘酒に含まれるプロラミンの存在が明らかになりましたが、今後も、研究の進展によって、さらにこうじ菌の健康効果が明らかにされていくことでしょう。

皆さんもぜひ、こうじ甘酒をはじめとした発酵食品をとり、毎日の健康維持に役立ててください。

この記事は『壮快』2019年6月号に掲載されています。

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