全身の栄養状態を正さなければ、痛みやコリは解消されません。重要なのは筋肉をつけるための栄養をしっかりとることなのです。筋肉の主原料は肉などのたんぱく質です。また、いい骨を作るためにも、コラーゲン、つまりたんぱく質が非常に重要なのです。【解説】大友通明(大友外科整形外科理事長)

解説者のプロフィール

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大友通明(おおとも・みちあき)
大友外科整形外科理事長。医学博士。日本整形外科学会認定整形外科専門医、脊椎脊髄病医。東京医科大学医学部卒業後、同大整形外科学教室に入局。東京医科大学八王子医療センターをはじめ、日本各地の病院で臨床経験を積み、現職。整形外科に栄養療法を取り入れた「栄養整形医学」を実践。地域のかかりつけ医として診療に当たっている。著書に『骨と筋肉が若返る食べ方』(青春出版社)がある。

栄養状態を正さなければ痛みやコリは解消されない

皆さんは、「健康のことを思えば、肉はあまり食べないほうがいい」「野菜をよく食べれば健康になれる」などとお考えではないでしょうか。これは、大きな間違いだとはっきり断言できます。

特にご高齢のかたは、肉=悪、野菜=善と考えがちです。さらに、お一人暮らしのケースだと、料理がめんどうだという理由から、簡単な惣菜などで済ませる傾向にあります。

その結果、調理パン、丼物、焼きそば、うどん、パスタなどが中心になります。これらの食事に共通するのは、圧倒的に糖質が多いことです。

糖質とは、炭水化物から食物繊維を取り除いた部分のことです。糖質のとり過ぎは、「糖化」という体内のたんぱく質の変性を引き起こします。すると、たんぱく質で構成されている骨や筋肉で糖化が起こります。骨はもろくなり、筋肉は衰えていくのです。

しかも、野菜ばかりで肉を食べないため、たんぱく質が圧倒的に不足します。こうした食事を続けたご高齢のかたの筋肉は、極端にやせ細っています。

そして、どんどん筋力が落ちて体が支えられなくなるため、関節に負担がかかって股関節痛が起こってくるのです。

したがって、全身での栄養状態を正さなければ、痛みやコリは解消されません。重要なのは、筋肉をつけるための栄養をしっかりとることなのです。

しっかりした骨を作るにもたんぱく質が必要!

私は、患者さんの血液検査をする際、日ごろの食生活について詳しくお聞きします。血液の状態と食事の内容から、栄養状態が悪いと判明した場合、不足した栄養を積極的に摂取するようお願いしています。

そこで、最も必要とされるのが、肉です。野菜でも、糖質でもなく肉なのです。くり返しますが、筋肉の主原料は肉などのたんぱく質です。「魚ではダメなの?」と思われるかもしれませんが、効率的なたんぱく質の摂取源としては、魚よりも肉のほうが優れています。

さらに、しっかりした骨を作るためにも、たんぱく質が重要です。骨の原料はカルシウムであることはよくご存じでしょうが、実は、それだけではありません。コラーゲンが非常に重要なのです。

骨の構造は、鉄筋コンクリートの建物に似ています。鉄筋コンクリートの構造は、鉄筋の骨組みがあり、その上をコンクリートが覆っています。

骨でいえば、コンクリートの部分に当たるのがカルシウムで、鉄筋部分に当たるのがコラーゲンです。つまり、鉄筋コンクリートでも、鉄筋部分が弱くなっていると、構造全体が崩れてしまいます。

骨もそれと同じです。コラーゲンの部分が不十分だと、骨の強度も弱くなってしまう恐れがあります。

そのコラーゲンが何からできているかといえば、「たんぱく質」+「鉄」+「ビタミンC」です。つまり、いい骨を作るためにも、たんぱく質が必要ということになります。

鳥ガラスープを飲めばコラーゲンも補給できる

私は患者さんに、赤身の肉を食べることをお勧めしています。赤身の肉は、鉄分を多く含んでいるからです。

食材でいえば、牛肉、羊肉、馬肉、イノシシ肉、シカ肉、キジ肉、ダチョウ肉がお勧めです。しかしこれらの肉は、高価だったり入手が困難だったりします。

そこで、特にお勧めなのが鶏肉です。鶏肉については、モモ肉や胸肉だけでなく、レバー、ハツ、砂肝などさまざまな部位を食べるとよいでしょう。 

また、鳥ガラで作ったスープもお勧めです。骨つきの物をじっくり煮込んだスープを飲めば、それこそ重要なコラーゲンをたっぷりと補給するのに役立つはずです。 

いろいろな種類の焼き鳥を食べ、鳥ガラスープを飲めば、鳥を丸ごと摂取できることになるわけで、まさに「完全食」といっても過言ではありません。

一見遠回りでも、今日食べた物が明日の体をつくる

実は、私自身、長い間ひどい肩こりと腰痛に悩んできました。整形外科医でありながら、自分が抱える症状を治せなかったのです。考えられる整形外科的な治療は、すべてやってみました。お恥ずかしい話ですが、それでも治すことができませんでした。

そこで、「分子栄養学」という違う視点から考えたとき、初めて手がかりがつかめました。

私は、若いときからひどい糖質過多の食生活を送ってきました。それこそが、私の体調不良の大きな原因だったと気づいたのです。

大きく食生活を改善した結果、肩こりも腰痛も、みごとに解消できました。たんぱく質と鉄分を豊富に含んだ鶏肉のレバー、ハツ、砂肝を日ごろから摂取したことが奏功したのです。

この体験をきっかけに治療に取り入れ、患者さんに推奨しているのが「栄養整形医学」です。多くの患者さんが、食事の改善に取り組んだところ、股関節痛をはじめとする多くの症状が次々と治り始めたのです。

今日食べた物が、明日の体をつくります。一見、遠回りだと思われるかもしれません。しかし、私の提案する鶏肉健康法は、治すことが難しい股関節の痛みを改善するうえで、非常に有効なのです。

画像: この記事は『壮快』2019年6月号に掲載されています。

この記事は『壮快』2019年6月号に掲載されています。

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