高麗手指鍼は、体の不調に対応した手指のゾーンに、鍼やお灸で弱い刺激を与え、全身の臓器の血流と自己治癒力を引き上げ、体を「本来あるべき姿」へと戻していきます。手の刺激を行う目安は1日2回程度。子どもから高齢者までどんな人でも手軽に行えます。【解説】小松隆央(こまつ鍼灸院院長)

解説者のプロフィール

画像: 解説者のプロフィール

小松隆央(こまつ・たかお)
こまつ鍼灸院院長。東京高麗手指鍼・小松式高麗手指鍼・小松式複合治療各研究会代表。1956年、大阪府生まれ。93年、東洋鍼灸専門学校を卒業し、鍼師・灸師免許、あんま・指圧マッサージ免許を取得。2003年、東京柔道整復専門学校を卒業し、柔道整復師免許を取得。この間、高麗手指鍼の第一人者・金成萬先生が主宰する「道鉉会第5期高麗手指鍼学術セミナー」(95年)を受講。以来、日本における高麗手指鍼の普及活動に邁進。内臓疾患に特化した独自の治療法「小松式高麗手指鍼」を確立するなど、多くの成果を上げている。日本高麗手指鍼学会幹事。

手や指への刺激が内臓に伝わる

私の鍼灸院では、「高麗手指鍼」を用いて22年で延べ10万人以上を治療してきました。地元からの患者さんは3%未満。北海道から沖縄まで全国から、9歳~91歳の患者さんが来院されています。

治療の中心は、現代医学では治療の手立てがないとされる腎臓の不調。それから、頸椎(背骨の首の部分)の老化や変形による首・肩・背中の激痛や手足のしびれなどです。

高麗手指鍼は、1975年に韓国の柳泰佑先生が創案した鍼療法です。柳先生は、両手と手の指に全身すべての臓器に相応する点が存在することを発見されました。高麗手指鍼では、病気や不調に対応した手指の相応点に鍼を刺します。

高麗手指鍼のすごいところは、手指だけへの施術で、体の深部にある内臓の不調にもアプローチできる点です。

私は長年、体に鍼を刺す一般的な鍼灸治療を手がけてきましたが、内臓疾患については限界を感じていました。しかし1995年、高麗手指鍼と出合い、驚くほどの効果を目の当たりにして以来、手指への鍼灸治療をメインに施術をするようになりました。

高麗手指鍼は、体の不調に対応した手指のゾーンに、鍼やお灸で弱い刺激を与え、全身の臓器の血流と自己治癒力を引き上げ、体を「本来あるべき姿」へと戻していきます。

手指を刺激すると、足先から全身がポカポカと温かくなり、内臓の血流量や温度も上がり、炎症も治まっていきます。効果は人によって違いますが、1回正しく刺激すると、半日から1日は回復力が作動し、よい状態が続くと考えていいでしょう。

原因不明の神経疾患も劇的回復!

画像: 《血流がよくなり自然治癒力が上がる!》 手の刺激で体温が上がった 手の刺激を行って30分後、顔や、内臓の温度が上がっているのが確認される。血流がよくなり、冷えていた部位が温まると、自然治癒力も高まる

《血流がよくなり自然治癒力が上がる!》

手の刺激で体温が上がった
手の刺激を行って30分後、顔や、内臓の温度が上がっているのが確認される。血流がよくなり、冷えていた部位が温まると、自然治癒力も高まる

高麗手指鍼は、一般の鍼灸治療では難しい内臓の不調を得意とします。そのほか、うつや不眠などの精神的な不調、神経疾患、自律神経失調症、更年期障害、婦人科系疾患、アトピー性皮膚炎など、回復が難しいとされる症状にも非常に効果があります。

また生活習慣病にも有効で、高血圧のかたの血圧がその場で10mmHgくらい下がったり、心拍数が落ち着いたりなど、即効性にも優れています。

私が治療したケースで、近年、強く印象に残っているのは、筋痛性脳脊髄炎(原因不明の強い全身疲労感が続く中枢神経系の病気)に苦しんできた40代の女性患者さんです。

その患者さんは衰弱が進んで歩くこともできず、寝たきり状態で30kgまで体重が落ちていました。しかし、高麗手指鍼の治療を週2~3回のペースで続けたところ、2年後には自力で歩けるまでに回復したのです。

本場・韓国での実践者は300万人にものぼる

高麗手指鍼は、手と指への刺激だけで全身の不調を改善できるので、自分で手軽にできるセルフケア法としても有用です。

実は高麗手指鍼の本場・韓国では、一般のかたたちのセルフケア法として広く根づいています。約300万人もの人が自分自身や家族の健康管理のために、手や指を刺激しているのです。

薬や道具がなくても、自分の指さえあれば、不調に即座に対処できます。例えば、めまいや耳鳴りが起きたら、中指の爪の両わきを挟み込むようにもむと、しばらくすると症状が和らぐはずです。鼻水や鼻づまりのときは、中指の腹の中心にある鼻のゾーンを爪を立てるように刺激するのがお勧めです。

私自身も、目が疲れたとき、ひざが痛いとき、急に足がつったときなどに、自分で手を刺激します。1~2分で症状が治まり、体が楽になるので助かっています。 

「手の刺激」の詳しいやり方は下項で説明しますが、「軽く爪を立てるようにもむ」「つまようじのお尻で押す」「お灸をする」のいずれかの方法がお勧めです。

まずは指や爪で刺激してみて、効果を実感したら、次はつまようじ、次はお灸、とステップアップしていくとよいでしょう。

まず、下項の『手の治療地図』で自分の症状に対応する手指のゾーンを確認し、そのゾーンを全体的に刺激しながら特に痛いポイントを探し、そこを重点的に刺激します。痛い場所を探すうちに不調が改善することも少なくありません。

一目でわかる!「手の治療地図」

手のひらが体の前面、手の甲が背面に対応する。また手のひらには、肺、心臓、胃腸、肝臓、腎臓、生殖器、膀胱など全身の内臓に対応するゾーン(相応点)も集まる。5本の指は、中指が頭から首に対応し、人さし指と薬指が両腕、親指と小指が両脚に対応する。

左右の手どちらかでよいので、病気や不調のある体の部分に対応した手指のゾーンを刺激すると、その刺激が体にダイレクトに伝わり、自然治癒力を引き出して、病気や不調を改善に導く。

手のひらのゾーン
※主に脳・顔の部位・内臓の不調に対応

画像1: 【手もみの治療地図】痛い部分を「集中的」に揉んで心身の不調を改善!

手の甲のゾーン
※主に首・背中・腕・脚の不調に対応

画像2: 【手もみの治療地図】痛い部分を「集中的」に揉んで心身の不調を改善!

手と全身の左右の関係

画像3: 【手もみの治療地図】痛い部分を「集中的」に揉んで心身の不調を改善!

病気・症状と手のゾーンの対応リスト
(50音順)

足首痛…足首(手の甲)
イライラ…中指~手首のライン全体(手のひら)
胃炎…胃(手のひら)
うつ…中指~手首のライン全体(手のひら)
肩こり…肩(手の甲)
眼精疲労…目(手のひら)
ぎっくり腰…腰椎(手の甲)
首こり…頸椎(手の甲)
頸椎症…頸椎(手の甲)
腱鞘炎…手首(手の甲)
高血圧…中指~手首のライン全体(手のひら)
高血糖…すい臓(手のひら)
更年期障害…子宮・卵巣(手のひら)
股関節痛…股関節(手の甲)
子宮筋腫…子宮・卵巣(手のひら)
子宮内膜症…子宮・卵巣(手のひら)
自律神経失調症…中指~手首のライン全体(手のひら)
腎不全…腎臓(手のひら)
頭痛…中指先端
ストレス…中指~手首のライン全体(手のひら)

生理痛…子宮・卵巣(手のひら)
背中の痛み…背中(手の甲)
動悸…心臓(手のひら)
認知症…中指~手首のライン全体(手のひら)
寝違え…頸椎(手の甲)
のどの不調…のど(手のひら)
PMS…子宮・卵巣(手のひら)
鼻炎…鼻(手のひら)
ひざ痛…ひざ(手の甲)
ひじ痛…ひじ(手の甲)
頻尿…膀胱・輸尿管(手のひら)
不安症…中指~手首のライン全体(手のひら)
不整脈…心臓(手のひら)
不眠…中指~手首のライン全体(手のひら)
便秘…大腸(手のひら)
耳鳴り…中指~手首のライン全体(手のひら)
むち打ち…頸椎(手の甲)
めまい…中指~手首のライン全体(手のひら)
腰痛…腰椎(手の甲)
老眼…目(手のひら)

「手もみ」のやり方

頸椎症・腰痛・肩こりなどの痛み系の症状は手の甲を刺激します。目・耳・鼻・のどなどの顔の中のパーツ、それから内臓にかかわる不調は手のひらを刺激します。脳や神経に関わる症状は、中指全体を緩めてから、中指から手首にかけてのラインを手のひら側から刺激します。

【基本ポイント】
左右どちらか一方でもよいが、両手を刺激するとより効果的
手の刺激を行う目安は1日2回程度。症状が現れたときに1回と、寝る前にもう1回行うのが基本
1回は1~2分程度にとどめ、痛ければ途中で小休止をはさむ

手法① 症状のある箇所に対応する部位を刺激する

❶特に痛い点を探す
体の悪い部分に対応する手指のポイントには、ほかとは違う「異質な痛み」があります。爪を軽く立てたり、つまようじのお尻で押すなどして、症状のある箇所に対応する手指のゾーンをくまなく刺激して、特に痛い点を探します。

❷痛い点を集中的に刺激する
特に痛い点が見つかったら、そこを集中的に刺激します。皮膚を傷つけたり、出血したりするほど強い刺激は禁物です。

画像4: 【手もみの治療地図】痛い部分を「集中的」に揉んで心身の不調を改善!

手法② 中指から手首にかけて一直線に刺激する
中指から手のひらの中央を走るラインは、人体では脳から首、背骨、腰までの体の中心ゾーンに対応します。このラインをまんべんなく刺激すると、高血圧や、うつ・不安、不眠、イライラなどの脳の不調、自律神経失調症に効果があります。

【準備】指全体を緩める
中指を包み込むようにやさしく刺激します。脳から首、胸のあたりまでを緩めるイメージです。

画像5: 【手もみの治療地図】痛い部分を「集中的」に揉んで心身の不調を改善!

◎中指~手首のラインをていねいに刺激する
中指の先端、腹や爪の両わき、各関節の周囲をじゅうぶんに刺激したら、手のひらの中央ラインを手首へと一直線に刺激していきます。全部で1~2分程度が目安です

画像6: 【手もみの治療地図】痛い部分を「集中的」に揉んで心身の不調を改善!

意外と簡単!安価!優れた効果を発揮する「お灸」もお勧め

最近はドラッグストアなどで、肌にシールで貼るタイプのお灸が手に入る(80個入りで1000円程度など *編集部調べ)。お灸は痛みがなく、じんわり温かい温熱刺激を持続的に与えられるのがメリット。下写真のように「中指の先端・第2関節・手のひらの中心・手首」の4カ所に並べると、脳や神経の不調、首・腰の痛みへの効果が即実感できるはずです(※)。もちろん、気になる症状と対応する箇所に置くのもOKです

画像: ※もっと本格的に行う場合は、「中指の先端・第1・第2・第3関節、手のひらの中心とその間・手首」の8カ所に一直線に並べる

※もっと本格的に行う場合は、「中指の先端・第1・第2・第3関節、手のひらの中心とその間・手首」の8カ所に一直線に並べる

寝る前に行うと自然治癒力が向上する

手の刺激を行う目安は1日2回程度。症状が現れたときのほか、寝る前に行うのが効果的です。疲れがたまっている夜に行うと、寝ている間に自然治癒力が高まって、翌朝の体調に違いが出ます。

手の刺激は副作用がいっさいなく安全で、子どもから高齢者までどんな人でも手軽に行えます。

難病の人の役に立てる治療法を広めたい、多くの人に健康になってもらいたいという一心で、20年以上、高麗手指鍼の研究応用と治療に取り組んできました。気になる不調がある人は、ぜひ実践してみてはいかがでしょうか。

画像: この記事は『ゆほびか』2019年7月号に掲載されています。

この記事は『ゆほびか』2019年7月号に掲載されています。

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