キウイフルーツには、お通じに効果が高い食物繊維、美肌に欠かせないビタミンCとビタミンE、むくみを防ぐカリウムなど多くの栄養素が含まれています。やせたい人は糖分が気になるかもしれません。しかし、やせるためには氷砂糖を定量入れるほうが効果的です。【解説】村上祥子(料理研究家・管理栄養士)
解説者のプロフィール
村上祥子(むらかみ・さちこ)
料理研究家・管理栄養士。電子レンジ調理の第一人者。糖尿病や高血圧などの生活習慣病予防、改善のために、栄養バランスのとれたカロリー・塩分控えめのレシピを多数考案。福岡に拠点を置きながらも講演会やテレビ出演などで全国を飛び回っており、年間100回は飛行機を利用する、自称「空飛ぶ料理研究家」。
運動をがんばる子どものために果実酢を作った
料理研究家として、私は今までいろいろな果物酢を考案してきました。その中でも、「キウイ酢」は最も評判がいい果物酢の一つです。
キウイフルーツ(以下、キウイ)には、お通じに非常に効果が高い食物繊維、美肌を作るために欠かせないビタミンCとビタミンE、むくみ予防のカリウムなど多くの栄養素が含まれています。
それら栄養素と疲労回復に効果があるお酢と糖分を一度にとることができるキウイ酢は、まさに最強の健康ドリンクと言っていいでしょう。
私がこれまで多くの果物酢を考案してきましたが、もとは自分の子どものためでした。
私には子どもが3人います。3人とも健康に育ってほしいと願い、1に栄養、2に運動、3、4がなくて5に頭と考えたのです。
私が子育てをしていた当時は、サッカーや野球のクラブなどのスポーツクラブなどなく、選べなかった時代です。子どもたちができるスポーツと言えば水泳だけでした。そこで、大人のプールに通わせることにしたのです。
子どもたちは、たちまち水泳のとりこになりました。夏休みなどは、朝練、夕練と1日2回のトレーニングがあり非常にハードです。そこで、体力増強のために考えたのが、果物酢でした。
子どもたちは果物酢を水で割ったドリンクを、たいへん気に入りました。また、果物酢を飲むことで、エネルギー代謝を助けるクエン酸回路が体内で効率よく働くようになったのでしょう。ハードな練習にもへこたれなくなったのです。
この経験から、今も小学校の肥満児教室で、私は果物酢作りを教えています。
電子レンジを使えば1日でできる!
昔は果物酢を作るのに、1カ月程度かかっていました。果物酢を作る際の工程の一つである「電子レンジで温める」ことをやっていなかったからです。
もっと短い期間で作れ、さらに、もっと果物のエキスを効率よくとれるようにできないかと思っていたとき、電子レンジを使う方法を思いつきました。
電子レンジが食べ物を温める際に発する電磁波は、水分に作用するので、それを利用すれば早く果物が熟成されるのではないかと思ったのです。
やってみると思ったとおりでした。1カ月漬けこまないと熟成しなかったものが、翌日には飲めるほど、すぐに熟成したのです。
それからは、果物酢を作る際に、電子レンジを使用するようになりました。キウイ酢などの果物酢を作る際のポイントは、実は電子レンジなのです。
電子レンジにかけることで熟成が促され、短期間で作れるうえ、少量ずつ作れるというメリットもあります。飲みきれる分だけ作れることは大きなメリットです。
砂糖は敵ではなくやせるための最高の味方!
果物酢を作る際に氷砂糖を使う理由は、酢と氷砂糖の組み合わせは健康効果が高いと考えられているからです。
酢に含まれる有効成分の「アミノ酸」は、「糖」によって「ピルビン酸」という物質に変わります。
ピルビン酸は代謝のカギになる有機酸(さまざまな酸の総称)です。有機酸には体のエネルギーを作り出す働きがあります。これによって代謝が活発になり、疲労の回復や肥満の予防にいい影響を与えるのです。
だから、酢だけを摂取するよりも、氷砂糖の溶けた酢をとったほうが疲労の原因物質である乳酸の分解速度が速くなり、疲れが取れやすくなるのです。
そのほか、疲れだけではなく血糖値や血圧が改善されたり、やせやすくなったりといった健康効果も期待できます。
やせたい人は、糖分が気になるかもしれません。その場合には、規定量より少なくてもいいので、氷砂糖を入れてください。レシピでご紹介している量は100gですが、50gまで減らしてもだいじょうぶです。しかし、やせるためには氷砂糖を定量入れるほうが、本当は効果的です。
また、キウイ酢は腸の働きを高めるため、便通をよくする効果もあります。効果が高いので、もともと腸の弱い人だと、おなかがゆるくなる場合もあるかもしれません。
キウイ酢はおいしいですし、効果を求めるあまり、たくさん飲みたくなるでしょう。しかし、一度に取る量は、大さじ1~2杯を目安にし、多くても、大さじ3杯を限度にしてください。
もし、もっとキウイ酢をとりたいのであれば、毎日の料理に酢の替わりとして、ぜひキウイ酢を活用してください。酢の物や肉料理、他の調味料にキウイ酢を混ぜて使うのも、とてもお勧めです。
飲んでも食べてもおいしいのが、キウイ酢の大きな利点です。ぜひ作ってみてください。
一晩でできる! 「キウイ酢」の作り方
【 用意するもの 】
・リンゴ酢…200ml
・キウイフルーツ…2個(100g程度)
・氷砂糖…100g
※酢や氷砂糖の量は、好みで増減可
※リンゴ酢の代わりに同量のワインビネガー、穀物酢、黒酢でもよい
※氷砂糖の代わりに同量の上白糖、三温糖、黒砂糖やきび砂糖でもよい。その場合は沈殿しやすいので、こまめにかき混ぜる。ハチミツを使う場合は氷砂糖の1.5倍量使う
【作り方】
❶キウイは皮をむき、幅1cmの輪切りにする
❷瓶に切ったキウイと氷砂糖を入れて、リンゴ酢を注ぐ
❸ふたをしないで電子レンジ600Wで30秒、750Wなら25秒、500Wなら40秒程度、加熱する。この時点で氷砂糖が溶けることはない
❹ふたをして一晩おく。翌日から飲める。氷砂糖が溶けていない場合は箸でかき混ぜるとよい
これが定番!
【キウイ酢の飲み方】
★キウイ酢水
キウイ酢大さじ1~2(15~30ml)を2~3倍の水で薄める(濃度はお好みで)
★キウイ酢ソーダ
キウイ酢大さじ1~2を、その量の4倍以上の無糖の炭酸水で薄める(濃度はお好みで)
★飲むヨーグルト風キウイ酢
キウイ酢大さじ1~2を牛乳100mlに加えて混ぜる
手軽でおいしい「キウイ酢」活用料理4選
recipe 1
タマネギとハムのキウイ酢マリネ
【材料】(2人分)
・タマネギ…2分の1
・ハム…1枚
・キウイ酢…大さじ3
・薄口しょうゆ…小さじ1
・サラダ油…大さじ1~2
【作り方】
タマネギは薄くスライスして水にさらす。ハムも1cm幅程度に切る。水を切ったタマネギとハムにキウイ酢、薄口しょうゆ、サラダ油をあえる。
recipe 2
キウイ酢みその刺身コンニャクがけ
【材料】(2人分)
・みそ…大さじ1
・キウイ酢…大さじ1
・刺身コンニャク…120g
【作り方】
みそとキウイ酢をよく混ぜ合わせる。刺身コンニャクにかける。ほかにも、キュウリなどにつけてもピッタリ!
recipe 3
手羽中とキウイ酢の煮物
【材料】(2人分)
・手羽中…300g
・キウイ酢…80ml
・しょうゆ…大さじ1
・パクチー…お好みで
【作り方】
手羽中をフライパンに入れ、焼き目が付くまで焼く。焼き目が付いたらキウイ酢としょうゆを入れ、
汁けがなくなるまで煮詰めて完成。お好みでパクチーを添える。
recipe 4
豚肉とキウイの炒め物
【材料】(2人分)
・豚肉…200g
・キウイ酢に漬けていたキウイ…3~4切れ
・キウイ酢…大さじ1
・しょうゆ…大さじ1
【作り方】
豚肉とキウイを一口程度の大きさに切る。豚肉をフライパンで炒め、軽く火が通ったらキウイを入れる。キウイにも軽く火が通ったらキウイ酢としょうゆを入れ、混ぜ合わせるように炒める。豚肉に火が通ったら完成。