骨盤リセットは、ゆがんだ骨格や、バランスを崩した筋肉をリセットして、骨盤のゆがみを整えるのにたいへん役立つ運動です。骨盤を整えると、やせやすく、太りにくい体になります。驚く人も多いですが、フェイスラインのリフトアップ効果もあります。【解説】立花みどり(一般社団法人日本ピルビスワーク協会代表理事・ボディアナリスト)
解説者のプロフィール
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立花みどり(たちばな・みどり)
一般社団法人日本ピルビスワーク協会代表理事、ボディレボリューション代表。1980年代から骨盤矯正を基盤とした初のプログラムを成功させ、今日の骨盤ブームの先駆け的存在となる。数万人に及ぶ現場指導の成果から、骨盤と骨格筋の調整により即効的に姿形のバランスを改善できる「立花メソッド」を考案する。2003年より六本木にプライベートサロンを開設。『骨盤呼吸ダイエット』(河出書房新社)など、著書多数。
ボディレボリューション:http://www.bodyrevolution.jp/
寝る前に行うと気持ちよく眠れる
私は20代前半からフィットネスインストラクターとして活動してきました。
当時、ダンスやエクササイズの指導をしていて、「体重は落ちても、ウエストは太いし、お尻も垂れたまま」という生徒さんの声が多く、とても気になっていました。
その頃の私の指導法は、「脂肪を落として筋肉をつけましょう」というものでした。筋肉を育てればダンスがうまくなるし、プロポーションもよくなると考えていたのです。
しかし、現実は思ったようにうまくいきません。
それなら視点を変えてみようと着目したのが「骨」でした。なぜなら、筋肉の中核にあるのが骨だからです。
そして、全身の骨の中心にあるのが「骨盤」です。骨盤を中心として、その上には背骨、肩甲骨、頭蓋骨などがあります。そして下には、股関節、ひざ、足首があります。骨盤はまさに体の要なのです。
しかし、当時の日本では、まだ骨盤の話をする人はおらず、情報もありませんでした。そこで私は、海外まで出掛けて情報を集め、骨盤や骨に関する研究を進めていきました。
こうして時間をかけて組み上げてきたのが「立花メソッド」であり、自らが体を動かして骨盤矯正を行える「ピルビスワーク(骨盤運動)」です。
そのメソッドのなかから、今回は「骨盤リセット」を紹介します。
骨盤リセットは、ゆがんだ骨格や、バランスを崩した筋肉をリセットして、骨盤のゆがみを整えるのにたいへん役立つ運動です。
骨盤を整えると、やせやすく、太りにくい体になります。また、疲れたときやストレスを感じたときに行うことで、頭や心もリセットされて、気分転換になるでしょう。
骨盤リセットのやり方は、ものすごく簡単。寝たまま、短時間で行えます。起床時に行えば、一日のスタートを気持ちよく切れますし、寝る前に行えば、一日の疲れやストレスを解消して、気持ちよく眠りにつくことができます。
バストやお尻もアップする!
骨盤の動きは、大きく3つしかありません。「前傾・後傾」「上下」「回旋」の3つです。骨盤リセットは、この3つの動きを合わせた運動です。
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背中を丸めると骨盤は後傾して締まり、骨盤底筋も締まります。対して、骨盤が前傾すると、背中は反った状態になり、胸郭が開きます。
骨盤の前傾は必要な動きですが、常に前傾している状態では、内臓脂肪がつきやすくなり、内臓も下垂してきます。
内臓が下垂すると、体は冷えやすくなります。その冷えを解消するために、体はさらに内臓脂肪をつけようとする……という悪循環に陥ります。
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また、骨盤の左右を交互に上下に動かす動作は、筋肉をバランスよく整えて、太りにくい体質に変えてくれます。
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回旋とは、仙骨(骨盤の後部上方にある大きな三角形の骨)を挟んだ両側の寛骨(骨盤を構成する左右一対の不規則形の骨)が、前後に動くことです。
骨盤をひねってこの動きを繰り返すと、体幹部が引き締まっていきます。
この3つの動きには、骨盤底筋群を締める効果があります。骨盤底筋群とは、子宮や膀胱などの下腹部の臓器を下でハンモックのように支える筋肉のことです。
ここがゆるむと骨盤がゆがみ、ボディラインが崩れてきます。また、尿モレや膣のゆるみの原因にもなります。
逆に締まると、おなか、背中、太ももに力が入り、体幹軸が調うので、骨盤のゆがみが解消されていきます。下腹部に垂れ下がっていた内臓も引き上がるので、ポッコリ下腹が解消し、ボディラインが整ってきます。お尻もキュッと上がります。
また、姿勢がよくなることで、胸を自然に張れるので、バストアップにもつながります。
あと、これは驚く人も多いですが、フェイスラインのリフトアップ効果もあります。骨も筋肉も全身でつながっていて、骨盤はその要です。骨盤のゆがみが解消されれば、顔のたるみも解消されていくのです。
一方、骨盤がゆがんで開くと、中におさまっている臓器の位置も下がり、下腹部がポコッと出てしまいます。腸の動きが鈍くなって便秘になりやすくなり、子宮や卵巣の正常な働きが阻害されることもあります。
さらに、骨盤がゆがむと、背骨や股関節、肋骨なども連動してゆがみ、周囲の筋肉は、元の状態に戻ろうとして硬直してしまいます。このとき、体にこりや痛みが生じます。
体が硬直すれば、血液やリンパの流れも悪くなるので、むくみやすい、太りやすい体になるのです。
このように、骨盤のゆがみは、プロポーションの崩れをもたらすだけでなく、健康や精神の状態にも深く関わっているのです。
骨盤リセットダイエットの大きな特徴は、誰でも簡単にできること、そして即効性が高いことです。次の項から、骨盤リセットのやり方を紹介していきますので、ぜひ即効性を味わってください。
骨盤リセットダイエットのやり方
【注意点】
●4つの骨盤リセットは一度にすべて行ってもいいし、時間がないときはどれか1つでもかまわない
●朝起きてすぐや、寝る前など、いつ行ってもかまわないが、食後すぐは避ける
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【用意するもの】
小さめの枕またはバスタオルを2つに折り、くるくるとまるめたものを用意してください
※撮影では専用のクッションを使用しています
(1)「前傾・後傾の動き」の骨盤リセット
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背筋と腹筋を交互に使い、骨盤のバランスを整える。美しい体形をつくる
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❶あおむけに寝て、両ひざを立てて足の裏をしっかり床に着け、腰(へその裏側)と床の間にバスタオルを挟む
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❷鼻から息を吸いながら背中を反らせ、おなかを膨らませる
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❸鼻から息を吐きながら足で床を踏んで、背中を丸める。(2)〜(3)を5回繰り返す
(2)「前後の動き」の骨盤リセット
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全身を伸縮させる動作で、全身の筋肉をバランスよく鍛え、太りにくい体にする
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❶両ひざを曲げて足を立て、腰(へその裏側)と床の間にバスタオルを挟む。足裏で床を踏み、腰を丸めた状態からスタート
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❷鼻から息を吸いながら、両ひざを右に倒す。このとき、両肩は床につけたまま
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❸鼻から息を吐きながら、両ひざを中央に戻す
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❹鼻から息を吸いながら、両ひざを左へ倒す。このとき、両肩は床につけたまま。鼻から息を吐きながら、両ひざを中央に戻す。これを左右交互に5回繰り返す
(3)「回旋の動き」の骨盤リセット[その(1)]
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体を大きくひねる動作で、体の深部にある筋肉まで鍛えることができる
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❶右のお尻と床の間に斜めにバスタオルを挟む。右手で右ひざを抱え、左手は床に下ろす
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バスタオルの置き方
写真のように、骨盤の右側の対角線になるように置く
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❷鼻から息を吸いながら、背中を反らせ、右ひざを外に大きく開く
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❸鼻から息を吐きながら、背中を丸め、右ひざを中央に戻す。これを5回繰り返す
※右側が終わったら、バスタオルの位置を左腰と床の間に変え、左側も同様に行う
(3)「回旋の動き」の骨盤リセット[その(2)]
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❶右のお尻と床の間に斜めにバスタオルを挟む。左手で右ひざを抱え、右手は床に下ろす
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❷鼻から息を吸いながら、背中をそらせ、両ひざを左へ倒す。右ひざが床につけば理想だが、無理のない範囲で。右の肩と腕は、なるべく床から離さないようにする
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左側から見た体勢
右ひざはできるだけ床側に倒す
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❸鼻から息を吐きながら、両ひざを中央に戻す。これを5回繰り返す
※右側が終わったら、左側も同様に行う
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この記事は『ゆほびか』2019年9月号に掲載されています。