悪い姿勢を取り続けると、後頭下筋群が緊張して疲労し、血流が悪化して腫れ、かたくなります。すると、すきまを通る神経や血管が圧迫されて、耳や脳の機能に障害が出るのです。私が必ず行ってほしいセルフケアは「あごの円回し」です。【解説】劉莉亜(劉先生鍼灸院院長)

解説者のプロフィール

画像: 解説者のプロフィール

劉莉亜(りゅう・りあ)
劉先生鍼灸院院長。1982年、中国医科大学医学部卒業。96年、愛知医科大学で医学博士号を取得。2001年、劉先生鍼灸院を開設。中国遼寧中医大学名誉教授。

首の筋肉が腫れて神経や血管を圧迫する

皆さんは、めまいや耳鳴り、難聴が起こったとき、耳鼻科や脳神経外科を受診するでしょう。もちろん、それが正解です。重篤な病気の場合もあるので、きちんと検査をして、必要な治療を受けてください。

しかし、「原因不明」といわれたり、服薬や治療を続けても効果がないケースもあるでしょう。私の治療院には、そういう患者さんが全国から見えます。そして、鍼治療とセルフケアで改善していくのです。

私が治療の根幹に据えているのは、「」です。首のコリをほぐして調整することで、めまいや耳鳴り、難聴、頭痛などは改善に向かいます。

患者さんには、鍼治療のあとにセルフケアをお教えし、次の治療日までの宿題にします。今回は、そうしたセルフケアをいくつかご紹介しましょう。

その前に、なぜ首を治療すると、耳や頭の症状が改善するのでしょうか。

後頭部と背骨をつなぐ後頭下筋群(上頭斜筋、下頭斜筋、大後頭直筋)は、三角形を形成しています(下の図を参照)。この三角形の中央部のすきまを神経や血管が通り、内耳や脳につながっているのです。

画像: 首の筋肉が腫れて神経や血管を圧迫する

ところが、本来の首の形であるS字カーブを損なうような、悪い姿勢を取り続けると、後頭下筋群が緊張して疲労し、血流が悪化して腫れ、かたくなります。すると、すきまを通る神経や血管が圧迫されて、耳や脳の機能に障害が出るのです。

後頭下筋群は深層にあるため、自分の手でもみほぐす程度では、なかなか刺激が届きません。ただ、私が患者さんに勧めるセルフケアは効果が実感できるようで、非常に好評です。

実行した直後に視界が明るくなる!

まず、首の表層筋を緩めて、深層に刺激が届きやすくするための「ペットボトル刺激」です。

かたい素材のペットボトルにぬるま湯を入れ、あおむけになって、首に当たるように置きます。
首を上下左右にゆっくり動かし、「痛いけれど気持ちいい」ところを、ほぐすように刺激します。3分ほど行えばいいでしょう。

私は1.5Lのペットボトルを使いますが、首の長さやカーブによって大きさを変えてかまいません。

必ず行ってほしいのは、「あごの円回し」です(下記参照)。後頭下筋群をストレッチして緩め、神経や血管の圧迫を取ります。

実行した直後に、視界が明るくなる人も少なくありません。毎日続けることで、めまいや耳鳴り、頭痛なども緩和してくるでしょう。

手軽な方法として人気が高いのが、手にある後渓のツボ刺激です。後渓は、首こりや肩こりの特効穴として、中国では有名なツボです。私も、鍼治療でよく使います。

こぶしを握ると、小指のつけ根に横ジワが2本できます。そのうち、手首寄りのシワの先端辺りが、後渓のツボです。

手刀でチョップするイメージで、机やテーブルの縁に両手の後渓のツボを押し当て、圧をかけます。左右同時に刺激でき、仕事の合間などにも行えるのでお勧めです。

首は常に重い頭を支えているので、ほうっておくと疲労がたまります。首を緩めるセルフケアをこまめに行い、首の柔軟性を維持することが大事です。

「あごの円回し」のやり方

画像1: 【原因不明のめまいに】首のコリをほぐす「あごの円回し」と「手のツボ刺激」

上半身をまっすぐ立て、胸を手で押さえて動かさないようにする。鼻から大きく息を吸う。

画像2: 【原因不明のめまいに】首のコリをほぐす「あごの円回し」と「手のツボ刺激」

鼻か口から息を吐きながら、顔の前に楕円を描くように、あごをゆっくり回す。

画像3: 【原因不明のめまいに】首のコリをほぐす「あごの円回し」と「手のツボ刺激」

1周したらあごを引き、首の後ろをよく伸ばす。①~③を10回くり返す。

*反対回しも同様に行う。
*座って行っても立って行ってもよい。
*1日1~2セットを目安に行う。慣れたら増やしてもよい。

「手のツボ刺激」のやり方

画像4: 【原因不明のめまいに】首のコリをほぐす「あごの円回し」と「手のツボ刺激」

こぶしを握ったとき小指のつけ根にできる横ジワのうち、手首寄りのシワの先端。

画像5: 【原因不明のめまいに】首のコリをほぐす「あごの円回し」と「手のツボ刺激」

机の縁に両手の後渓のツボを押し当て、刺激する。

画像: この記事は『壮快』2019年9月号に掲載されています。

この記事は『壮快』2019年9月号に掲載されています。

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