設定にはiPhoneなどのiOS機器が必須だが、作業は極めて簡単。電源を投入してiOS機器を近づけると、自動的に写真付きの通知が表示されるので、後は指示に従うだけ。こうした使い勝手のよさはアップル製品に共通する。
「今どきオーディオ」徹底辛口テストアップル HomePod
実売価格例:3万5420円
プロフィール
アップル初となるスマートスピーカーで、iOS機器との組み合わせが前提。2台でステレオ再生もできる。直径14センチのウーハーを上向きに搭載し、胴体を取り囲むように配置された複数のツイーターと合わせて、音を360度全方位に放射する構造が特徴的だ。
天板の色が変わって状態を知らせる
天板はタッチ操作により音量調節などができ、LEDの色により状態がわかる。
操作性iPhoneがあれば、設定は極めて簡単!
外周はファブリック素材で覆われ、一見するとインテリア小物のようないでたち。電源は本体に内蔵し、ACアダプターが不要なのもスマート。
設定にはiPhoneなどのiOS機器が必須だが、作業は極めて簡単だ。電源を投入してiOS機器を近づけると、自動的に写真付きの通知が表示されるので、後は指示に従うだけ。こうした使い勝手のよさはアップル製品に共通する。ただし、Androidユーザーには、まったくといっていいほど縁のない製品ともいえる。
使い勝手では、アップルの音楽配信「Apple Music」との相性がいいが、AirPlay(エアプレイ)2に対応しているので、「YouTube」などのアプリの音声を、簡単に本機から鳴らすことができる。つまり、「Apple Music」に加入していなくても、AirPlayスピーカーとして使えるわけだ。
ただ、スマートスピーカーとしての完成度は、いま一つ。Google Home(グーグル ホーム)やAmazon Echo(アマゾン エコー)に比べると、日本語の認識能力や返答内容は発展途上の印象だ。
音楽音質周波数特性を補正し、低音のパンチ力がすごい
音質は、スマートスピーカーでナンバーワンの呼び声が高いが、堂々とした低音の再生能力は小型サブウーハーといえるレベルで、確かに次元の異なる音楽体験ができる。一般に、低音は部屋の中で反射を繰り返して、共振によるうねり(定在波)を引き起こし、周波数特性を大きく乱すが、本機は、音楽を再生しながら補正するシステムを備え、その効果も絶妙。その結果、並みの大型スピーカーもしのぐパンチ力と広がり感のあるリッチな低音が楽しめる。
低域の定在波による悪影響が解消されると、伝送特性が改善されてボーカルが明瞭に聴こえるなどの副産物も生まれる。ハイファイ的ではないが、ハイファイ以上に楽しめる音ともいえる。半面、近隣への音漏れを心配する一般家庭では不向きの感もある。
採点表
アップルユーザー限定だが、低音は格違いの高音質
音質(中高域) | ★★★★ |
---|---|
音質(低域) | ★★★★★ |
操作性 | ★★★★ |
機能性 | ★★★ |
コメント
スマートスピーカーとしては格違いの高音質。使い勝手の面では、アップルのエコシステムに組み込まれたもので、汎用性は低い。
※執筆時が2019年9月のため、製品の「実売価格例」は、消費税8%込みの額を表記しています。ご了承ください。
解説/鴻池賢三(AV評論家)