ヘバーデン結節は、患者数が多いにもかかわらず、医療サイドの受け入れが不十分だと言われている病気だ。医療機関を受診した際、医師から「治らない」と突き放されてしまうことも珍しくない。ヘバーデン結節とはどんな病気か、何が原因でどんな症状なのか。指に痛みが出る関節リウマチとの違いについて、ヘバーデン結節外来を開設している富永ペインクリニック院長の富永喜代医師に解説していただいた。

解説者のプロフィール

画像: 解説者のプロフィール

富永喜代(とみなが・きよ)

富永ペインクリニック院長。医学博士。日本麻酔科学会認定麻酔科専門医、産業医。1993年より、聖隷浜松病院などで麻酔科医として勤務し、延べ2万人を超える臨床麻酔実績を持つ。2008年には、愛媛県松山市に富永ペインクリニックを開業、ヘバーデン結節外来を開設する。経済産業省「平成26年度健康寿命延伸産業創出推進事業」を委託され、新しい痛み医療のリーダーとして注目される。「中居正広の金曜日のスマたちへ」などテレビ出演多数。近著『指先の激痛・腫れ・しびれ「ヘバーデン結節は自分で治せる!」』が好評発売中。
▼ペインクリニックとは(富永喜代オフィシャルブログ)
▼@tominaga_kiyo(公式Twitter)

ヘバーデン結節とは

画像: ヘバーデン結節とは

「その指、いったいどうしたの!?」と聞かれるときがつらい

「えっ、あなたその指、いったいどうしたの!?」――。

ヘバーデン結節の患者さんは、久しぶりに会った知り合いなどから、こう聞かれるのが非常につらいと言います。
実際、節くれだって変形した指を他人に見られるのが嫌で、人目に触れないように手を懸命に隠し続けている人も少なくありません。私のクリニックにもそうした患者さんが大勢いらっしゃいます。

当クリニックでは「ヘバーデン結節外来」を開設しています。
おそらく、ヘバーデン結節に特化した外来は日本初。
愛媛県松山市という地方にあるのにもかかわらず、外来には全国各地からたくさんの方々にお越しいただいています。

どうして四国のペインクリニックがそんなに多くの患者さんで賑わうのか。
その理由は、「ヘバーデン結節に悩まされている患者さんの数がとても多いのにもかかわらず、ちゃんと治療してくれる医療機関がとても少ないから」です。

へバーデン結節の患者数は、女性を中心に300万人以上にのぼります。
ところが、この病気はまだ原因もよく分からず、ほとんどの医療機関では痛みを多少ごまかす程度の対症療法しかできていません。
つまり、治したくとも医療側が「お手上げ状態」であり、300万人を超える患者たちは、治療のあてもなく、どこへ行けばいいのかもわからずにさまようハメに陥っているわけです。

しかし、だからといってあきらめることはありません。
私が「ヘバーデン結節外来」で行なっている治療メソッドを日々実践していけば、この病気や症状を改善していくことも十分に可能です。

画像: へバーデン結節のレントゲン写真(左手甲側)。人差し指と中指の第1関節が変形して曲がっているのがわかる。

へバーデン結節のレントゲン写真(左手甲側)。人差し指と中指の第1関節が変形して曲がっているのがわかる。

関節リウマチとヘバーデン結節の違い

「リウマチではありません」という診断から、この病気の悩みがスタートする

通常、「手の指が痛い」「指が変形してきた」と医療機関に訴え出た場合、まず「関節リウマチ」が疑われます。

関節リウマチかどうかは、血液検査やレントゲン検査をすれば判明します。
原因がヘバーデン結節である場合、当然、「リウマチではありません」という診断が下されることになります。
ただ、問題なのは「そこから」なのです。

リウマチではない、ということがわかっても、指の痛みや変形などの症状は、まったく解決されていない状態で残されています。
じゃあ、いったいこの問題をどう解決してくれるというのか?

しかし、ほとんどの医療機関では、根本的に解決できるような治療手段を持っていないのです。
ひどい場合、「ヘバーデン結節ですね、これは治りません」「歳のせいですからあきらめてください」などと言われ、医者から突き放されることもあると聞きます。

整形外科では、ヘバーデン結節の患者さんに対しては痛み止めや湿布薬を処方したうえで、「なるべく手指を使わず安静にしてください」と指導するのが一般的です。
でも、痛み止めや湿布は一時しのぎにしかなりませんし、毎日家事や仕事をしている人にとっては、「手指を使うな」なんて言われても到底無理ですよね。

指の変形は、女性にとって大きなコンプレックスにつながりますし、日々の生活でいちいち感じる指の痛みは大きなストレスにつながります。
また、今後痛みや変形がますます進んでしまうと思えば、気持ちも暗くなるでしょう。

このため、「いったい私はどうすればいいの?」と途方に暮れて、悩みをどんどん深めていってしまう人が多いのです。

関節リウマチの特徴

  • 自己免疫疾患のひとつ
  • 手の指だけでなく、全身の関節に症状が出る(手首、肩、ひじ、ひざなど)
  • 指の関節症状だけでなく、だるさ、筋肉痛、微熱、食欲不振などの全身症状が出る
  • 指全体がむくんで腫れぼったくなる

へバーデン結節の特徴

  • 変形性関節症のひとつ
  • 症状が出るのは手の指の第1関節のみ(親指以外)
  • 指の関節症状のみ(全身症状はなし)
  • 指の第1関節部分は腫れてむくむが、指の根元部分はやせ細る
画像: へバーデン結節の特徴

へバーデン結節の特徴①
指の第1関節が「痛む・腫れる・ 変形する」

画像: へバーデン結節の特徴① 指の第1関節が「痛む・腫れる・ 変形する」

関節内で骨同士がぶつかり合う

ここで、ヘバーデン結節という病気の特徴を押さえておくことにしましょう。

ヘバーデン結節は、手指の第1関節に痛み、腫れ、変形などが現われる原因不明の病気です。
指の第1関節に、コブ(結節)ができて、徐々に変形していくのが特徴ですが、発症するのは人差し指、中指、薬指、小指の4本。
親指にコブができることは滅多にありません。

なお、レントゲンで見ると、指の第1関節の隙間が極端に狭くなっている様子がわかります。
関節の隙間が狭まると、関節内で骨や軟骨がさかんにぶつかり合って変形し、「骨棘(こつきょく)」と呼ばれるトゲができます。
そして、この骨棘により神経が刺激され、痛みが発生するのです。

痛みや変形をはじめ、ヘバーデン結節によって引き起こされる主な症状は下図の通りです。

症状が進んでくると、指を思うように動かせなくなってきたり、指に力を込められなくなってきたりするため、家事や仕事などの日常生活に支障が出ることもしばしば。
また、悪化すると、指を使っているときだけでなく、安静にしているときにも指に痛みを感じるようになっていきます。

画像1: 関節内で骨同士がぶつかり合う
画像2: 関節内で骨同士がぶつかり合う

へバーデン結節の特徴②
患者の9割は女性で、手仕事をする人に多い

指に負担をかけている人は要注意

ヘバーデン結節を患う方の9割以上は女性です。
しかも、家事や仕事で手指をさかんに動かしている女性に多い傾向があります。

たとえば、毎日学校の給食室で大量の野菜や果物の皮を剝いている人、縫製工場で布地を指でぐっと押さえてミシンを使っている人、美容師として1日中ハサミやくしを使っている人、パソコンの入力作業で1日中キーボードを叩いている人……。
それに、台所仕事や掃除、洗濯などで日々忙しく指を動かしている家庭の主婦にも、ヘバーデン結節になる人がたいへん目立ちます。

女性の指は、男性よりも華奢であり、指の関節も靭帯がやわらかく、繊細なつくりにできています。そのため、来る日も来る日も手仕事をしていると、指の関節に過剰な負担がかかってしまい、ヘバーデン結節を招きやすくなるのです。

日頃から指を酷使されている方は、十分に注意するようにしてください。

画像: 指に負担をかけている人は要注意

へバーデン結節の特徴③
「女性ホルモン減少」の影響が大きい

「エストロゲン急落」が指にも影響

ヘバーデン結節は、いまだ原因不明の病気ですが、医師や研究者の間では、女性ホルモンの変化が引き金になっているのではないかと考えられています。

実際、へバーデン結節に悩む方の大多数は40歳以上の中高年女性。
すなわち、更年期を機に女性ホルモンが一気に減少することが、発症に影響しているのではないかというわけです。

なお、女性ホルモンの中でもとくに影響が大きいのが、エストロゲンです。
エストロゲンは、妊娠・出産に欠かせない役割を果たしたり、髪や肌を女性らしく輝かせたりする作用がよく知られています。

ただ、それだけではありません。
エストロゲンは、骨、脳、血管、皮膚、各臓器など、体中のたいへん多くの器官の働きに影響しています。
その影響がいかに広範囲にわたるかは、更年期になってエストロゲンが急落すると、不眠、のぼせ、骨粗しょう症、高脂血症など、全身のあちこちにさまざまな不調症状が現われることからもおわかりでしょう。

そして、このエストロゲンの急激な減少は、指の関節に対しても、少なからず影響を及ぼしているのです。
たとえば、指の血管が収縮して血流が悪化したり、指の骨の強度が落ちてもろくなってきたり、指の関節の靭帯や腱がかたくなって動きが低下してきたり……。
つまり、こうした要因が、ヘバーデン結節をより発症させやすくするのではないかと考えられているわけです。

だから、更年期を過ぎた女性は、ヘバーデン結節を防ぐためにも、エストロゲンアップにつとめるべきだと思います。

画像: 「エストロゲン急落」が指にも影響

ヘバーデン結節の初期症状

画像: ヘバーデン結節の初期症状

指先の関節に小さな腫れができる

ヘバーデン結節の初期症状についても簡単に触れておきましょう。

初期の段階では、指の第1関節にぎこちなさや動かしづらさを感じたり、第1関節部分にぷくっとした小さな腫れができたりします。
親指を除いた4本の指のどれに症状が現われるかは、人によってまちまちです。

ただ、この初期の段階で医療機関を受診する人は少なく、「変だな」と思いつつも放置してしまっているケースがほとんどです。

やがて、第1関節の患部が腫れてじんじんとした痛みを感じたり、朝起きたときに手指にこわばりを感じたりするようになります。
そして、もう少し症状が進んでくると、指1本だけだった症状が2本目、3本目も痛むようになったり、患部の痛みや変形が増してきたりするようになるのです。

こうした段階になると、「さすがにおかしい」と感じ、整形外科などを受診する人が多くなってきます。
そのほかにも、上に挙げたような初期症状に思い当たる人は、放っておくことなく、早め早めに受診するようにしてください。

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◆富永喜代(とみなが・きよ)
富永ペインクリニック院長。医学博士。日本麻酔科学会認定麻酔科専門医、産業医。1993年より、聖隷浜松病院などで麻酔科医として勤務し、延べ2万人を超える臨床麻酔実績を持つ。2008年には、愛媛県松山市に富永ペインクリニックを開業、ヘバーデン結節外来を開設する。経済産業省「平成26年度健康寿命延伸産業創出推進事業」を委託され、新しい痛み医療のリーダーとして注目される。「中居正広の金曜日のスマたちへ」などテレビ出演多数。近著『指先の激痛・腫れ・しびれ「ヘバーデン結節は自分で治せる!」』が好評発売中。

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