コードレス。バッテリーの急速な進化と共に家電にも広く普及し始めています。有名なのは「掃除機」ですが、多分、一番恩恵を被っているのは、電気歯ブラシなど、手にもって使う家電でしょう。その中に、新しく加わった家電、フジ医療器の「マイリラ マルチマッサージャー MRL-M1」をレポートします。
マルチマッサージャーとは何か?
マッサージ機器の王様は、間違いなく「マッサージチェア」です。
「大きい」「高い」と売れる要素の逆を行きますが、その分「効果は十分」。とても気持ちがいい家電です。
が、このマッサージチェアも万能ではないことをご存じでしょうか?
マッサージできない部位が存在するのです。
それは、「停電時でもマッサージチェアから1人で逃げ出せること」が条件になっているからです。
今のマッサージチェアは、安楽椅子然としたマッサージチェアに、体をのめり込ませるように入れ込むように設計されています。
このため、マッサージ中は身動きできない。
この状態から逃げ出すためには、手足の自由と、前が塞がっていないことが条件です。
幸い筋肉は、背側が多いですから、マッサージチェアとしては成り立つわけですが、それでも太ももの前側などマッサージできないところが残ります。
これに対し、マルチマッサージャーは、当てたところ全てに使えます。しかしその分、自動機能は少なく、マッサージが必要な部位に、自分で押しつけることをしなければなりません。
完全自動、目を閉じてあとはリラックスするだけ、とは行きません。
もみ方も定法があるわけではありません。モミ玉でやる場合もありますし、バイブレーターを使う場合もあります。
モミ玉式のマルチマッサージャーのメリット
モミ玉式マッサージャーの最大メリットは、手もみに近いことです。
これは気持ちがイイ。そして、「マイリラ」を開発したのは、マッサージチェア・メーカーの雄、フジ医療器です。
姿勢制御も加えると、モミ玉4つで、基本の動作ができます。
「つかみもみ」と「伸ばしもみ」です。これに「緩急」をつけることができます。
たった3つかと思われるかも知れませんが、これが実に気持ちイイ。特に肩などは絶品です。
重さとベルト
今回のマイリラは、「黒」以外、ファブリック仕様です(黒はソフトレザー・合皮)。
マッサージをするのは寝室と決まっていません。リビングのテレビの前でも良いわけです。
実は、前のモデルも試しているのですが、一番最初に感じたのは、「合皮は重い感じだから、リビングに合わないなぁ。」ということでした。
それが今回は、ファブリックで多色展開。
独特の素材感で、すこぶる気持ちがイイです。個人的にはフォレストグリーンが好きです。リビングに強さは必要ありませんから。
さて、このマルチマッサージャー。
本体を体に押しつけて使うのですが、前ならともかく、後ろはどうするのか。
体の後ろは、背中をタオルで擦る要領で対応します。本体に通したベルトを上手く調整し、当てるわけです。
ここでの難点が重さ。
モミ玉に、モーター、バッテリー。どれ一つとして軽いものはありません。
精いっぱい軽量化して、1.9kg。
肩は、もともとモノが載るような形状をしていますし、腰は椅子に腰掛けるとなんら問題ありません。
ちょっと困るのは、背中中央。肩のようにモノが載せられる形状ではなく、ツルツルです。
背中を長時間マッサージするためには、背もたれのある椅子、ソファーを上手く使います。
下半身は、上半身と違い、このベルトを使いません。
ベットの上などに置き、その上に足を乗せてマッサージします。
とても楽ちんです。至福の時でもあります。
コードレスはひたすら楽
私がコードレスの恩恵を感じるのは、下半身のマッサージを行う時です。
ベッドはわりと長さがあります。それが寝そべると尚更です。
このため、椅子と違って、ベッド上では、ここでこうするというのが結構成り立ちにくい。
コードレスだとその問題が全くありません。
それだけでも買いのモデルです。
ツボを心得たヒーター機能
人間というのは不思議なもので、実に上手くできています。
その一つが「手」です。
例えば、お腹が痛いとき、お腹に手を当てますよね。
すると不思議なもので、少し痛みが緩和したよう感じます。
医療で「てあて」と言う言葉がありますが、それはまさに、手を当てることが語源だそうです。
では、手を当てると何がイイのか?
腹痛などの場合、体が冷えていることが原因の場合も多い。
このため、手を当て、温めるのだそうです。
このため、今のマッサージチェアは、モミ玉にヒーターを内蔵しています。
手のひら温度でマッサージ、というわけです。
今の時代のバッテリーは本当に強力なのですね。問題ありませんでした。
これで気持ち良さが格段に良くなりました。
バッテリーで、40分駆動の意味
マイリラに搭載されているバッテリーは、3時間充電で満タン。
40分駆動が可能です。
マッサージは、大なり小なり揉み返しが発生するので、マッサージ機器は、基本的に30分以上使えません。
そういう意味で見ると、十分なバッテリー容量を持つといえます。
ちなみに、自動OFFは15分。時計を見なくても、上手く調整してくれます。
まとめ
家事など、気を抜いたとき、どっと疲労が襲ってくるときがあります。
そんな時に使うと、数分しない内に「頑張ろう!」という気力が湧いてくるモデルです。
コードレスで、バッテリーの持ちも十分。一台あるとすこぶる便利な家電です。しかも、これそんなに高くありません。フジ医療器の直販でも、18,480円(税込)です。
◆多賀一晃(生活家電.com主宰)
企画とユーザーをつなぐ商品企画コンサルティング ポップ-アップ・プランニング・オフィス代表。また米・食味鑑定士の資格を所有。オーディオ・ビデオ関連の開発経験があり、理論的だけでなく、官能評価も得意。趣味は、東京歴史散歩とラーメンの食べ歩き。