毎日、豆を挽いてコーヒーを淹れることは難しい人は、インスタントコーヒーでもよいでしょう。実は「アラビカ種」と呼ばれるコーヒー豆よりも、インスタントコーヒーにブレンドされている「ロブスタ種」のほうが、抗酸化成分のポリフェノールを多く含んでいるのです。【解説】岡希太郎(東京薬科大学名誉教授・薬学博士)

解説者のプロフィール

画像: 解説者のプロフィール

岡希太郎(おか・きたろう)
東京薬科大学名誉教授・薬学博士。1941年、東京都生まれ。日本コーヒー文化学会副会長。東京薬科大学卒業。東京大学薬学博士。スタンフォード大学医学部留学。近年はコーヒーの薬理作用について精力的に研究を重ねている。『珈琲一杯の薬理学』『マンガ・珈琲一杯の元気』(医薬経済社)『がんになりたくなければ、ボケたくなければ、毎日コーヒーを飲みなさい。』(集英社)など、著者多数。

「コーヒーは薬」1日3杯で健康に

私はコーヒーの薬理作用についての研究を15年以上続けており、これまで「コーヒーは薬」と伝え続けてきました。

2015年には、東京大学と国立がん研究センターが「コーヒーを1日3〜4杯飲む習慣のある人は、心臓病や脳卒中(脳の循環障害により運動障害や言語障害などが起こる病気のこと)による死亡リスクが低下する」というデータを発表しました。

コーヒーに含まれるポリフェノールの一つであるクロロゲン酸は血糖値や血圧を調整する働きがあります。また、カフェインといっしょに作用して血管の健康を保つことから、心臓病や脳卒中の予防が期待できるのです。

ほかにも、ガンの予防、2型糖尿病の改善、脂肪燃焼など、コーヒーを飲むことで得られる健康効果が、さまざまな調査から報告されています。

画像: コーヒーで心疾患の死亡リスクが減る! 心臓病は、日本人の死因の第2位となっている。コーヒーを1日3杯以上飲めば、そのリスクは約6割下がると、データによって示されている 出典:J Nutr 2010 MAY;140(5):1007-13(宮城コホート研究)

コーヒーで心疾患の死亡リスクが減る!
心臓病は、日本人の死因の第2位となっている。コーヒーを1日3杯以上飲めば、そのリスクは約6割下がると、データによって示されている
出典:J Nutr 2010 MAY;140(5):1007-13(宮城コホート研究)

画像: コーヒーをよく飲む人は長寿ホルモンが多い! 100歳を超える長寿者が多く保有しているという点が近年注目されている「アディボネクチン」。コーヒーの摂取量が多いほど、このホルモンの血中濃度が高まると判明 出典:Nutr Diabates 2012 APR 2;2:e33(愛知職域コホート研究 名古屋大学)

コーヒーをよく飲む人は長寿ホルモンが多い!
100歳を超える長寿者が多く保有しているという点が近年注目されている「アディボネクチン」。コーヒーの摂取量が多いほど、このホルモンの血中濃度が高まると判明
出典:Nutr Diabates 2012 APR 2;2:e33(愛知職域コホート研究 名古屋大学)

画像: コーヒーで認知症の発症リスクが減る! コーヒーに含まれるクロロゲン酸には抗健忘作用、トリゴネンには脳神経細胞活性作用がある。 出典:J Alzheimers Dis.2009;16(1):85-91(フィンランド クオピア大学)

コーヒーで認知症の発症リスクが減る!
コーヒーに含まれるクロロゲン酸には抗健忘作用、トリゴネンには脳神経細胞活性作用がある。
出典:J Alzheimers Dis.2009;16(1):85-91(フィンランド クオピア大学)

特に私は深煎りのコーヒーに含まれる「ニコチン酸」に注目しています。ニコチン酸はビタミンとして働くほか、抗酸化作用、脂肪代謝の改善、抗血小板作用(血小板の凝集を阻害し、血の塊を作らせないこと)があり、食品では、深煎りのコーヒー、キノコ類、ピーナッツなどからしかとれません。

ニコチン酸は体内で長寿に関連する補酵素の一つに変わりますが、年齢とともにその補酵素は減少します。そのため、コーヒーを飲んでニコチン酸をとることは、老化防止に役立つ可能性もあるのです。

浅煎りのコーヒーにはニコチン酸は含まれていませんが、クロロゲン酸が多く含まれています。そのため、健康のためには、深煎りと浅煎りの豆をブレンドして飲むことをお勧めします。

また、コーヒーの香りは、リラックスかつ、頭をスッキリさせる香りであることがわかっていますので、計算などの単純作業を行う前に飲むとよいでしょう。

コーヒーに酸を足すと健康効果がアップする

コーヒーに入れるものは、ミルク、砂糖、シロップが一般的ですが、酸やクエン酸を足すという飲み方もあります。ロシアやイタリアでポピュラーな、レモンの薄切りを浮かべた「レモンコーヒー」はその代表例でしょう。

浅煎りのコーヒーの成分を分析すると、酢酸がカフェインの1.5倍入っています。この酢酸などが浅煎りのすっぱさの主な理由です。

酢のすっぱさの元こそ、酢酸です。そのため、酢をコーヒーに入れることは、酸味を足すことにつながり、浅煎り度を増やすということになるのです。

酢は発酵食品であり、その成分から血圧の抑制、血中脂質の減少、内臓脂肪の燃焼、腸内環境の改善などさまざまな効能が期待できます。

コーヒーと酢を組み合わせることで、両方の成分を摂取できて、健康効果が期待できるのです。

酢やクエン酸を足しておいしく飲むためのポイントはコーヒーを作る前に酢を入れるのではなく、コーヒーを作ってから酢を入れることです。

入れる酢の量は、私は小さじ2分の1から1杯程度がいいと思いますが、お好きな酸味の強さにしていただいても結構です。

酢だけでは飲みにくいという人は、黒砂糖やハチミツなどで甘みを付けても構いません。血糖値が気になるならブラックで飲みましょう。

健康効果を高めるためには濃く作って薄めて飲む

健康のために飲むコーヒーの適切な1日量
カフェインコーヒーの目安
健康な成人400mg5杯
正常妊婦300mg3〜4杯
19歳以下の健康な子ども2.5mg/kg2杯以下(体重30kgで1杯程度)
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コーヒーの健康効果を高める淹れ方として、私は1杯10g×3杯分の豆を150mlの湯で抽出をお勧めしています。最初に濃く淹れてから薄めて飲むほうが、コーヒーの有効成分を摂取しやすくなるのです。

しかし毎日、豆を挽いてコーヒーを淹れることは難しい人は、インスタントコーヒーでもよいでしょう。

実は「アラビカ種」と呼ばれるコーヒー豆よりも、インスタントコーヒーにブレンドされている「ロブスタ種」のほうが、抗酸化成分のポリフェノールを多く含んでいるのです。

これからもコーヒーをおいしく飲んで、意外な組み合わせを楽しみ、健康増進に生かしていただければと思います。

画像: この記事は『ゆほびか』2019年11月号に掲載されています。

この記事は『ゆほびか』2019年11月号に掲載されています。

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