フルサイズ機で初となる有効6100万画素撮像センサーを搭載したソニーの「α7R IV」と、この先代モデル「α7III」が30万円台のミラーレス一眼では高得点だった。ここでは、8機種まとめて紹介する。
- ミラーレス30万円以上初の6100万画素で圧倒的な高画質。操作性も向上ソニー「α7R IV」
- ミラーレス30万円以上ニコン初のフルサイズミラーレス。4575万画素の高精細ニコン「Z7」
- ミラーレス30万円以上6K動画撮影対応で、放熱ファンを内蔵。高感度画質も向上パナソニック「DC-S1H」
- ミラーレス30万円以上縦位置グリップ一体モデル。画像処理エンジンも2基搭載オリンパス「OM-D E-M1X」
- ミラーレス30万円以上2420万画素のローパスフィルター仕様。高精細EVFを搭載パナソニック「DC-S1」
- ミラーレス30万円以上フルサイズのハイエンドモデル。高速シャッター搭載ソニー「α9」
- ミラーレス30万円以上4240万画素の高精細モデル。後継機登場で値下がりに期待ソニー「α7R III」
- ミラーレス30万円以上4730万画素の高精細モデル。ボディの重さが気になるパナソニック「DC-S1R」
- まとめ
ミラーレス30万円以上初の6100万画素で圧倒的な高画質。操作性も向上ソニー「α7R IV」
ソニー
α7R IV
2019年9月発売
実売価格例:43万8850円(ボディ) | |||
有効画素数 | 最高感度 | AF測距点 | 最高連写速度 |
6100万 | ISO 10万2400 | 567点 | 10コマ/秒 |
幅128.9mm×高さ96.4mm×奥行き77.5mm・665g |
ジョイスティックやAF-ONボタンなどの形状が変更されて、より快適な操作が可能に。
高性能レンズ使用で高精細に
レンズは大口径単焦点のFE 24mm F1.4 GMを使ったが、高性能タイプだけあって、隅々まで高解像度で申し分のない画質に仕上がった。
フルサイズ機で初となる有効6100万画素撮像センサーを搭載。最大記録解像度は9504ドット×6336ドット。「R」の名のとおり、解像感重視のローパスフィルターレス仕様。高性能レンズと組み合わせれば圧倒的高画質が楽しめる。
グリップが大型化してホールド性が向上したほか、各部のボタン類の形状や押し心地も改善して、全体的な操作性も上がっている。また、シャッター音も小さくマイルドになった。
ファイルサイズが大きいぶん、画像を取り扱うパソコンの負担も大きい。モニターがチルト式。位相差AFのカバーエリアが、縦99.7%×横74%と、α7 IIIなどより狭め。
採点表 満点は★5個 | |
実写性能 | ★★★★★ |
機能性 | ★★★★★ |
操作性 | ★★★★★ |
取り回し | ★★★ |
コストパフォーマンス | ★★ |
ミラーレス30万円以上ニコン初のフルサイズミラーレス。4575万画素の高精細ニコン「Z7」
ニコン
Z7
2018年9月発売
実売価格例:41万1520円(ボディ) | |||
有効画素数 | 最高感度 | AF測距点 | 最高連写速度 |
4575万 | ISO 10万2400 | 493点 | 9コマ/秒 |
幅134mm×高さ100.5mm×奥行き67.5mm・675g |
防塵・防滴の金属ボディ。EVFは369万ドット、モニターは210万ドットの高精細仕様。
情報量の多さに圧倒される!
ピクセル等倍で見ると情報量の多さに圧倒される。Z 24-70mm F4 Sはコンパクトなレンズだが、Z7ともども素晴らしい性能だ。
ニコン初のフルサイズミラーレス機として、昨年登場。マウントも一新され、レンズ設計の自由度が増している。
同じボディのZ6に対して、本機は、有効4575万画素の撮像センサーを搭載する高精細仕様となる。
ローパスフィルターレスならではの解像感の高さが持ち味で、緻密な描写が欲しい自然風景などには有利だ。
ほかには、AFの測距点が493点と多いこと、連写スピードが9コマ/秒といった違いがある。
Z6と同じで交換レンズが少ない、縦位置グリップがない、電池のもちがあまりよくないなどが弱み。モニターが縦位置でのロー/ハイアングルに対応できないのも、残念な点だ。
採点表 満点は★5個 | |
実写性能 | ★★★★★ |
機能性 | ★★★★ |
操作性 | ★★★★★ |
取り回し | ★★★ |
コストパフォーマンス | ★★ |
ミラーレス30万円以上6K動画撮影対応で、放熱ファンを内蔵。高感度画質も向上パナソニック「DC-S1H」
パナソニック
DC-S1H
2019年9月発売
チルト&バリアングル式兼用の233万ドットモニター。背後に冷却用のファンが内蔵。
動物も認識してピント合わせ
夜の室内。ISO6400の高感度だが、ピクセル等倍で見てもノイズ感が非常に少ない。動物も認識して目にピントを合わせてくれる。
実売価格例:61万970円(ボディ) | |||
有効画素数 | 最高感度 | AF測距点 | 最高連写速度 |
2420万 | ISO 20万4800 | 225点 | 9コマ/秒 |
幅151mm×高さ114.2mm×奥行き110.4mm・1164g |
フルサイズ機のDC-S1をベースに動画向けのアレンジを加えたモデル。5952ドット×3968ドット解像度の6K動画機能を搭載しているのが最大の売り。撮像センサーやエンジンの熱を逃がすための放熱ファンを内蔵。チルト式とバリアングル式の両方の機構を併せ持つモニターも特徴的だ。
低感度はもちろん、高感度の画質向上も図られている。実写しての印象では、ISO6400でも常用可能なノイズの少なさで、ディテールの豊かな撮影が可能だった。
大がらなDC-S1よりもさらに大きく重い。純正の交換レンズも大きく重く、まだまだ選択肢が少ない。容量の大きさに比べて電池のもちが悪い。非常に高価。
採点表 満点は★5個 | |
実写性能 | ★★★ |
機能性 | ★★★★★ |
操作性 | ★★★★★ |
取り回し | ★★ |
コストパフォーマンス | ★★ |
ミラーレス30万円以上縦位置グリップ一体モデル。画像処理エンジンも2基搭載オリンパス「OM-D E-M1X」
オリンパス
OM-D E-M1X
2019年2月発売
実売価格例:33万4420円(ボディ) | |||
有効画素数 | 最高感度 | AF測距点 | 最高連写速度 |
2037万 | ISO 2万5600 | 121点 | 15コマ/秒 |
幅144.4mm×高さ146.8mm×奥行き75.4mm・997g |
E-M1 MarkIIをベースに、ミラーレス一眼では初となる縦位置グリップ一体型を採用したモデル。画像処理エンジンを2基搭載して演算能力を高め、自動車や飛行機、電車といった被写体を認識して被写体追尾を行うAFシステムが採用されている。
また、素早く測距点を選択できるジョイスティックも装備した。
大きくて重さもある。メニューが複雑。実売価格が、かなり高い。
採点表 満点は★5個 | |
実写性能 | ★★★ |
機能性 | ★★★★★ |
操作性 | ★★★★★ |
取り回し | ★★★ |
コストパフォーマンス | ★★ |
ミラーレス30万円以上2420万画素のローパスフィルター仕様。高精細EVFを搭載パナソニック「DC-S1」
パナソニック
DC-S1
2019年3月発売
実売価格例:32万7670円(ボディ) | |||
有効画素数 | 最高感度 | AF測距点 | 最高連写速度 |
2420万 | ISO 20万4800 | 225点 | 9コマ/秒 |
幅148.9mm×高さ110mm×奥行き96.7mm・1017g |
有効2420万画素のフルサイズ撮像センサーを搭載。このクラスでは珍しくローパスフィルターレス仕様で、ファイルサイズの軽さと解像感の高さを両立させている。人体・動物認識も備えた空間認識AF、576万ドットの高精細EVFなどを備える。
同クラスの一眼レフ並みに大きくて重い。純正の交換レンズが少ない。大容量なのに電池のもちがあまりよくないのも物足りない。
採点表 満点は★5個 | |
実写性能 | ★★★★ |
機能性 | ★★★★★ |
操作性 | ★★★★★ |
取り回し | ★★ |
コストパフォーマンス | ★★ |
ミラーレス30万円以上フルサイズのハイエンドモデル。高速シャッター搭載ソニー「α9」
ソニー
α9
2017年5月発売
実売価格例:43万8700円(ボディ) | |||
有効画素数 | 最高感度 | AF測距点 | 最高連写速度 |
2420万 | ISO 20万4800 | 693点 | 5コマ/秒 |
幅126.9mm×高95.6mm×奥行き63mm・673g |
メモリーが一体になった積層型CMOS撮像センサーを搭載したハイエンドモデル。高速読み出しと最高速1/3万2000秒の電子シャッターを生かして20コマ/秒の高速連写を実現しているのがいちばんの売り。後継機のα9 IIが発表されたので、今後の値下がりに期待。
フリッカーレス撮影機能がなく、室内スポーツでは不利。二つのカードスロットの上下が紛らわしい。グリップが小ぶりなのも残念。
採点表 満点は★5個 | |
実写性能 | ★★★ |
機能性 | ★★★★★ |
操作性 | ★★★★★ |
取り回し | ★★★ |
コストパフォーマンス | ★★ |
ミラーレス30万円以上4240万画素の高精細モデル。後継機登場で値下がりに期待ソニー「α7R III」
ソニー
α7R III
2017年11月発売
実売価格例:33万8660円(ボディ) | |||
有効画素数 | 最高感度 | AF測距点 | 最高連写速度 |
4240万 | ISO 10万2400 | 399点 | 10コマ/秒 |
幅126.9mm×高95.6mm×奥行き73.3mm・657g |
有効4240万画素の高精細モデルながら、10コマ/秒連写が可能なハイパワーモデル。位相差399点、コントラスト425点のハイブリッドAFは、最新ファームウエアで動物対応の瞳AFも実現した。後継のα7R IVが登場したので、今後の値下がりを期待したい。
二つのカードスロットの上が「スロット2」で戸惑う。グリップが小さめで、重いレンズを装着したときにホールド感が頼りない。
採点表 満点は★5個 | |
実写性能 | ★★★★★ |
機能性 | ★★★★★ |
操作性 | ★★★★★ |
取り回し | ★★★ |
コストパフォーマンス | ★★ |
ミラーレス30万円以上4730万画素の高精細モデル。ボディの重さが気になるパナソニック「DC-S1R」
パナソニック
DC-S1R
2019年3月発売
実売価格例:47万9280円(ボディ) | |||
有効画素数 | 最高感度 | AF測距点 | 最高連写速度 |
4730万 | ISO 5万1200 | 225点 | 9コマ/秒 |
幅148.9mm×高110mm×奥行き96.7mm・1016g |
DC-S1と同じボディに、有効4730万画素撮像センサーを搭載した高精細モデル。
AFやボディ内手ブレ補正などのスペックはDC-S1と同じだが、常用感度の上限が1段低いISO2万5600で、連写できる枚数も少ないなどの違いがある。
気になる点もDC-S1と同じで、フルサイズ一眼レフのキヤノン・EOS5D MarkIVより重い。純正レンズも数が少ない。
採点表 満点は★5個 | |
実写性能 | ★★★★★ |
機能性 | ★★★★ |
操作性 | ★★★★ |
取り回し | ★★ |
コストパフォーマンス | ★★ |
まとめ
ソニー・α7Rシリーズの2機種がワンツーフィニッシュ
トップはα7R IVとその先代モデルのα7R IIIの2機種で、合計は★20個。
前者は有効6100万画素、後者は有効4240万画素で、ともにローパスフィルターレス撮像センサーを搭載した高精細仕様。
写りにこだわる人向けといえる。予算に問題がないならIVが、そうでないならIIIの値下がりを待つのも手だ。
ローパスフィルターレスの多画素センサーを搭載したZ7やDC-S1Rも写りのよさでは負けてはいない。
ただし、高性能タイプのレンズやパワーのあるパソコンも必要なので、全般にお金はかかる。
有効6100万画素の超精細モデル
ソニー
α7R IV
◆解説/北村智史(カメラライター)
※価格は記事作成時のものです。