足の小指の爪が小さくなる理由の一つは、足の外側に重心がかかっていること(外側荷重)です。尿もれ、腰痛、女性の場合は骨盤臓器脱などの危険性が高まっていると考えられます。そこで、お勧めしたいのが、足上げトレーニングと、足首回しです。【解説】高山かおる(済生会川口総合病院皮膚科主任部長)

解説者のプロフィール

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高山かおる(たかやま・かおる)
済生会川口総合病院皮膚科主任部長。東京医科歯科大学附属病院にて、日本の大学病院では稀有な皮膚科のフットケア外来を開局。難治性の巻き爪、陥入爪、たこ、うおのめなどの疾患を抱える患者に対して、根治を目指した原因の追究、診察、専門治療のほか、セルフケアの指導を行っている。著書に『巻き爪、陥入爪、外反母趾の特効セルフケア』(マキノ出版)などがある。

不自然に小さいと要注意!

皆さんは、ご自分の足の小指をじっくりとご覧になったことがありますか?爪を切るときには見るものの、それほど注意を払っていない人が多いのではないでしょうか。

実は、足の小指の爪は、体のバランスや状態を知る、よいバロメーターになります。まずは、ご自分の足の小指の爪に、次のような兆候がないかチェックしてみてください。

爪が小さい
白っぽい
分厚い
ザラザラしている
他の指より爪が伸びにくい

足の小指は、他の指より小さいので、爪も他の指より小さいのは当然です。しかし、ここで言う「爪が小さい」は、本来の伸びやかな爪ではなく、不自然に小さく縮こまっているという意味です。そういう爪は、たいてい、②〜⑤の症状もあわせ持っています。

そして、①および②〜⑤のいずれかに当てはまる場合は、要注意です。というのは、いくつかの病気の危険性が高まっていると考えられるからです。

その病気とは、尿もれ腰痛、女性の場合は骨盤臓器脱などです。骨盤臓器脱とは、膀胱、子宮、腸の一部などが、腟内や腟の外に落ちてくるものです。

他に、お年寄りの場合は、筋肉が極端に減るサルコペニアや、筋肉が減って心身が虚弱になる、フレイルに陥る危険性も高くなります。

体重が正しく乗らず体幹の筋肉が衰える

ではなぜ、足の小指の爪が小さいと、これらの病気の危険性が増すのでしょうか。

足の小指の爪が小さくなる理由の一つは、足の外側に重心がかかっていること(外側荷重)です。いわゆるがに股や、ひざが外を向いたO脚だと、外側荷重になります。すると、足の小指が絶えず圧迫されるので、爪が小さくなります。

足の爪は、真下から均等に圧がかかったとき、きれいで伸びやかな形状になります。外側荷重で小指の側面から圧がかかると、爪は伸びにくく、厚くなって小さく縮こまりやすいのです。

外側荷重の人は、当然、歩くときにも小指側に体重が乗ります。また、小指で靴底を握りしめるようにして歩く傾向もみられます。これらが、さらに小指の爪を小さくしてしまいます。

外側荷重の人は、背筋・腹筋といった体幹(胴体)の筋肉をバランスよく使うことができません。そのため、腰痛が起こりやすくなります。

骨盤の下で臓器を支えている骨盤底筋群という筋肉は、体幹の筋肉と連動しているため、これもしっかり使えません。それで、骨盤臓器脱の危険性が高まるのです。

さらに、尿の出口で尿もれを防いでいる括約筋は骨盤底筋群の一部なので、その働きが悪いと、尿もれも起こしやすくなるのです。

また、体幹部の筋肉がうまく使えないことで、お年寄りの場合は、転倒しやすくなるフレイルやサルコペニアになる危険性も高まるのです。

なお、足の小指の爪は、先の細い靴やハイヒールなどを長時間はくことによっても、圧迫されて小さくなります。

この場合も、足の小指がしっかり使えず、筋肉のバランスをくずすので、やはり腰痛や尿もれなどの病気のリスクが高まります。

画像: 保湿クリームをぬってケアをすることも大切

保湿クリームをぬってケアをすることも大切

では、そのリスクに気づいたとき、どうすれば腰痛や尿もれなどの病気の発症や悪化を防げるのでしょうか。

お勧めしたいのが、下記でご紹介している足上げトレーニングと、足首回しです。

足上げトレーニングは、足の内ももの筋肉と、体を支える腹筋・背筋を効率よく鍛えることができます。それによって体の筋肉のバランスが整い、外側荷重を矯正するのに役立ちます。

また、外側荷重の人は、もれなく足首も硬くなっています。それを解消するのにお勧めなのが、足首回しです。足の指と手の指を組んだ状態で回すことで、足首だけでなく、足の指や甲の腱などをほぐす効果も得られます。

それに加えて、靴で足に負担をかけないことも大切です。パンプスなどのつま先の細い靴や、ヒールの高い靴をはく必要があるときは、最低限の時間にとどめましょう。

そして、帰宅後は足の指をよく洗い、保湿クリームをぬってケアをしてください。このとき、小指の爪の生え際をマッサージするようにクリームをぬると、より効果的です。

これらのトレーニングと足のケアを続けていれば、縮こまっていた足の小指の爪も、徐々に本来の健やかな状態に近づいていく可能性があります。それに伴って、病気のリスクも減っていきますから、ぜひ今日から始めてみてください。

足上げトレーニングのやり方

画像1: 【足の小指の爪がない・小さい】尿もれや転倒につながる「不自然に縮こまった爪」に要注意

立った状態で、右足を上げる。太ももが床と平行に、ひざが90度になるようにし、つま先を真下に向ける。

※足を上げたときに、体がぐらつかないようにする。ぐらつく場合は、壁やいすなどにつかまって行うとよい。

画像2: 【足の小指の爪がない・小さい】尿もれや転倒につながる「不自然に縮こまった爪」に要注意

右ひざを伸ばしながら、右足を後ろに伸ばし、つま先を床にチョンとつける。このとき、お尻の筋肉が使えていることを、手を当てて確認する。

①~②を10回くり返す。左足も同様に行う。

足首回しのやり方

画像3: 【足の小指の爪がない・小さい】尿もれや転倒につながる「不自然に縮こまった爪」に要注意

左手と右足の指をしっかり組み合わせた状態で、足首を内回しに1分回し、外回しに1分回す。手足を替えて、もう片方の足も同様にして行う。

画像: この記事は『安心』2019年11月号に掲載されています。

この記事は『安心』2019年11月号に掲載されています。

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