みそ汁を1日1杯摂取している人は、全く摂取しない人に比べ、高血圧および脂質異常症になりにくいという結果が出ました。なお、1日1杯よりも摂取頻度が高い場合は、高血圧や脂質異常症になりやすい、という結果になりました。【解説】小久保喜弘(国立循環器病研究センター病院予防健診部医長)

解説者のプロフィール

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小久保喜弘(こくぼ・よしひろ)
国立循環器病研究センター予防健診部医長。グラスゴー大学循環器医科学研究所客員教授。大阪大学大学院医学研究科招聘教授。東京医科歯科大学非常勤講師。医学博士。国際高血圧学会理事。米国心臓病協会幹事。大阪府吹田市民を対象とした脳・心血管疾患の都市型コホート研究「吹田研究」を主導。専門は公衆衛生医学、循環器疫学、栄養疫学、分子疫学。

みそや納豆など発酵性大豆製品でリスクが低下

私は、生活習慣病予防と健康寿命の延伸に役立てるべく、さまざまな生活習慣と病気との関係について、研究を行っています。

そのなかから、適量のみそ汁をとる人は、生活習慣病の発症リスクが低かった、という研究結果を紹介しましょう。

まず、大豆製品の摂取量と、5年後の高値血圧の発症との関連を調べた研究です。

調査対象は、日本の六つの地域の住民のなかで、1993年の調査開始時に循環器疾患などの既往がなかった、40〜69歳の正常血圧者です。

そのうち、5年後にも血圧測定を行った4165人を、大豆製品および発酵性大豆製品(みそや納豆など)の摂取量によって3グループに分け、高値血圧発症のリスクを比較しました。

なお、高値血圧は、収縮期血圧が130〜139mmHg、拡張期血圧が80〜89mmHg、と定義しました。いわば、高血圧予備軍です。

そして、調査の結果、発酵性大豆製品の摂取量が多いグループでは、高血圧になるリスクが低下していることが確認できました(下図参照)。

■発酵性大豆製品の摂取量と高血圧になるリスク

画像: みそや納豆など発酵性大豆製品でリスクが低下

また、大豆に含まれるポリフェノールの一種・イソフラボン摂取量でも比較したところ、発酵性大豆製品からのイソフラボン摂取量が多いグループでも、同様の結果が得られました。

一方、発酵していない大豆製品の摂取量、およびその製品からのイソフラボン摂取量と高血圧になるリスクとの間に、関連は見られませんでした。

つまり、この調査では、発酵性大豆製品を多く摂取するほど、高血圧になるリスクが低下すると明らかになったのです。

日本の代表的な発酵性大豆製品であるみそは、塩分が多いことから、以前は血圧を上げて、脳卒中や循環器疾患の発症リスクを高める可能性があると考えられてきました。

しかし、この研究では、みそ汁に含まれる塩分よりも、みそ汁の摂取によるよい結果のほうが上回ったとわかったのです。

1日1杯のみそ汁で脂質異常症も予防可能

次に、我々は、「吹田研究」(1989年に開始した、大阪府吹田市の一般住民を対象とした追跡調査研究)において、みそ汁と生活習慣病の関係に関する研究を行いました。

1994〜1996年にかけて、40〜64歳の対象者2215人に、健康診断を受診してもらいました。その際、みそ汁の摂取頻度について、「ほぼ毎日(1日当たりの平均摂取回数も回答)」「週3~4回」「週1~2回」「ほとんど摂取しない」から選択し、回答してもらいました。

そして、対象者には2年ごとに健診を受けてもらい、約10年間の追跡調査を行いました。

すると、みそ汁を1日1杯摂取している人は、全く摂取しない人に比べ、高血圧および脂質異常症になりにくいという結果が出たのです。なお、1日1杯よりも摂取頻度が高い場合は、高血圧や脂質異常症になりやすい、という結果になりました。

私たちは、イソフラボン摂取量と脳梗塞・心筋梗塞発症との関連についても、研究を行っています。循環器病にもガンにもなっていない40〜59歳の男女約4万人を、1990〜2002年まで追跡しました。

その結果、大豆やイソフラボン摂取量の多い女性では、脳梗塞と心筋梗塞の発症リスク、循環器疾患による死亡リスクが低いことがわかりました。

豆類は、昔と比べて、特に若い人には敬遠されがちです。しかし、大豆を発酵させたみそなら体に吸収されやすく、1日1杯のみそ汁をとるというのは、お勧めの摂取法です。

塩分のとり過ぎを防ぐためにも、みそ汁は具だくさんにするとよいでしょう。特に野菜は、みそ汁にすればかさが減るため、たくさん食べられます。

なかでもトマトは、1個150gくらいあるので、手軽に野菜の摂取量を増やせます。水分が多いので口の中もさっぱりし、赤い色は食欲もそそります。

また、トマトには、塩分のナトリウムを排出する作用を持つカリウムが豊富です。腎臓が悪い人は注意が必要ですが、高血圧対策としても一助となるでしょう。

主食、主菜、副菜がそろった食生活を送っている人ほど、毎日みそ汁を食べている傾向にあります。1日1杯のみそ汁を食べるということは、日々の食卓を整え、バランスのいい食事をとることにもつながるのです。

ぜひ、トマトみそ汁をはじめ、毎日のみそ汁習慣を心がけてみてください。

トマトみそ汁の作り方

画像: トマトみそ汁の作り方

【材料】(2人分)
トマト…中1個(約150g)※ミニトマトの場合は8~10個。
みそ…大さじ1
出汁(水でも可)…300g
そのほか、お好みの具材を入れてよい。

【作り方】
トマトを適当な大きさに切る。
鍋に①と出汁を入れて中火にかけ、煮立ったら火を止めて、みそを溶き入れて器に盛る。

画像: オリーブオイルを少量加えれば、リコピンの吸収率がアップ!

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画像: この記事は『壮快』2019年12月号に掲載されています。

この記事は『壮快』2019年12月号に掲載されています。

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