【寝たきり生活を予防】骨格筋は良い食事と運動で作られる!おすすめは「おから納豆」と散歩

美容・ヘルスケア

骨格を動かす筋肉である骨格筋がやせてくると足腰が弱ります。食事で質のいいたんぱく質をたくさんとるほうが、よい骨格筋を作ることにつながるのです。私たちの行った実験では、大豆のたんぱく質が筋萎縮の予防と改善に顕著な効果を見せました。【解説】二川健(徳島大学宇宙栄養研究センターセンター長)

解説者のプロフィール

二川健(にかわ・たけし)

1987年、徳島大学医学部卒業。同大学の医学部基礎系医員、独デュッセルドルフ大学医学部研究員等を経て、現在は徳島大学大学院医歯薬学研究部生体栄養学分野教授と、宇宙食品産業・栄養研究センターのセンター長を併任。無重力化での問題を緩和する機能性宇宙食の研究を、高齢化社会にも役立てることを提唱。

大豆たんぱくの摂取で”蹴る力”が増加した

私がセンター長を務める徳島大学宇宙栄養研究センターでは、宇宙食の開発などの研究を行っています。多くの人にとって、関係のない研究と思われるかもしれません。しかし、この研究は、高齢化社会にも実は役立つ可能性を秘めています。

無重力の宇宙空間では、筋肉がやせて萎縮する筋萎縮が起こり、筋力が衰えます。寝たきりのかたや、運動をあまり行わないかたも、これと非常に近いことが起こるといえるのです。

加齢に伴い、骨格を動かす筋肉である、「骨格筋」がやせてくると、足腰が弱ります。そうすると運動をしなくなるので、さらに筋萎縮が進行するという悪循環が起こってしまいます。

健康の維持・増進は薬と食事の両面からアプローチできますが、骨格筋の場合は、特に食事の影響が大きいことがわかっています。食事で質のいいたんぱく質をたくさんとるほうが、よい骨格筋を作ることにつながるのです。

たんぱく質といってもたくさんの種類があります。私たちの行った実験では、大豆のたんぱく質が、筋萎縮の予防と改善に顕著な効果を見せました。

実験では、病院で日中のおよそ半分を車イスかベッドで過ごす、高齢者33名中の病院食に、たんぱく質を加えました。11名は大豆たんぱくを8g加えたもの、別の11名はカゼイン(牛乳のたんぱく質)を8g加えたもの、残る11名は普通の病院食を、それぞれ30日間食べてもらい、「蹴る力」を計測しました。

なお、大豆たんぱくとカゼインは粉末状の物を、ハンバーグやパスタに練り込むなどして、ふだん食べている物に加える形で使用しました。また、たんぱく質を加えない食事も、病院食ですから、栄養バランスはとれています。

結果として、最も蹴る力が強かったのは、大豆たんぱくを食べたグループでした。

実験前の平均は7kg重でしたが、実験後は3kg重増加した10kg重になっていました。カゼインのグループも力は強くなりましたが、大豆たんぱくほどではありませんでした。また、たんぱく質を加えていない食事のグループには変化が見られませんでした。

蹴る力が増加したというのは、大腿四頭筋が強化されたということです。大腿四頭筋は、ひざを上げたり、立ち上がったりするときにも使われます。

つまり、足の上げ下げに大きくかかわる筋肉ですから、この筋肉が強化されると、つまずきにくくなります。高齢者の場合、つまずきによる骨折が多く、それによって歩けなくなるとますます筋力が低下し、結果、寝たきりの生活になってしまうので注意が必要です。

足を持ち上げる筋肉が強くなった!

おから&納豆なら効率よく摂取できる!

先日、NHK『ガッテン』でも、大豆たんぱくが取り上げられました。その際の実験では、20代から70代の男女54人に、2週間いり大豆20gを食べてもらったところ、37人の筋力がアップしたそうです。

大豆たんぱくの摂取で筋肉が強化されるのは、その特殊な構造に起因しています。

筋肉は、加齢や運動不足で劣化します。その筋肉を修復するのが「IRS-1」というたんぱく質ですが、運動不足だと「ユビキチンリガーゼ」という物質が現れ、修復を妨害します。大豆たんぱくはその妨害を抑え込む働きがあるのです。

成人では、男性のける力は20〜30kg重、女性は16〜20kg重です。これと比較すると、10kg重は弱いと思われるかもしれませんが、ほとんどける力がなかった人たちが、食事からのたんぱく質摂取だけで3kg重増加したのは、大きな変化と見てよいと思います。

筋力は何もしないと、20代をピークに1年に約1%ずつ低下し、50〜60代以降は1年に2%ずつ低下するといわれています。ですから、特に50代以降は、積極的に大豆たんぱくを摂取していきたいものです。

なお、大豆たんぱくは、発酵と加熱により増加することがわかっています。大豆を加熱して発酵させた納豆は、大豆たんぱくを効率よく摂取できるうえに、毎日継続しやすいという点からもお勧めの大豆食品です。

納豆1パックに含まれる大豆たんぱくはおよそ8gです。実験では1日8gで変化が見られましたが、年を重ねるごとに多めのたんぱく質摂取量が必要といわれています。納豆とおからを組み合わせた「おから納豆」はお勧めできるでしょう。

筋力を落とさないためには、散歩程度の軽い運動も大切です。食事と運動は、健康維持と増進の要であることを忘れずに、年を重ねていきましょう。

▼おから納豆の作り方

※この記事は『壮快』2019年12月号に掲載されています。

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