いろいろな家電を評価します。当然、評価の基準となる製品が必要です。特に基本機能は、特に重要となります。場合によっては、基準を家電製品に置かないときもあります。私の場合、炊飯器は、土鍋で炊いたご飯が基準ですし、電気カミソリの場合は、T字のカミソリが基本となります。そのT字のカミソリに、去年新しい考えを入れたカミソリが登場しました。P&Gの「スキンガード」です。私は、これを今標準としていますが、これは電気カミソリではなかなか超えられないと思っております。どこがそんなにすごいのかを、レポートしたいと思います。
4日目のヒゲが、痛くなく剃れる
ジレット®スキンガード™ | ジレット ジャパン
ジレット史上究極に肌にやさしい スキンガード誕生。新スキンガードテクノロジーで、肌ストレスを軽減。
刃の接触を最小限にして、シェービング中の肌を守る!
gillette.jp
ヒゲを剃る場合の課題は、大きく2つあります。1つは、長いヒゲだろうが、クセのあるヒゲだろうがきちんと剃れること。もう一つは、肌に余分な負担をかけないことです。
多くの人が体験したことがあると思うのですが、休み明け、ヒゲが伸び放題。そんな時、ヒゲを剃るわけですが、痛い思いをしたことがありませんか。ありますよね。特に、電気カミソリが痛いです。これは、製品仕様の想定以上にヒゲが伸びたため、キレイに剃れずに引っかかるためです。叡智の塊の様な高級機種でもダメです。そんな時、私は、電気カミソリを肌に触れないように、ヒゲの先端に触れるように動かします。そうして短くして、今度は普通に使います。しかし面倒臭いし、失敗したら痛いし、どうしてくれようと思うわけです。
肌への負担も同様ですね。肌は、モノに触れるたびに荒れていきます。こちらも永遠の課題だと思います。
それに対し、真っ向勝負を挑んだのがP&G。実は「スキンガード」の前に、標準としていたのは「フュージョン プログライド パワー」。5枚刃、振動するなどギミックの多い、しかし痛くなく深剃りがきく「T字カミソリ」です。発売されたときに試し買いしたら、もうそのまま定番化。自分の生活にビシッと入り込みました。が、このフュージョンをもってしても、長いヒゲはNG。
ところがです、このスキンガード。痛みもなく、スッとそのまま剃れるのです。
「アンビリバブル!嘘だろ!」という感じ。
剃り残しもなく、肌へのヒリヒリ感もありません。
文句なく、次の定番カミソリになりました。
何故、5枚刃でなく、2枚刃なのか?
ではなぜ、少ない刃数「スキンガード」(2枚刃)を選んだのかというと、私都合です。
私はフリーランスなので、毎日必ず外で仕事をするわけではありません。また、外にいる時間も短いです。このため、ヒゲ剃りは、基本的に外に出る時だけです。家では無精ヒゲを伸ばしっぱなしです。このため、深剃りより、長いヒゲへの対応を優先させたためです。
ジレットの5枚刃は、5枚刃の周囲、主には前後にスキンガードがあり、肌を守ります。5枚刃は密にセットされていますので、ヒゲを引っ掛けてカットが連続してできますので、深剃りができます。ところが長いヒゲだと、刃と刃の間に入りません。表面を引っ掛けるだけで切れません。このため、ヒゲが引っ張られて、痛い思いをするわけです。
2枚刃は、刃、スキンガード、刃の順に並んでいます。このため、刃と刃の間が長い。そのため、伸びたヒゲも、痛みなく剃ってしまうわけです。しかし、5枚刃のように、とことんまで深剃りをすることはできません。が、夜遅くまで外に居るわけではないので、問題はありません。
しかし、刃数が少ないからこそ、というのは、初めての経験でした。
ジレットスキンガード
まとめ
今、スゴいとされる家電でパーフェクトなものはありません。生活習慣が異なる人には受け入れられないこともあります。
カミソリも、普通、電動を問わず、「肌に優しく、深剃りがきく」を目的に開発されてきました。それは正しいのですが、積み忘れた課題も多くあるということです。また、古い形とされた技術も、上手く甦らせてやれば、すごいものになるということです。ヒゲを剃る。成人男性としては、極めて日常的な行為ですが、それに対してすら、いろいろなパターンがあり得るわけです。
しかし、多枚刃を追求、技術界してきたカミソリですから、今回の切れ味は驚愕でした。必ず試してみて評価すること。ジレット「スキンガード」は、改めてそれを認識させてくれました。
◆多賀一晃(生活家電.com主宰)
企画とユーザーをつなぐ商品企画コンサルティング ポップ-アップ・プランニング・オフィス代表。また米・食味鑑定士の資格を所有。オーディオ・ビデオ関連の開発経験があり、理論的だけでなく、官能評価も得意。趣味は、東京歴史散歩とラーメンの食べ歩き。