フィルム代も現像代もどんどん値上がりしてるが、フィルムカメラが今人気の理由には『一枚一枚丁寧に撮る』『そのほうがいい写真が撮れる』という心理的な要素もある。また、金属製のMF(マニュアルフォーカス)カメラには、精密機械ならではの風格、操作する楽しさや心地よさもあるのだ。

手間のかかるフィルムカメラが今、なぜ人気?

読者からの質問

ここ数年、フィルムカメラが少しずつ復活しているというか、人気が出てきているとのことです。絶対デジタルのほうが画像管理しやすいし、現像などの手間もかからないのでいいと思うのですが、なぜ復活しつつあるのでしょうか? (D.Tさん 北海道 59歳)

編集部:
この質問は、カメラライターの北村智史さんに聞きます。

専門家の回答

専門家:

「便利さを重視するならデジタルが圧倒的に上でしょう。そこそこのものを買えば長もちしますし、バッテリーは充電式、記録メディアも繰り返して使える。撮影するたびにフィルム代や現像代がかかるフィルムと違って、とても安上がりです。実際、私個人もそう判断して、フィルムカメラは手放しました。

そんな状況のはずなのに、どうしてまたフィルムカメラ人気が高まっているのかというと、たぶんいろいろな要素が絡まり合っているのだと思います。

純粋にフィルム写真特有の少しくすんだような色合いや粒子のざらつきといった味わいが好きな人もいますし、撮ってもすぐには見られない不便さ、現像やプリントといった手間をかけないといけないめんどうさ、そういうのがあるからこそ楽しいという人もいます。

また、撮るときには仕上がりが読めませんから、カメラの設定なども勘頼み、経験頼みになり、もちろん失敗も増えます。そのぶん、うまく撮れたときのうれしさが大きい、それがいいんだという人もいます。

フィルム代も現像代もどんどん値上がりしていますからもったいないと思われるかもしれませんが、だからこそ、『一枚一枚丁寧に撮る』『そのほうがいい写真が撮れる』という心理的な要素もあります」

編集部:
手間やお金がかかるからこそ、フィルムというアナログの手段を選んでいるんですね。

専門家:

「おもしろいのが、デジタルならスマートフォンで十分と考える人も少なくないこと。撮ってその場でSNSに投稿するといった使い方ならスマートフォンのほうが便利なので、じっくり撮りたいときにはデジタルじゃないカメラがいい。そういうふうに使い分けている人もいます。

最近は低価格なフィルムスキャナーもありますし、フィルム時代の同時プリントと同じように、現像とデジタルデータ化をセットにしたサービスも普及しています。そういう点では、以前よりもフィルムカメラを楽しめる条件がそろっているともいえます。

もう一つ、デジタルカメラと違ってフィルムカメラには機械っぽさという魅力もあります。金属製のMF(マニュアルフォーカス)カメラには、精密機械ならではの風格がありますし、それを操作する楽しさや心地よさも味わえます。人によっては、撮ることよりもいじる楽しさのためにフィルムカメラを選ぶ場合もあるほどです。

私個人も、仕事としてはデジタルのほうが便利ですが、趣味としてのカメラいじりならフィルムを選びたい気持ちもあります」

編集部:
そうですね、フィルムカメラのメカっぽい感じって、スマートフォンやデジタルカメラにはほとんど感じられない部分ですよね。なるほど、納得できました。ありがとうございました!

画像: 専門家の回答

イラスト/はやし・ひろ

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