独自路線の存在感を放つ象印の生活家電

社風というものがあります。昔のS社の様にとにかく新しいものに突っ走るのが社風という、ノリのいい社風から、四角四面なことが社風である会社もあります。ユーザーからしてみるとメーカーは四角四面の方がいいです。品質が安定するからです。特に熱、高温になる調理家電、暖房家電は注意が必要。火事は怖いですからね。

そんな四角四面なメーカーの一つに象印マホービン(以下 象印)があります。本業は、社名の通り「魔法瓶」。今では素材なども変わり、真空断熱ステンレスボトルと呼ぶべきでしょうか。家電では「電気ポット」と「炊飯器」が有名です。

そんな象印の中で、規模は小さいのですが、独特の存在感があるのが「生活家電」。「ふとん乾燥機」「加湿器」「空気清浄機」などがあります。実は、「ふとん乾燥機」で、マットとホースをなくしたのは、象印の提案ですし、「加湿器」では、バイキンを撒き散らすことがない「沸騰型」にこだわっています。独自路線の存在感というやつです。

ちょっと影の薄いのが「空気清浄機」でしたが、2020年モデル PU-AA50は華麗に変身。どこがどうなったのでしょうか?

画像: 空気清浄機/PU-AA50 www.zojirushi.co.jp

空気清浄機/PU-AA50

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2020年に求められる「空気清浄機」を開発

リビングの空気清浄の考え方

2020年モデルの開発は、コロナ時代に役立つ空気清浄機を想定することから始まりました。

彼らが想定したのは、「リビングサイズ空間の徹底した空気清浄機能」と「24時間使い続けられること」です。

「当たり前」と思われる人も多いと思います。上の2つは空気清浄機の基本とも言うべきものですからね。しかし、これをきちんと実現するのは非常に難しいのです。

まずはリビングサイズというのを決めなければなりません。象印は適応床面積:24畳(38.88㎡)をセレクトしました。標準の3LDKマンションのLDK平均が12〜15畳ですから、かなり意欲的な値です。

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居間の高さは建築基準法で、2.1m。しかし低いと圧迫感があるので、標準はもっと高いです。今は、2.4m標準が、2.5m標準に変わりつつあるところです。部屋高さ:2.5mで産出すると、97.2㎥。これだけの空間が守備範囲です。

象印は5.2㎥/分で浄化する考えです。部屋全体を一通り浄化するのが、18.69分。約20分です。1時間で3回、部屋をきれいにする考え方であることがわかります。

実力値は、8畳12分。これが象印の空気清浄機の標準能力となります。24時間、無理のない動作で確実に、これをこなします。

形状は「タワー型」を採用

空気清浄機は、大きく2つの形状があります。「パネル型」と「タワー型」です。空気清浄機の構造は極めて単純です。フィルターの後ろにファンがあり、そのファンが外に空気を放出することにより、内部が陰圧になり、フィルターを通して空気を吸い込みます。

一番大きな部材は、ろ過パネルです。パネル1枚がドーンとあるのがパネル型。そしてろ過パネルを組み合わせるとタワー型になります。

タワー型のメリットは、ろ過パネルの面積を大きくできる点です。家電として設置できる大きさには限りがあります。その中で、一番大きくしようとすると外面を全部ろ過パネルにする方法がいいです。これがタワー型です。デメリットは、フィルター交換時、コストがかかることです。フィルターの価格を一番左右するのは総面積です。

タワー型のメリットは、フィルター面積を大きくすることができるだけではありません。空気の取り入れ口を床から30cmのところにも作ることができることが挙げられます。

空気清浄機の役割は、「空中浮遊物(PM2.5)の捕獲」と「揮発性有機化合物の吸着」です。花粉などもありますが、空中浮遊物も重さを持ちます。ゆっくり、ゆっくり下に溜まってきます。一番多く溜まるのが床から30cmのところというわけです。タワー型は、高さを確保できますので、対応しやすいのです。

高性能で、なおかつ安い「大面積マルチフィルター」

そんな中、象印が採用したのは「東レ トレミクロン」。汎用性の高いフィルターで、東レは素材として供給する以外に、マスク化して市販するなど、コロナ禍で引っ張りだこの素材です。カタログ性能を伺うと、HEPAとまでは行きませんが、空気清浄機に使って問題は発生しないレベルと言えます。そして「トレミクロン」に、「除菌フィルター」。そして臭い、揮発英化学物質を吸着する「活性炭フィルター」を組み合わせて、空気清浄機のフィルターを構成します。

画像: 4面が一体となった「大面積マルチフィルター」 www.zojirushi.co.jp

4面が一体となった「大面積マルチフィルター」

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パネルは総面積:3.4㎡。これはかなりの大きさです。タワー型ならではですね。ここまで大きいと、フィルターは1万円を超すのが当たり前なのですが、なんと7000円(税抜)。普通の1/3〜1/2です。しかも1万円を切るのが嬉しいですね。フィルターの交換は2年に1度。折りたたんで廃棄することができますので、その点も楽です。

風への直進性と、動作時の静音性を両立させる「二重反転プロペラファン」

さて次はモーター&ファン。ここが強力でなければ、目の細かいフィルターを使いこなすことはできません。しかも、今回は24時間使いっぱなしが条件ですから、すごーく省エネである必要があります。で、目をつけたのが「二重反転プロペラファン」。

象印はここでは、日本電産と共同開発を行います。

ファン1つだけだと、どうしても風は拡散します。ファンは風を押し出しているので、方向性が定まれば、定まるほど、いいファンなのですが、そう簡単にはそうなりません。このために考案されたのが、二重反転プロペラファン。逆回転をさせることにより、無駄な風を相殺。直進方向の風のみ残すという方法です。

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使うモーターは、DC(直流)モーター。今の扇風機で主流のタイプです。DCなので省エネ性に優れ、回転コントロールが正確にできるメリットを持ちます。

こうして出来上がったのが、象印の2020年モデル PU-AA50です。

100%の力で24時間安心して使える空気清浄機「PU-AA50」

PU-AA50ですが、カタログ値がまともに出る性能を有しています。派手な数値がユーザーの目を引きます。例えば、動作音。カタログ値にあるのは最も小さい、睡眠時などに使うモードです。しかし、実際は標準〜ターボで使います。ターボは24時間使うわけではないですから、多少五月蝿くても仕方ありませんが、標準で耳障りな音は厳しいですね。

今回、DCモーターの採用などで省電力化もでき音も小さくできた象印は、「標準」に他社でいう最大を持ってきました。それでも消費電力は10W。動作音は39dB。スマホの平均消費電力が10〜12Wと言われていますので、携帯並みの消費電力です。電気代は、年間2365円。格安です。39dBは、静かな図書館並み。

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要するに、財布も、耳にも優しく、効果は最大。フィルターも安く、一般の空気清浄機との2年間の電気代の差額で買うことができます。

これこそが四角四面。つまり真面目に、空気清浄機の本質のみを追求したモデルです。(本体価格は4万5000円(税抜)とちょっと高めですが・・・。)

しかし、常に最大値で頑張れる空気清浄機が市場にほとんどないことを考えるとお買い得とも言えます。ちなみに、一般的には、空気清浄機を10年使うと電気代、フィルター代他で、本体購入価格の2倍のランニングコストが発生します。(2019年モデルでの筆者計算)それが格安に抑えられているのは嬉しい限りです。

まとめ

日本はまだまだ頑張れる!と前向きな気持ちにさせてくれるモデル

また、今回のモデルを見て、日本メーカーがそれぞれの長所を持ち寄り集うと、ここまでできるのかという感じを受けました。

単に東レのフィルター技術が優れている、日本電産のモーターが優れている、ということだけでなく、象印の開発陣が、難題に真っ向勝負を挑み、技術の良さを活かし、見事目標を達成したなぁという感じです。日本はまだまだ頑張れるという前向きな気持ちになってくる空気清浄機でもあります。

ウイルスの脅威に晒されている今の時代に、24時間フルパワーで守ってくれる心強いモデルと言えます。

◆多賀一晃(生活家電.com主宰)
企画とユーザーをつなぐ商品企画コンサルティング、ポップ-アップ・プランニング・オフィス代表。また米・食味鑑定士の資格を所有。オーディオ・ビデオ関連の開発経験があり、理論的だけでなく、官能評価も得意。趣味は、東京歴史散策とラーメンの食べ歩き

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