【家にいる神様】天照大神、三宝荒神、火之迦具土神、宇迦之御魂神…部屋別の神様と呼び方を紹介(掃除と神様の深い関係(2))

暮らし・生活・ペット

部屋をキレイにお掃除することで、家を守ってくれる神様の力をパワーアップさせましょう。お掃除することで家を守ってくれる10の神さまを紹介します。【解説】きさいち登志子(生活コーディネーター)・久保田裕道(博士)

著者のプロフィール

きさいち登志子(としこ)

東京都生まれ。生活コーディネーター、TU・TI編集室代表。2013年土田登志子から「きさいち登志子」に改姓。『スッキリ・簡単!「新☆お掃除」の法則』(三笠書房)、『なんで私の部屋、いつも知らぬ間にゴチャゴチャなの!?』(すばる舎)、『幸せがやってくる魔法のかたづけ術』(ジョルダン)など多数の著作のほか、雑誌・テレビなどでお掃除や生活についてのアドバイスを行う。本書ではお掃除・整理整頓についての監修を担当。
▼きさいち登志子(@tsuchitoshi)(Twitter)

久保田裕道(くぼた・ひろみち)

千葉県生まれ。國學院大學大学院博士課程後期文学研究科修了。博士(文学)。東京文化財研究所無形文化遺産部無形民俗文化財研究室長。一般社団法人儀礼文化学会事務局長。民俗芸能学会理事。著書に『神楽の芸能民俗的研究』(おうふう)、『「日本の神さま」おもしろ小事典』(PHP)、共著に『心をそだてる子ども歳時記12か月』(講談社)、『日本のしきたり30の謎』(新人物往来社)などがある。本書では神仏・神事についての監修を担当。
▼専門分野と研究論文(東京文化財研究所)

本稿は『汚い部屋がみるみる片づく! 神さまがやどる お掃除の本』(永岡書店)から一部を抜粋して掲載しています。

おうちの神さまプロフィール

お掃除することで家を守ってくれる10の神さまを紹介します。

(1)福を授ける神大年神(大歳神)(おおとしがみ)

年明けの1月1日に来訪します。門には松を飾り、神棚にはおもちを供えておもてなししましょう。

イラスト/すぎうらゆう

【誕生】『古事記』では、須佐之男命(すさのおのみこと)と神大市比売(かむおおいちひめ)との間に生まれたのが大年神です。また日本の伝統的な考え方では、自分たちの祖先の霊が近くの山にいて、正月になると年神として子孫の家を訪れるともいわれています。

【性格】まっ白な鏡もちなど、きれいなものや丸いものが大好き。家族みんなを見守るおおらかな神さま。ニコニコ顔でおだやか。

【ご利益】穀物神のため、五穀豊穣、無病息災、家内安全など。年末に大掃除をして新年に年神さまをお迎えすると、1年間、家や家族を災いから守ってくれます。お正月に用意する祝いばしは、神さまの力にあやかるために、神さまと一緒におせち料理を食べるためのものです。

(2)家全体を守る神天照大神(あまてらすおおみかみ)

天地を照らし、植物を成長させ、飢餓や疫病などの災いを一掃してくれる神さまとして太古から君臨します。

イラスト/すぎうらゆう

【誕生】日本神話には「天照大神」として登場しますが、世界各地でも何千年も前から、太陽は神の化身とされてきました。天照大神が降臨したとき、鶏は喜びの声をあげて迎えたのだそう。

【性格】普段は女性らしく機織りを仕事としていますが、乱暴者の弟、須佐之男命をこらしめるときには、髪を結び男装して対峙する神話があります。強さと優しさが同居する姿は理想の女性そのもの!

【ご利益】天照大神を主祭神とする伊勢神宮(三重県)は日本最大のパワースポット。衣食住をはじめ、あらゆる産業を守り立ててくれます。日本という「家」を守ってくれるという考え方もあり、皇室の祖神でもあります。

(3)台所を守る火の神三宝荒神(さんぽうこうじん)

鍋やフライパンを載せるかまど(現代では調理コンロ)にいて、調理の火が暴れたり、急に消えたりしないよう守ってくれます。

イラスト/すぎうらゆう

【誕生】もともと祟りやすい荒ぶる神さまとして考えられていて、陰陽師や山伏たちが鎮めるためのお祓いをして回っていました。不浄をきらうため、かつて、家の中でもっとも清浄が求められたかまどに、やどるようになりました。

【性格】3つある顔はすべて頭髪を逆立て怒った表情です。悪いことが許せない激しい性格で、かまど(調理コンロ)に子どもが乗ると、怒って突き落としたりすることも。

【ご利益】大切にすると料理がおいしくなる、台所に家族が集まってきてなごやかになる、子どもがよくお手伝いしてくれるなど。三宝荒神を怒らせないよう、年末にはしっかり大掃除をして清めます。

(4)家中の炎を司る火の神火之迦具土神(ひのかぐつちのかみ)

台所、お風呂、食卓にともるキャンドル、神棚の灯明など、家中のあらゆる火を司り、災いから守ってくれます。

イラスト/すぎうらゆう

【誕生】伊邪那岐命(いざなきのみこと)と伊邪那美命(いざなみのみこと)の子として生まれますが、火の神であるため出産時に伊邪那美命にやけどを負わせ死なせてしまいます。そのため、伊邪那岐命の怒りを買い、殺されてしまいます。

【性格】火は恐ろしいけれど、人間がコントロールすることもできるものです。火之迦具土神の「迦具」は、「輝き」「かぐわしい」の語源にもなっています。扱いしだいでよくも悪くもなる神さまです。普段から火の扱いに注意することが大切です。

【ご利益】しっかりお祀りすれば、火災や盗難から家を守ってくれます。台所や浴室など、火が関係する場所を清浄にしておくことで神さまの怒りを鎮められます。

(5)台所を守る穀物神宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)

お稲荷さん(稲荷神)とも呼ばれる穀物の神です。台所や食糧の貯蔵庫、冷蔵庫などを守ってくれます。

イラスト/すぎうらゆう

【誕生】須佐之男命須佐之男命(すさのおのみこと)と神大市比売(かむおおいちひめ)との子で大年神を兄とし、女神ともいわれています。伊邪那岐命(いざなきのみこと)と伊邪那美命(いざなみのみこと)が飢えて倒れたときに、現れたいい伝えも。穀物神の中でも、もっとも霊力が強く、天照大神の食事を司りました。

【性格】稲荷神はインド発祥の仏教が日本に入ってきたとき、鳥獣を食べる羅刹・ダキニ天と結びついて、怖い夜叉のように伝わりました。狐を使って人にとりつくともいいます。これも強い生命力のなせる技でしょう。

【ご利益】お使いの狐で知られる稲荷神社や祠が日本中にあり、日本人にとってはもっとも身近な神さまといえるでしょう。生命力の強さから、夫婦のきずなを強め、豊穣・商売繁盛の神さまとして愛されています。

(6)五穀豊穣の神たち恵比須・大黒

恵比須は漁、大黒は豊作の神さま。二神あわせてお祀りし、家も仕事も栄えるよう一度にお祈りします。

イラスト/すぎうらゆう

【誕生】大黒はインドから伝わり、厨房(キッチン)の神とされるようになりました。日本の大国主という神さまと混同されたりもしています。恵比須は日本在来の神で、現在はどちらも、おめでたい七福神として信仰されています。

【性格】きれい好きで、腐った魚や肉などはにおいだけでもいやがります。そのため食物が傷みやすい夏は大の苦手。好きな季節は秋。

【ご利益】台所、冷蔵庫、食卓など食べ物のあるところにやどります。キッチンやダイニングをきれいにすると、お米が減らず、良縁に恵まれるといわれます。恵比須・大黒を祀るくじ売り場からは大当たりが出ることがあります。

(7)雨も司る水の神弥都波能売神(みづはのめのかみ)

キッチン、洗面所、お風呂などの水まわりにいるほか、雨や海も司る命の源を与える女神です。

イラスト/すぎうらゆう

【誕生】伊邪那美命(いざなみのみこと)が火之迦具土神(ひのかぐつちのかみ)を産み、陰部のやけどで苦しんでいたとき、尿から生まれたのがこの神さまです。名前の「みづは」は「水つ早」とも書きます。水のほとばしるときに生まれたという意味で、水を司る神です。

【性格】きれいな水の出る村には乙女の姿で現れて、草の繊維と水を使って紙の漉き方を教えたといいます。面倒みがよく、洗濯の方法や、水田の作り方なども教えてくれる家庭的な面のある神さまです。

【ご利益】水の湧くところは生命の源を感じさせ、家事を担う女性が集う場所でもあります。そのため女性や子どもに関わるご利益があり、子宝・安産、女性の美などを司ります。

(8)トイレを守るきょうだい神波邇夜須毘古神(はにやすびこのかみ)波邇夜須毘売神(はにやすびめのかみ)

祭事用の道具を作る粘土を持つ土の神。土は大便に似ていることからトイレにやどる神として広まりました。

イラスト/すぎうらゆう

【誕生】水の神と同様、伊邪那美命がやけどをした際、大便から生まれたきょうだい神。土の神として田畑も守護しています。仏教ではウスサマ明王をトイレの神と考えています。また、トイレはあの世とつながっているとも考えられていて、地獄の王たちがトイレの神とされることもあります。

【性格】日本神話の中では田畑を守る優しい神さま。ウスサマ明王のほうは、「不浄を清浄に変える激しい性格の神」と伝わっています。

【ご利益】トイレをきれいに掃除するとお金が回り出します。土の神さまでもあるので、陶器(便器)を磨くと特によいようです。女神もいるため、女性の美や恋愛・結婚運にもパワーを発揮してくれます。

(9)家宝を守る屋敷神納戸神(なんどがみ)

蔵、納戸、米びつ、現代なら寝室のたんす、押入、クローゼットなど財産の隠してあるところにやどります。

イラスト/すぎうらゆう

【誕生】家の中でもっとも奥の部屋は一番重要な空間とされていました。しかし、しだいにその重要性が忘れられ、布団などをしまう納戸として使われるようになりました。奥まった暗いこの空間にいる神さまは、ときとして妖怪に見られることもあります。

【性格】いつも薄暗がりで静かに見守る。一家の主婦以外には心をゆるさず、大切なものを隠したりします。まして他人(泥棒)が入ってきたりしたらとんでもない。ものを落としたり割ったりして大騒ぎ。不要なものがあふれすぎると出ていってしまいます。

【ご利益】家の中にカビが生えないよう定期的に風を通し、整理整頓をすることで、神さまの居場所ができ、財産が守られます。

(10)風を司る神志那都比古神(しなつひこのかみ)

家の戸や窓を開け放つことで、風の神が動き出します。悪い空気であるよどみやほこりを吹き飛ばしてくれます。

イラスト/すぎうらゆう

【誕生】母は伊邪那美命(いざなみのみこと)。伊邪那岐命(いざなきのみこと)が霧を吹き払った息から生まれたといういい伝えもあります。名前の「しな」は息が長いという意味。

【性格】風は志那都比古神の息だといわれます。台風を起こし、稲穂をなぎ倒し、船を転覆させる一方、風がなければ、稲は受粉せず船は動きません。とても気まぐれで、特に作物の実る秋に暴れるため、全国各地で風祭りを行って鎮めます。

【ご利益】カゼは「風邪」とも書くことから、しっかり祀って送り出さないと、災いをもたらします。「風通しをよくする」「風向きが悪い」など、風を使った慣用句が日本にはたくさんあります。人間関係をよくしたり、運を変えたいときも活躍します。

なお、本稿は『汚い部屋がみるみる片づく! 神さまがやどる お掃除の本』(永岡書店)から一部を抜粋して掲載しています。下記の本は、知りたい情報の全文がコンパクトにまとまった一冊です。詳しくは以下のリンクをご参照ください。

神さまがやどる お掃除の本
¥980
2021-01-30 20:37

※(1)「おうちの神様とは?」はこちら

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